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犬派と猫派の奇想曲

担当マスター:畑下はるこ

募集属性:善7悪3 

情報源:WCN

難易度:普通

参加人数:10

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キャラクター変更

■オープニング


 ある日ある場所の事。
 二人の研究者が、言い争いをしていました。
「あんなに従順に飼い主を愛し、懐いてくれる動物なんて犬の他に居ないだろう!」
「抜かせ、纏わりつかれてウザイだけじゃないか。その点猫は柔らかくてだな」
「何だと、猫なぞ気まぐれにこちらを振り回すだけじゃないか! 犬だって柔らかくて暖かいぞ!」
「貴様はにくきうの甘美なる柔らかさを知らないな! 気まぐれさも魅力だ!」
「はん、これだからMは! 良いか、こっちなんて飼い主が居るだけで幸せそうな顔してくれるんだぞ!」
「幸せそうな顔くらい、おやつをやればこっちだってするわ!」
「お前自身じゃなくて餌をくれる存在をありがたがってるだけじゃないか!」
「飼い主である俺がやるからこそ喜ぶんだよ!」
「何だよ!」
「やるか!!」
 とまあこんな調子で言い争いは続き‥‥。
 散々言い争って疲れて来た頃、二人は良い解決方法を思いつきました。

 猫と犬、それぞれ愛するその姿と特徴を持ったメカを発明しよう。
 どちらが優れているか、それを競わせて決めようじゃないか!

 二人は早速研究に取りかかり‥‥。

●貴方は犬派? それとも猫派?
「まあ、そのメカが今暴れている、と。退治して頂きたいんですよー」
 その二人、ジョーカーだったんですーー。ほとほと困り果てた、といった表情で、ペルソナの『ネズ』が告げた。
 犬好きの研究者は強靭な顎を持つ一体の大きな犬型メカを作り、
 猫好きの研究者は鋭利な爪を持つ三体の小さな猫型メカを作った。
 二人はとある市の東西から別々に、無差別に家々や人を襲っている。そして中央にある市役所に辿り着いた時に、より大きな被害を与えた方が勝ち、という訳だ。
「両方とも、犬らしい動き、猫らしい動きにこだわったらしくて、ミサイル飛ばしたりとかはしないんですがー‥‥」
 それでも既に被害は出始めている。家屋を倒壊させ、人々に噛み付き、爪を振るい。早急になんとかしないと、街はめちゃくちゃになってしまう。
「別に個人個人でどっちが好きでも良いじゃないですか、ねえ」
 ともかく、お願いしますね。苦笑して、ネズはジャスティス達を送り出した。

■マスターより


 こんにちは、畑下はるこです。犬に噛まれて大惨事になり病院に担ぎ込まれて以来猫派です。
 でも犬も可愛いと言って憚らない浮気者です。

 コミカル風味ですが、そんなシナリオの空気とは裏腹に、両メカ共に攻撃力・破壊力はかなり強いです。ジャスティスが何もしないでいると、三十分程度で市の半分が壊滅します。
 それを踏まえて今回の勝利条件ですが、ジャスティスは犬メカと猫メカを破壊し、被害をより小さくする事。市の半分以上が壊滅してしまったら失敗です。ジョーカーはその真逆で、ジャスティスの邪魔をして、より多く市を壊滅させる事が目的となります。
 ジャスティスのペルソナしか出ておりませんが、行き渡っている情報は善悪どちらも同じとお考え下さい。

 それでは、御参加お待ちしております。

■参加者一覧

ja0126ルシフェラーゼ(結城夏岳)・善・♀・31
ja0247ヴァルテ・スモーク(香野けむり)・悪・♀・24
ja0350バスタード=セイント(相馬・聖)・善・♀・32
ja0442D・ストーム(久住匠)・悪・♂・40
ja0643ヒロ(藤堂緋色)・善・♀・20
ja0690レディ・ローズ(マリア=アンジェラス)・悪・♀・41
ja0790”地獄の番犬”犬飼八彦(犬飼・八彦)・善・♂・32
ja0906朱雀(南守・小鳥)・善・♀・28
ja0939クェイサードラグーン(R・L・ジーン)・善・♀・30
ja1009亜妖(雪島登紀子)・善・♀・29




■リプレイ

●にゃんこ三匹のカプリチオ
 にゃーん。
 か細く、愛らしい鳴き声が響く。差し出された焼き魚の前をてってけてってけ小さな足で通り過ぎる猫メカ三体に、ヴァルテ・スモークは首を傾げた。あれー?
「猫らしくを心がけても、やっぱりメカなんだなぁ」
 それらしいメカ、しかも破壊行動の為に作られたメカだ。食事の器官まではついていないらしい。残念そうに唸り、ヴァルテ・スモークはにゃんこの足形を色紙にぺたこと押しつけた。趣味のサイン集めの一環である。
「っとと、来た来た」
 ジャスティスと思しき人影を見つけ、罠としてバナナの皮を設置するヴァルテ・スモーク。と、設置した傍から猫メカがそれを踏み、滑って転んで逆上した。辺りを破壊し始める猫メカに、ヴァルテ・スモークは慌ててマントを纏い、その体を紙の様に薄くして逃げ出‥‥そうとして。吹き抜ける風に、その身体を攫われた。
「あわわーわわわー」
「しかし、とんでもねえな」
 飛んで行くヴァルテ・スモークに全く気付かず呟いたのは”地獄の番犬”犬飼八彦だ。その視線の先には暴れ回る猫メカ三体の姿。ブロック塀を薙ぎ倒し、コンクリートに傷痕を残すその爪の威力に、八彦は呆れた様な表情を見せた。
「スーツの首輪は伊達じゃねェ、管理された力で悪を叩く!」
 威勢良く啖呵を切るバスタード=セイント。ヒロに預けられた誘導ネズミロボ『とっとこチュウ太郎』を掲げ、今放とうと大きく振りかぶり‥‥。
「相馬、それ違う。あっち」
「あ?」
 後方の八彦にツッコまれ、バスタード=セイントが怪訝そうに振り返る。そしてもう一度目前のオブジェクトをよーく見つめれば、
「あ、これタニシだ!?」
 そこにいたのは壁に張りつく小さなタニシ。間違い過ぎである。
 やれやれと首を振りながら、八彦は猫に向けて構える。
「くっだらねえ事で善良な市民の皆さんを困らせやがって。‥‥犬が一番に決まってンだろ!?」
 言いながら犬派の八彦は猫の一体にPKフォースを撃ち込み、こちらに注意を引きつける。それを受け、今度は正しく猫を認識したバスタード=セイントがチュウ太郎を放った。ちゅーちゅーと鼠の鳴き声を発しながらお尻をぷりぷり、尻尾をぱたぱた、猫達の前を挑発的に動き回るチュウ太郎。
 チュウ太郎の魅惑のヒップに、じゃれつき飛びつき押し退け合う猫達。攻撃されて逆上している猫も八彦が持参した猫じゃらしやマタタビを振るとすぐさまそれに視線を固定させた。
 拍子抜けする位にあっさりと誘導されてくれそうな猫達。横で見ていた朱雀が安堵したその時、三人の耳に女性の声が飛び込んで来た。
「助けて下さい! 怪我人が‥‥!」
 見目麗しい金髪の女性が、黒髪の女性を背負い必死に歩み寄ってくる。頷き合って、バスタード=セイントは一時的にチュウ太郎を停止させた。ヒロが合流場所をインプットしてくれている為、放っておいたら先にどんどん進まれてしまうからだ。代わりに、と八彦がヒロに持たされたもう一つの発明品『ねこじゃらC』‥‥マグネットの着いた猫じゃらしを投げつけた。一体の尻尾の先に張りついたそれを、他の猫メカが競って奪い合う。
「大丈夫ですか?」
 駆け寄る善の三人に、花が開く様な柔らかな微笑みを見せる女性。
「恐ろしかったですわ。‥‥これから貴方達が味わう恐怖程ではないでしょうけれど」
「はい?」
 きょとんとして聞き返す三人を他所に女性は勢い良く立ち上がる。
「愚かなジャスティスども、この街と共に朽果てるがいい! オーーホッホッホッホ!」
 辺りに響く高らかな笑い。その声に併せ、女性はみるみる内にレディ・ローズへと姿を変えた。
「ジョーカー‥‥!」
 眉を顰めるバスタード=セイントに、更に耳を覆いたくなる様な報告が届いた。
「ジョーカーによって劣勢だ。すまないが、暫く合流場所には辿り着けそうにない」
 通信機の向こうから響くクェイサードラグーンの声は、微かな焦りを含んでいた。

●ハッスルわんこのソナタ
 猫班に通信が入る、少しだけ前の事。
「居た!」
 空を駆けるオフロードバイク『Dキャリバー』。同乗したルシフェラーゼが犬メカの巨体を発見し、小さく声を上げる。地上でDキャリバーを追う亜妖にその位置を指し示し、運転手であるクェイサードラグーンは真っ直ぐ犬メカにハンドルを向けた。そしてそのまま犬メカ目掛けて突っ込んで行く。
 エネルギー刀身が螺旋状の残像を描き、犬メカが甲高い悲鳴を上げた。クェイサードラグーンの必殺技、ネビュラ・ドライバーだ。
「来い、いぬころ。‥‥一人であそぶのも、飽きただろう」
 Dキャリバーをゆっくりと接地させながら、クェイサードラグーンが犬メカを睨みつける。挑発された犬メカは、歯を剥き出してDキャリバーに飛びかかった。アクセルを捻り、Dキャリバーを急発進させるクェイサードラグーン。
 いざ合流場所へ。予め算定したルートを進み、一つの路地に入る。が、そこでクェイサードラグーンは停まらざるを得なかった。
 バッタの様な戦闘員と、カプセル星獣ダークザウラス。彼らが道を塞いでいたからだ。
「退かすしかないねっ」
 ルシフェラーゼが後部座席を降り、後方から掛けてくる犬メカに備える。今通って来た道の角に、ちらりとその巨体が覗いた。
「それっ!!」
 見えた瞬間に、ルシフェラーゼは犬メカに目掛け持参した骨を投げつけた。驚き立ち止まる犬メカ。だがそれだけだ。続けてドッグフードを投げつけるも、それもちらりと見ただけで無視されてしまう。お腹が減っていない、というポーズだろうか。その仕草は確かに犬らしい物だった。
「それならこれでっ!」
 ルシフェラーゼがボールを投げる。反射的に目で追う犬メカ、そして視線の先にはそのボールをキャッチする亜妖の姿。必死で駆けて来たのだろう、亜妖は肩を激しく上下させながら犬メカに向けてボールをちらちらと振ってみせる。今度は興味を惹かれたのかじっと見つめてくる犬メカ、そして。
「はいっ!」
 亜妖がボールを明後日の方向に投げた。飛び出し、ボール目掛けて駆けて行く犬メカ。その間にクェイサードラグーンが空から星獣に襲いかかる。亜妖も光の槍を造り出し、戦闘員に撃ち放った。
 すぐにボールを確保して帰って来た犬メカに、ルシフェラーゼが駆け寄る。その手に持つのはエラスティクロッド。
「はぁっ!!」
 敵意を見せるルシフェラーゼに牙を剥く犬。その口に、彼女は拳をねじ込むようにしてロッドを突き入れた。ロッドはつっかえ棒となり、犬メカは閉まらない顎を持て余しよたよたと動き回る。よし、上手く行った! 呟き、ルシフェラーゼが別の敵に向き直ろうとした瞬間、
「俺に実力者とやらの実力を見せてみろ」
 静かな声が耳に届く。と同時に、ルシフェラーゼの背に衝撃が走った。
「結城さん!」
 亜妖の声。それに被さる様に、布を剥ぎ取る様な音が聞こえた。ルシフェラーゼが振り返りながら蹴りを見舞うも、その足先は空を切る。現れたのはジョーカー、D・ストームだった。再び振り下ろされたD・ストームのダークフォースブレードを躱せず、ルシフェラーゼの身体に二つ目の傷が刻まれた。
 反撃してくるルシフェラーゼに、D・ストームは片眉を跳ね上げる。運動能力の高さ故だろうか、ルシフェラーゼはその一連の動作の中で、ふとD・ストームの予想を超えるしなやかな動きを見せた。装甲も相まって、その姿はまさに野生の雪豹の様だ。
 しかしその動きもD・ストームに隙を作らせるには至らず‥‥逆にD・ストームの圧倒的な格闘技術に翻弄され、ルシフェラーゼの傷が増えていく。油断せず、容赦せず、相手を嬲る様な余裕も見せない。見るものに恐怖を与えるD・ストームの戦い方に、ルシフェラーゼは一筋、汗が伝うのを感じた。
「ジョーカーによって劣勢だ。すまないが、暫く合流場所には辿り着けそうにない」
 猫班に向けてそう言い捨てて、クェイサードラグーンはライフルを構える。
 スコープの向こうで、荒れ狂う嵐が白い雪豹を呑み込もうとしていた。

●ご対面ラプソディ
「やっておしまいなさい!」
 号令と共に、レディ・ローズはカプセルから星獣三体を解放する。現れるなり吹雪を吐き付けるダークマクラスに、その吹雪を掻き分ける様に突進してくるダークザウラス達。更に、レディ・ローズが背負って来た黒髪の女性までもが彼女の命令に従う様にジャスティス達に駆けて来た。レディ・ローズ自身も怪電波発生装置「甲」を用い、辺りに音と振動を巻き散らす。
「こっちはこっちで結構キツいな」
 悪態を吐き、猫メカに駆け寄る八彦。襲い来る爪をPKバリアーで弾き飛ばし、その尻尾から猫じゃらCを奪い取る。
 バスタード=セイントは別の一体にミラージュ・スティンガーを撃った。見る物を惑わすその軌道に、猫メカは避ける事も出来ず関節部に直撃を受ける。残りの一体も朱雀がダーツで引きつけて、逆上する猫メカ達を猫じゃらCで挑発しながらジャスティス達は駆け出した。
「お待ちなさい!」
 吹雪が背を焼き、振動が走る力を弱めていく。それでも三人は猫達を引きつけ、駆けた。犬班は動けない、だったらこちらから合流せねば同士討ちはさせられない。猫メカの爪がコンクリートを割り、飛び移った家々の塀を砕く。それでも、人に被害が出ないだけマシだ。しかしそんな正義の背に、レディ・ローズの無慈悲な言葉が降り掛かる。
「そこのお嬢さんはどうなっても良いのかしら?」
 見れば、そこには黒髪の女性の姿。吹き渡る吹雪に後ろ髪が跳ね上げられ、その後頭部に着く蛇を露出させる。寄生獣イーイーだ。
 女性がこちらに駆けてくる。その後ろから、ザウラスが駆けてくる。このままいけば、女性はザウラスの突進に巻き込まれ‥‥。
「くっ!」
 咄嗟に飛び出す朱雀、牽制射撃を行うバスタード=セイント。ザウラスの足が止まったのを見て、朱雀が女性を無理矢理担ぎ上げた。
「!」
 じたばたと暴れるも、やはり元はただの女性。特殊スーツ装着者の朱雀に力で叶う筈も無い。
 舌打ちするレディ・ローズに背を向けて、三人は再び駆け出した。

「ぐっ!」
 D・ストームの口から、呻き声が漏れ出る。クェイサードラグーンがレーザーライフルで彼を撃ち抜いたのだ。その隙を付いてD・ストームから距離を取るルシフェラーゼ。亜妖もD・ストームにPKフォースを飛ばし、ルシフェラーゼの離脱を援護した。
 戦闘員は全員打ちのめしたが星獣とD・ストームは健在で、こちらはルシフェラーゼがかなりの傷を負っている。圧倒的な強さを誇るD・ストームを前に、劣勢である状況は変わらない。しかも‥‥全員が乗り物に乗れる状態ではない為、逃げ切れるとも思えない。
 ただ、幸いにも犬メカは口が使えない上、度重なるダメージの蓄積で弱っている。猫メカがこちらに合流し、犬メカと同士討ちさせる事に成功すれば‥‥となれば、今やらねばならない事は。クェイサードラグーンは再度ライフルを撃ち放つ。その弾は、再びD・ストームの肩口を撃ち抜いた。
 離脱したルシフェラーゼを守る様に、亜妖が進み出て星獣に立ち向かう。本日最後の光の槍を見舞えば、星獣はぐらりと大きくよろめいた。
「大丈夫か!」
 と、亜妖から見て星獣を挟み込む様な形で、路地の向こうに人影が現れる。バスタード=セイント、八彦、そして何故か暴れる女性を担いだ朱雀。
「ほらよ!」
 八彦が猫じゃらCを大きく放り投げた。緩やかな放物線を描き、それは犬メカの背にぴたりと張りつく。
「避けろ!」
 言いながら、猫班の三人は壁に沿って張りついた。慌てて亜妖とルシフェラーゼも壁に寄る。その後ろ髪を掠める様に、路地に猫メカが飛びこんで来た。
 にゃー!!
 立ち塞がる邪魔な星獣を爪を出したまま引っ掻き跳び越え、犬メカの背に飛びついて猫じゃらCを奪い合う猫達。
「今だ!」
 四体。固まっているメカ達に八彦がPKフォースを叩き込み、朱雀がダーツを放ち、亜妖が銃を撃つ。蓄積していたダメージ、更に立て続けに飛んでくる攻撃に、がらがらとそのパーツを落として行く四体のメカ達。
「‥‥」
 猫メカの後ろからジャスティス達を追っていたレディ・ローズが、視界に崩れ去ったメカ達を捉える。残念ながら潮時の様だ。最後に手近な場所に居たバスタード=セイントに火炎を見舞った後、レディ・ローズは空へと撤退して行った。
「よし‥‥!」
 戦況が好転した事を確認し、クェイサードラグーンはその身体に強いオーラを纏わせる。その気配を察し、尚もルシフェラーゼに追いすがろうとしていたD・ストームが足を止めた。流石にあれを喰らえばタダではすまないだろう。そしてどうやら、犬猫両メカも停止させられてしまった様だ。
 満足には少々至らないが、仕方無い。相手に恐怖は植え付けられただろう。D・ストームは大きく跳び、その姿を路地の向こうへと紛れさせる。
「ドラグーン・ロア‥‥!!」
 その瞬間、クェイサードラグーンのライフルから、圧倒的なエネルギーが放出された。

●わんことにゃんこのコンチェルト
 ジョーカー撤退、両メカ破壊の報を受けて、ヒロは辺りの一般人達を連れて治療・救出活動を開始した。本当は近隣のジャスティスにも手伝って欲しかったのだが、すぐに駆けつけられるジャスティスは居なかったので、メンバーは残念ながらヒロと一般人だけだ。
「もう大丈夫だからねっ」
 ヒロの柔らかい微笑みに、救助された人々の顔がつられて綻ぶ。しかしその表情はすぐにまた固まった。
「イーーーーッ!!」
 半泣きの叫び声と、銃声。ヒロが肩を抑えてよろめいた。D・ストームに命じられ、有名人であるヒロを襲おうと町中を探しまわり‥‥今になって漸くヒロを見つけた戦闘員達だった。見つからないのも当たり前だ。その頃ヒロは町中には居らず、近隣で有志を募っていたのだから。
 名のあるジョーカー達は既に撤退しているというのに、戦闘員が未だにここに留まっているなんて。驚きながらも、一般人を庇う様にしてヒロが立ったその時。
 戦闘員があっさりと吹っ飛んだ。見れば、そこにはジャスティスの仲間達の姿が、‥‥。
「だ、大丈夫!?」
 仲間達の姿を見て、ヒロが目を丸くする。全員が何処かしらに傷を負い、ボロボロの状態だ。特にルシフェラーゼはかなりの深手だし、クェイサードラグーンもこころなしかぐったりとしているし、更にイーイーが外せず仕方無く朱雀が担ぎ上げっぱなしの女性も居る。やられちゃったーと明るく笑う面々に、誰から治療したものかとわたわた慌てるヒロ。
「貴様等か、可愛いわんころを壊した奴は!」
「にゃんこも貴様等だな!?」
 そんな一同に、横から怒鳴り込んでくる男性が二人。白衣、眼鏡、天辺禿げ。身体的特徴のソックリな二人は、額に青筋を浮かべながら駆けて来た。
「製造者はお前らか! 建造物損壊・騒じょう…その他諸々でしょっぴく!!」
 一喝するバスタード=セイントに続き、亜妖も二人に口を開く。
「これはもう、犬が優れてる、猫が優れてるの論争ではなくて、どっちの技術が優れているになっていますよね‥‥。犬猫に失礼です」
 穏やかでありながらキッパリとした亜妖の言葉に、犬派猫派共に言葉に詰まった様だ。青筋はそのままにむぐむぐと言葉を探す二人を、八彦とクェイサードラグーンが左右からひっ捕らえた。銀河含む三人の刑事に取り囲まれ、二人は青筋の代わりに顔を真っ青に染める。
「そういえばね」
 ヒロが出際に得た情報を述べる。詳しい事はまた時間を掛けて調べないと解らないが、恐らく街の損壊は四割を越えているようだ。ジョーカー達の巧みな足止め、時間稼ぎ、そして合流や誘導のトラブル。辛くも勝利はしたものの、被害は広域に渡っていた。
 話を聞いて、何とはなしに締め上げられている二人を見遣る亜妖。犬も猫もそれぞれに優れいてる点があって、それぞれ好きな人がいて。それで良い筈なのに、どうして優劣を付けたがるのだろう。
「比較するほうが間違っていますよね、違う生き物なんですから」
 そこに平等な基準は存在し得ないのに。亜妖は深く溜め息を着いた。


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