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■「GALVA INVASION」第7ターン 全体イベントシナリオ 後半パート リプレイ

●知恵の迷宮
 皆、変身しての臨戦態勢。覚悟を決めての参戦だ。
「迷宮ゆーてたから迷路みたいなもんやと思ってたけど‥‥なんか違う感じがするなぁ」
 そうぼやくCT(ja1828)の目の前には一軒の屋敷。
「とりあえず入口は普通の屋敷みたいだね。奥にいけばいくほど複雑なのかな?」
 プロフェッサーA2(ja1071)が見たところそれは何の変哲もない日本家屋。
 浮遊する岩の中を歩き進んだ結果見えたそれは誰がどう見ても藁葺き屋根の日本家屋だった。
「あれだけ手の込んだ招待状だったからには普通に歩いていただでは抜けられないのは確か‥‥である」
 グレムラクサー(ja2260)は生唾を飲み込み、慎重にその日本家屋に近づく。
「‥‥入ってみないことにはわかりませんね。入りましょう」
 豚(ja0105)も色々調べてみたが、外見には異常は見当たらない。横に開くと見せかけた玄関が、引き戸だったと言う常識を逆手に取った罠こそあったが、豚の知能の前ではただのドアだ。
「虎穴にいらずんば孤児をえず‥‥か」
 どう見ても日本家屋なその虎穴に霞沢賢作(ja1793)は足を踏み入れた。

「‥‥ジャスティスの者ですか!! 何故ここに!?」
「おどろきなさんなよっと。別に参加できるのはジョーカーだけじゃなかったってわけだ」
 叫ぶと同時に身構えるサイレントシャドウ(ja0103)を霞沢賢作は手で制し、自身が確認する意味も含めて告げる。
 元々ネットワーク上に大量に流されたデータだ。冷静になってみれば、ジャスティスであろうとジョーカーであろうとそれに気付かないはずはない。
「あのプログラムを解析したのか‥‥なかなかやるのである」
 唯一つ確かなのはここにいる者達は皆、グレムラクサーの言うようにプログラムの解析に成功していると言うことだ。それはすなわち、相応の能力を有しているということ。
「どの道ここでは武装の類はつかえないから戦闘もできない‥‥か」
 プロフェッサーA2達の敵となるのならばここで始末するのも悪くはない、だがどちらも武器を手にしていない状況で戦闘行為を行うことは難しい。何よりここは互いにとってアウェイにあたる場所だ。下手に戦って漁夫の利をロッソ(jz0124)に与えるのは好ましくはない。
「‥‥で。あんさんはどーすんのや? うちらと一緒に行動すんの?」
「それじゃあ、そうさせてもらうかね。大丈夫、あなた達を出し抜いたりなんかはしないさ」
 CTに問われ、無駄な争いを避けられそうだと判断した霞沢賢作は素直に同行を受け入れた。
「随分感に触る言い方ですね‥‥まぁいいでしょう。足手まといにならないようお願いします」
 出し抜いたりはしないという言葉に豚は霞沢賢作の自信を見出し、言葉を返す。やはりその言葉にも相手に対する牽制の意味が込められていた。
「では進みましょうか。みなさん、くれぐれも気をつけて‥‥」
 そして、サイレントシャドウは正面の襖を開け放った。

「‥‥部屋の中は真っ白な迷路か‥‥」
 プロフェッサーA2達の前に広がるのは真っ白いだけの空間。足場すらまともに見えない部屋だったが、ちゃんと床はあるようだ。
「みんな。どこに何があるかわからん。気をつけや!!」
 CTが一歩中に入れば、膝の辺りに何かが触れたような感触。間違いなく見えない何かがそこにある。
「さっそくゲーム開始というわけか‥‥。どこをどう進むか‥‥」
 手探りで物の位置を把握しながらグレムラクサーは慎重に思考を積み重ねる。
「周りを解析しながら進みます‥‥。異常はなし‥‥」
 様々な分析を重ねながら豚は進む。有害な電波や洗脳に使われるような細工は一切ない。本気で知恵を確かめるためだけに作られた部屋のようだ。
「と、いっても進まないことには何にもならないしね。深く考えずにまずは進んでみようか」
 霞沢賢作は身体をぶつけながらも、その何も見えない部屋を突き進む。
「‥‥気楽な方ですね。それでなんとかなるとお思いですか?」
 サイレントシャドウはそう言いながらそれに続く。このまま何事もなく一人先に抜けられては出し抜かれるだけ。それだけは避けねばならない。
「武器禁止って言われてるんだしモンスターなんかはいないと思うけど‥‥罠とかはあるんじゃないかなぁ?」
 完全に手探りで進みながら、プロフェッサーA2は首を傾げる。最初にアレだけの招待状を贈りつけて来たのだから、手探りと根性だけで突破できるような迷路しかないということは考えにくい。
「せやね。ここはウチに任しとき!! どんなトラップでも瞬時に外して‥‥」
「そこ、反応アリ‥‥危ないです!!」
 CTがそう言った直後、豚が後続のWCを手で制し、足を止める。
「う‥‥上から壁が!!」
 その直後、サイレントシャドウの背後に目に見える壁が下りて来た。
「閉じ込められましたよ!!」
「あちゃぁ‥‥。やっちゃったな。どうする?」
 後方をサイテントシャドウが前方を霞沢賢作が確かめながら、出口がないことを悟る。先ほどまでの迷路と違い、今度は明らかに抜け道がないことは見ればわかる。
「なんだ‥‥この壁、パズルになっているようである!!」
 そんな中、グレムラクサーが壁面に触れていると壁面が横にずれた。
 それと同時に壁の模様もその部分だけ横一列が隣の壁へと移動する。壁に使われている色彩は5色。さらに床部分の白を入れて6色。そして壁面の色の配置は9マス。回転する部屋‥‥要するに、ルービックキューブの中に閉じ込められたような状態だ。
「これをとけばいいんだね!? ええっと‥‥これがこうで‥‥これがこう‥‥!!」
[ちゃうちゃう!! こっちはこれで‥‥これがこうや!!」
「落ち着いて下さい!! そうでなく‥‥こうです!!」
 プロフェッサーA2、CT、豚が互いに自分の考えで逆ルービックキューブを動かす。
 三者三様の行動。それにあわせて避難しなければならない同行者達のほうが肉体的には大変だった。
「と‥‥止まった‥‥道も開きましたね‥‥」
「‥‥もしかして。こんな仕掛けがいっぱいあるってことなのか?」
 サイレントシャドウと霞沢賢作が息を切らしながら問うが、この場の誰もがその答えは知らない。だが、全員がその言葉を肯定せざるを得ない状況が待ち構えていることは、色のついた区画が見える範囲に点在していることからも明らかだった。
「面白い‥‥ロッソ!! 小生と知恵比べである!!」
 グレムラクサーはそう言いながら再び白い迷路を駆け抜けていった。

●ドンキー教団本部にて

 東欧某国教団本部。教祖のボディーガードとして潜り込んだ獅子戸竜子(ja1338)は、その立場を利用して探りを入れていた。
「見つけた見つけた‥‥これが楽譜だね‥‥ひゃっ!!」
 ドンキーCDに使われている曲の楽譜である。特に変わったことも無いものだが、オリジナルとどこが違うのか? あるいは全く同じなのか、なぜこの曲が使われているのかを調べれば、きっと何かが出て来るに違いない。
 と、推理しつつカメラに収めていると
「Σ誰!?」
 拳銃[22口径]の筒先が、気配の方に向けられる。
「しっ!!‥‥大丈夫。私は味方よ」
 現れたのは2人。大門光(ja2298)と、
「なんとか内部に潜入することに成功したんですよ。そちらもCD集めですか?」
 河原まさご(ja1691)であった。
 竜子は面識はあるまさごの出現に、光への警戒は解き
「それもあるんだけどね。楽譜のありかを教えてもらってさ。今記録してるところだよ」
 と説明する。光は頷いて
「なるほど。それを記録しておけば何か特殊な音階等、発見できるかもしれませんね」
「CDは言うだけでも普通にもらえたけど‥‥それは思いつかなかったなぁ‥‥」
 目をぱちくり。当に鱗が落ちたようなまさごのリアクションに、竜子はにこやかに、
「盗み出してしまおうかと思ったんだけどね。持ち出しただけで警報が鳴る仕掛けみたいだね。つまり、ここはそうしなきゃいけない理由があるのさ。さっさとずらかりな。私はここに残るから」
 とメモリーカードを抜いて渡す。
「そうですね。長居は無用ね。行くわよ!!」
 踵を返す光。えへっと笑って挨拶し、まさごは
「あ‥‥待って下さいー!!」
 と後を追った。

●南国の風

 空気が違う。暑い日差しと街の匂いに、ジャスティス一向は汗を拭う。
「一つ貰いましょう」
 胡蝶・亜都真(ja1679)は財布を取り出した。
 舟の物売りが進めるのは、川の水に浸した椰子の実。そいつをスパッと鉈で切り、ストローを差し込んだ飲み物だ。
「やっぱ。安心して飲めるのがホッとするよね」
 エドワード・フェニックス(ja2371)も、少し冷たい甘い果汁に涼を取る。
「やはり地道に聞き込みをしていくしかありませんか‥‥」
 亜都真のぼやきにエドワードは
「そうだね。どこに敵が潜んでいるかもわからないし。気をつけよう」
 と、言いつつ。櫛で髪を整える振りをしながら、鏡で辺りの様子を伺う。
「少し警戒しすぎかな?」
 いや、そうでもない。
「すれ違いざまに逆に盗聴器などをつけられる可能性もあります。慎重に‥‥」
 亜都真も油断無く行こうと目配せをした。

●なんでありますかー

 娘パズルに15パズル。知恵の輪100選にジグソーパズル。魔方陣に数独。
 ありとあらゆる一般的なパズルを無理やり部屋の形に押し込めたような難関を潜り抜けた先はパルテノン神殿を模した天蓋のついた小さな区画。
「‥‥なんて肉体派なパズルだったんだ‥‥」
 大半のパズルが突如舞い降りる壁面に描かれており‥‥そのほぼ全てが動かすだけで一苦労。魔方陣や数独に至っては嵌め込むパネルが全て鋼鉄製という嫌がらせのような仕様になっていた。これで疲れないほうがおかしい。
 おまけに少しでも操作を間違えると、金タライが落ちて来たり水をかぶる羽目になったりと、遊ばれているのではないかと思える仕様だ。変身状態では、間違っても命の危険はなさそうなのでここまで続けたが、そろそろ心身ともに限界である。
「これが最後ですなー」
 大半が疲労困憊状態な中、まだ若干の余裕があった豚がそれに触れると‥‥。
『おめでとうございます』
 ぽむっと言う音と共に天蓋が割れ、大量の花吹雪‥‥のつもりだったのであろう紙切れが一斉にどさっと落ちてきて豚を埋めた。頭に乗っかった宝石箱のような物を改めると、1個の円筒形状の物。
「なんでありますかー。これはーっ!」
 叫ぶ豚。
 その直後。一向のいた部屋の壁面がばらばらと崩れ落ち‥‥。
「どんな落ちだああああぁぁぁ‥‥」
 全員が地球の重力に惹かれて落ちていった。

「‥‥」
 その様子の一部始終をロッソは無言でモニターで観察していた。
 難関を突破されたことを怒るように肩を震わせ、拳を握り締める。
「‥‥」
 しかし、無言でいた理由は決してジャスティスとジョーカーの実力を見極めようとしてのことではない。肩を震わせていたのも怒りが湧き上がっていたからではない。
「あー、面白かった」
 あまりに面白かったので痙攣を起こしかけていただけの話である。
「データも取れたし、笑わせてもらったし‥‥大仕掛けを用意した価値はあったわね」
 そういうとロッソはその映像の一部始終を収めたデータディスクを‥‥また最初から見て笑い始めた。
 おい。ロッソ。最近キャラが変わってないかい?
 しかし、まだ続きがあった。散々笑い転げたロッソは、ふっと真顔に戻ってこう呟いたのだ。
「今回のことを、単なる暇つぶしのイタズラと思ってくれれば上出来ね。まかり間違っても、あのブツをガルバ様に向けられる訳にはいかないわよ。ずっと忘れて居て欲しいものだわ、取るに足らない代物と。あいつらが『ヘレルの長子』に追い詰められるその時までは‥‥」

●預言の秘密?

 最近、殆どお篭り状態の馳河三郎(ja1487)。
 基地のコンピュータとネットワークを駆使し、ずっと預言関連の解析を進めている。
「やはり大きく関係しているのは『ギリシャ神話』だと思います」
「神話‥‥?」
 キョトンとするファナ・コウサカ(ja1764)。大門譲二(ja1603)も首を傾げ、
「話がよく見えないが‥‥。神話になぞられたことが起こると予言しているのか?」
「待って下さい‥‥。約束の地の話で末っ子になったユイさん。運命の三女神‥‥」
 三郎が言い掛けるが、ファナはキョトンとして
「難しいこと‥‥。よくわからない‥‥」
「無理に解ろうとしなくてもいい。それに解析もまだ始まったばかりだ」
 そう言う譲二も、今の説明では理解して無い。
 難しいことは判らないと、ファナは
「いい予言‥‥。書かれているのか?」
 と確信に切り込む。譲二は首を振り
「それも解らないが‥‥。私たちが望む予言が書かれているとは限らない」
 三郎はファナに噛み砕いて
「予言は予言です。確実性はありませんし、変わることもあります。例えば旧約聖書にもこんな話があります」
 と、ヨナ書の話を例示した。
―――――――――――――――――――――――――――――
 神はニネベの街を滅ぼす事をお決めに成り、
 預言者ヨナに命じて告げさせた。
 神の予定である預言、すなわち必ず成就するものであった。
 しかし、神はニネベの人々が必死に悔い改める姿を見て、
 ニネベの街を滅ぼすことを取りやめたのである。
―――――――――――――――――――――――――――――
「悪いことであれば抗う努力をするのも1つの道ではないでしょうか? 絶対的中する神様の預言でさえ、別の道は用意されているのです」
 ファナは俯き瞳を閉じてこう言った。
「‥‥みんな。苦しんでる‥‥。力になってあげたい」
「その気持ちが大事ですよ。‥‥さて、解析はある程度終わりました。ではこちら、ファナさんに預けておきますね」
 三郎は解析した文言をファナに渡す。
「ガオ‥‥。ファナも‥‥がんばる‥‥!!」
 リーディングは便利なものだが万能ではない。明確な問いと適切な解釈が必要なのだ。
 どんな将棋の名人も、駒の配置と手駒を正しく知らなければ、次の1手を打つことは不可能なのだから。

●悪党ハリマオ

「‥‥失礼。俺はこういうものだが」
 新聞記者風に身形を整えた十文字ショウ(ja2167)。
「取材のものですよ。よければ協力していただけませんか?」
 田中五円(ja2336)の示す身分証明書は、日本の新聞社の特派員。
「60数年前の話か‥‥」
 日本からの取材と聞き、70過ぎの華僑系の老人が話をする。だが、ハリマオと言う名が出た瞬間。
「ハリマオ?! わしの家は、アイツの為に破産した。忘れもしない。当時、わしは8つの子供だったが‥‥」
 伝説のジャスティスとは思えない反応が返って来る。農園を焼かれたり、警護の者が襲われたりしたらしい。
 面食らったショウが
「えーと。どうする?」
「当時のジョーカーは、現地の華僑達を利用していたらしいですからね」
「知らずにジョーカー組織の人間にされていたのか‥‥」
「ここは、話をあわせましょう」
 五円は言った。2人は早口の日本語で手早く打ち合わせして、老人の話を記録に取って行く。
 当時は大変な戦争。特に戦闘中は軍医の手当てを受けることが出来ず、傷の痛みでショック死しかねない負傷兵の応急手当の為に、衛生兵によってモルヒネ注射が使われていた。
 その商いを任された老人の家。一家は誠心誠意ケシを栽培し、質の良いアヘンをイギリス軍に納めていたのだと言う。
「‥‥恐らくは、ジョーカーに騙されたんでしょう。例えば発注した将校がジョーカーで、実際には医療品では無い目的のために使われていたとか‥‥」
「麻薬密売の大元を叩くためか‥‥。多分、同じ状況なら、俺もケシ畑を焼き払いますね」
 所謂、とばっちりを受けた善意の第三者と言う話のようである。
 なおも話を聞くと、老人の父親は商品が納められなくなったために投獄されて、そこで亡くなった模様。当時、同じような家は何件もあったそうである。
「当時、何も知らない子供だったこの人が、閣下を恨んでいても仕方ないですね」
 五円は複雑な顔をした。

●24時間戦えますか?

 ジャスティスの経営する、某カレーショップに集まった、ジャスティスのドンキークエスト攻略の有志たち。
 新設されたインターネット端末の前に並んでパソコン画面を見やる。
「『魔王ガルバ』って時点であからさまに怪しいわけなんだがね‥‥」
 スタートセットを見つつ、永江・久親(ja2360)が言う。
「そうだな。世間的に有名になっている名前ではあるが悪戯にしても悪意がある」
 いや、涼村テス男(ja2030)君。有名なのはWC達の間だよと言う突っ込みを貰いつつ、大十字生(ja2151)は、
「とりあえずは普通にプレイしてみるか。何かおかしなところがあればお互い声をかけあうようにしてくれ」
 とゲームを開始した。
「いたって普通のゲームだよね‥‥。これが洗脳目的だったら対象はやっぱり子供?」
 佐々木日向(ja2375)が椅子の背もたれで伸びをする。
 久親は首を振り
「いや。ネット環境を取り入れたゲームとなれば対象年齢は幅広い。子供から大人。はたまた全世界まで」
「とりあえずはボスを倒すことが目的なんだろ? ‥‥と、簡単にやられてしまったぞ」
 生のキャラが、持ち金半額で教会で目覚めた。幸い、所持品に喪失は無い。
「よかったね。レア度の高いアイテムほど失いやすいらしいって。でも、一人だと猪にもやられるのか。‥‥どうやら他プレイヤーの協力が必須になってるみたいだね」
 マニュアルを読みながら日向が言った。
「あーっと。とりあえず『町の酒場で交流を求めて見ましょう』‥‥ここか?」
 テス男のキャラが中に入る。すると、居るいる大勢。久親は生を見やり
「都合よく他のプレイヤーが集まってるな。ガルバ‥‥っと。魔王のことでも話してみるか?」
 しかし、ここに居る冒険者達の関心はそんなところに無かった。掲示板とチャットのウインドウを見た生は、首を傾げ
「‥‥なんだ? 魔王を倒す。ということに関してはあまり関心がないようだな」
「特定のアイテムを探すこと。あるいは交流を深めることのほうが盛り上がってるみたいだね」
 日向は掲示板を眺めた感想を洩らす。
「‥‥ふむ。そのアイテムなんかに何か裏がありそうだな」
 テス男は詳しく調べてみることにした。

 それぞれに他の仕事もあった1週間後。再びカレーショップに集まったジャスティスの面々。
「おう。お疲れ〜」
 生が見やると、いつの間にかテス男の持ちキャラがレベル10になっていた。
「初期に使える特殊コマンドは1種類だが、無理をしなければ結構遊べる」
 あれからテス男は手動ボットと化して手堅く手堅くやりこんで見た。ここまででテス男は、ちょっとしたドンキークエスト通になっていてた。
「10人に挨拶とか、ヘルプで戦闘の手順を見ろとか、剣術の稽古とか。一人で出来るチュートリアルクエストが結構ある。それでやり方を覚えて少しは装備も良くしてから、ウサギを捕まえろとか、きこりに弁当を届けろとか、パーティー組んで初心者用の簡単な奴にチャレンジ。一定レベル無いと先に行けない関所とかが設置されているのは親切設計だな。段階的に外の世界へ誘うのは、定番かな」
 クエストの大半は酒場に張り出されるものだが、二階や三階、地下の窓口には一定レベル以上無いと立ち入ることも出来ない。そして、他のプレイヤーが居ることが前提の救援コール。マスクに向かって助けてと叫べば、救援が来ることもあると言う設計。
「常設クエストに一定回数救援せよと言うものや、遭難者にアイテムを与えろなどと言うものが有り、結構バカに成らない報酬が付く。基本的にプレイヤー同士が助け合うよう仕掛けられてるな」
「なるほど。参加者同士のケンカが起こり難く設計されているのだな」
 生は一々感心しながら説明を聞いた。
「まだ何レベルまで上があるのか判らないが。戦士は10レベルにつき1回、剣を振れる回数が増える。魔法使いも魔法コストが減って行き、使える回数が増えて行く仕組みだ。レベルを上げて行くと、ソロ狩りできる程強くなるらしい。そうそう。消耗品だがレアアイテムも拾ったぞ。ただ、対抗可能な最低レベルの時しかモンスタードロップされない、美味しいレアアイテムとかがあるのには参った」
(すっかりハマった感じの物言いになっているね。テス男君)
 久親のテス男を見る目は生暖かい。日向も
「特定のアイテムが入る時間をチェックしてみたが、流石に3日が限度だったな‥‥」
 と遠い目をする。
「例えばこれ『ウサギの足』。幸運がUPするアイテムだが、レベル1の時1キャラが1回だけ手に入るそうだ。複数ゲット可能だが、レベル7の時だけしか入手できない『クッキングランス』なんか結構強いぞ。植物系モンスターに大ダメージを与える回転刃の槍だ」
 次から次へと仕入れた知識を披露するテス男。
「と、まあ。この手のアイテムは結構高値が付くし有益なんで、レベルが上がり過ぎてたら別キャラ育てるか、アンデットに経験吸い取ってもらう必要がある」
 皆は不眠不休でやり続けるテス男に呆れるほど感心した。生身の体ではこうは行くまい。

●軍資料室

「なんで軍艦マーチ?」
 亜都真は目をぱちくり
 現地語で歌詞は判らないが、正しくそれは軍艦マーチ。
 記録を調べに軍を訪れる亜都真とエドワード。丁度、パレードの練習をしていた軍隊と出くわした。
「何かの式典らしい。おやっさんから聞いていたけど、実際に耳にするとびっくりするよね」
 エドワードはハリマオ閣下の手配により、日本軍が独立解放軍の指導をすることになった。とは聞いていた。
 戦後もこの地に留まり、彼らと共に戦った日本兵も居ると言う。
「話はややこしいよ。当時はどこの国もジャスティスとジョーカー双方が活発に活動していたらしいからね」
 それ程大きな戦争だったと言うことだ。

 有口(jz0035)の紹介状を見せると、本来は閲覧禁止の資料のある場所に通された。
 身元の確かな彼らでも、入るときと出る時に厳重なボディチェックをされると言う重要な場所。さらに、
「独立以前の資料は、この辺りです」
 完全武装の警備兵が1個分隊張り付くと言う厳重さ。

「あった。多分これだ‥‥」
 エドワードは資料の一つを指差した。麻薬密売の元締めだった英国将校との深い関係を示す資料だ。
 だが、エドワードは胸を張って喜ばしそうに言う。
「この人。イギリス人じゃないですよ。‥‥ギョーム・クルーテ。綴りからするとフランス人のようです。ただ、当時の表の活動は‥‥」
 翻訳して読み聞かせる。
 聞き終わった亜都真は
「その内容ですと、今と大きな違いはありそうにありません。しかし内部までは判りません。当時内部にいた人間と接触できるのが1番ですが‥‥」
「そうだね。今は組織にいないけど昔いた人を探そうか?」
 エドワードの問いに亜都真は
「はい。ではこのマークを見せて‥‥。反応があるかないかでまずは判断しましょう」
「できるだけ戦闘は避けたいからね‥‥。温厚そうな人にするべきだよね?」
 エドワードは言うが、
「‥‥そんな組織にいた人、全員が全員温厚ではないですよ。むしろ秘密機種のため襲いかかられる可能性も‥‥」
 亜都真が脅かす。
「うぅ‥‥。それもそうだよね‥‥。一応警戒はしておくよ‥‥」
 調査は、やっと入口にたどり着いたばかりである。


●遺跡衛星を行く

 ELOの依頼によるアステロイドベルト組の計らいで、DS団を中心としたジョーカー有志は地球の重力井戸の底から宇宙空間へ、便乗と言う形で到達した。目指すは摩訶混沌界の牙城であったポーライ基地跡。すなわち、あの遺跡衛星である。
 宇宙へ出てからは順調そのもの。妨害もトラブルも無く目的地点に到達。早速変身して調査に乗り込む。
「なんとか無事に到着ね。さて、調査を始めましょうか」
 勇んで乗り込む獣華機娘(ja2303)。その余りの大胆さに、
「油断するなよ。どこに敵が潜んでいるかわからない」
 却ってG=ヒドラ(ja1823)が諌める程であった。
「‥‥それほど危険性はないようです。磁気・電磁波もなし‥‥」
 アビスロータス(ja1832)がセンサーをチェック。以降、諸々の手順を踏んで行くのを見るに至り、漸く獣華機娘にも不安が芽生える。
「いきなり円盤が壊れる危険性なんかはないってことね?」
 先程とは反対に、G=ヒドラは笑い。
「ではどこかにデータがないか探させてもらうとするか。何かありそうなものは全部とっておいてくれ」
 と先頭を切る。
 アビスは念を押すように
「気をつけて下さい。今は何の援助も受けられない状態ですから‥‥」
 現実を確認。
 獣華機娘は頷いて
「了解。でもさすがに手ぶらで帰るわけにはいかないわよね‥‥」
「ははっ‥‥。さすがにそこはわかってくれていましたか。‥‥気をつけて下さい。前方に何か反応あり」
 アビスのガイドに従って、進んで行く。
「っと‥‥赤外線か? あそこの装置を破壊すればいいな?」
 G=ヒドラの言にアビスは
「無闇に壊すと危険です」
「判った。赤外線を避けて通るぞ」
 なおも奥へ進む。
 どれだけ経っただろう。
「異物は無いけど、衛星設備の機能はまだ生きてるみたいね‥‥。慎重にいかないと」
 獣華機娘の言う通り、ここには摩訶混沌界の異物は、極僅かの残骸程度しか残っていない。
 そして、更に時間を掛けて調査を続けたが、酸素残量その他でタイムアップとなる時間に到っても、結局何事も無かった。
「紫外線と高温で消毒します」
 アビスによる念を入れた完全消毒。これでウイルスやプリオンの類からも清浄状態を保てる筈だ。
「無駄足に終わったな」
 自嘲気味にG=ヒドラは言うが
「何も無かったと言う事実に勝る情報はありません。これで暫くは、ポーライ基地跡を外して考えることが出来ます」
 アビスは誇らしげに言い切った。

●陽蔓を捜して

「ううううう‥‥。あの有名なドンキーが悪の組織だったなんてー。私の友達にも家族でドンキーに入信した子がいるのに許せないよ」
 宮内洋子(ja2332)はそんなことを言いながら涙を流す。表向きは救済を唱える宗教組織であるが故に、悪の組織であるなどとはこれまで一度も考え付かなかったのだろう。
「ドンキーは陽蔓さんを連中の巫女にして、彼女をよりしろにドンキーの神を下ろすつもり何じゃないか」
 行方不明の沢木陽蔓(jz0068)が洗脳され陽清として行動しているとして、その最終目的は神下ろしと言う緋袴冴子(ja2328)の言葉に沢木陽月(jz0089)は焦っていた。
「目撃されたのが陽蔓本人なのか『陽清(ひずみ)』なのかそれとも赤の他人なのか不明ですけれど‥‥何はともあれ調査してみるです」
「沢木姉妹を陥れんとする罠と言う危険性もある」
「罠の危険性もあるから慎重に動かないとな」
 それを嗜め、オムレッツ(ja2035)と星・光一(ja2165)、漆原祐(ja0289)はゴーグルやソナー、VSホッパーなどを用いて慎重に周辺の調査を行う。
 廃工場そのものには何の細工も施されていない。撃ち捨てられていたのを都合よく利用しているだけなのだろう。廃工場の内部には得体の知れないロボットが多数。一見すると壊れたガラクタのように見せかけられて いるが、センサーの反応を見る限りは現役の代物ばかりだ。それも旧式ではなくむしろ最新型に近い。
「最悪力尽くでひっぱってお持ち帰りするか?」
 しかし、それらも戦力としては塩澤白兎(ja0411)達が強行突破することが不可能ではないレベルのもの。
「敵の狙いがわからない状態でそれは避けましょう。出来るだけ気付かれないように近付いて陽蔓の居場所を探らないと‥‥」
 陽月も気は逸っているが、まだ情報は完全ではない。陽蔓を取り返しに来たことがばれて、別の場所へ移送されるようなことになれば手掛かりが失われてしまう。
「徹底的に手伝いお助けに尽力を尽くす、全ての能力を生かしてなぁ」
 塩澤白兎の協力を申し出る言葉を頼もしく感じながら、陽月は頷く。
「こうして一生懸命になってくれる誰かが居る、それは誇れる力ですよ」
 リム・フェザー(ja2323)は陽月をなだめながら、機を待った。

 一方その頃、荒世こと出間獲・乙蝶(ja0626)はドンキーの使う連絡手段を試し、反応を伺っていた。陽蔓の件にドンキーが関わっていれば、何らかの行動に出ると睨んだからだ。
 連絡したのは『陽蔓』と『廃工場』の二つの単語だけ。もし陽蔓を廃工場に隠しているのがドンキーであるのならば、廃工場の防衛に戦力を割くか、あるいは廃工場にいる部下に命令を通達するはず‥‥。
 反応は、予想とは少し違う形で現れた。予想していた伝令や通達は行った気配がないが、ドンキーの組織の人間達の動きが急激に活発化したのは確かだった。

「ごたごたの間に陽蔓さんから目を離したのが失敗でしたね」
 僅かに遅れて情報を掴んだ黒薔薇霧華(ja1035)は痛恨のミスに苦い顔を浮かべる。
「陽蔓の行方の手がかりである廃工場に向かうわ‥‥」
「今回は‥‥魔夜様や‥‥ローラ様が‥‥ドンキークエストの‥‥調査に‥‥忙しく‥‥特に‥‥命は‥‥下って‥‥無い為‥‥自己判断に‥‥より、‥‥陽蔓様の‥‥捜索に‥‥回ります」
 武装を整え、ディアナ・ターリオン(ja1408)とカタリーナ=クリューガー(ja2032)は廃工場へ向かう。目的は陽蔓に関する情報を少しでも多く手に入れるため。
「ぶ〜らぁどぴ〜じょん♪ 皆様のアイドルブラッドピジョンが、午後1時くらいをお知らせします。ぽっぽ〜♪」
 そんな緊迫した空気に耐え切れなかったブラッドピジョン(jz0036)はいつものように時刻を告げるのであった。

●付き人

―――――――――――――――――――――――
♪混じり気の無い 夏の日差しに
 今日も私は 独り想うの
  喜び 喜びで待つ 愛しのあなた
  喜び 喜びで待つ この胸のあなた

♪狭霧(さぎり)瀬を薙ぎ 初恋波に
 想う悲しさ 独り戻るよ
  この世に この世に願う 一人のあなた
  この世に この世に願う その笛のあなた

♪何にでも幸(さち) 待つより街に
 今日も私は 清い孤独を
  夜毎に 夜毎に出逢う 愛しのあなた
  夜毎に 夜毎に出逢う 夜(よ)の夢のあなた
―――――――――――――――――――――――
「へー。意外とシンプルね」
 出番を待つ武曲罠兎(ja1374)は陽清の歌に耳を傾ける。
 音域4オクターヴの声の延び93秒。信じ難い実力を以って歌う陽清の持ち歌は、子供でも歌えそうなシンプルな曲。そして幾つかの賛美歌。
 いや、実際はシンプルな曲ほど難しいのではあるが‥‥。

「賛美歌がヒットチャートなんて初めてですよ」
 武曲罠兎の問いに答えるTV局スタッフ。
「あれ? 最近『アメージング・グレイス』が流行ってなかった?」
 罠兎は言うが、
「いや『主、我を愛す』ですよ。あれとは次元が違います」
 恐らく、世界で最もポピュラーな賛美歌の一つ。驚くべき宣教効果を持った曲で、キリスト教の全てが詰め込まれた賛美歌と言って過言ではない。
「あれ? つばささん?」
 罠兎は舞台の袖に立つ女性に気付いた。間違いない。天野つばさ(ja0087)だ。

 暫くすると舞台は終わり、
「お疲れ様ぁ」
 タオルを出すつばさ。ちゃっかりあちらに紛れ込んだようだ。
「サンクスつばさ」
 冷えたスポーツドリンクを渡し、うっすらと汗の滲む陽清を拭いて着替えの手伝い。
「そこ、自然に着崩すよ。そう。ここだけ少し歪めちゃった方がいいんだよね」
 スタイリストのシーリィ・H(ja2163)が、次ぎの衣装の着こなしをチェック。
「完璧は無機質だよね。わざと一箇所だけラフにしてアクセントをつけなきゃ」
 衣装の襞の一つ一つにアイロンのコテを当てながら、わざとそこだけ。
 ウイッグを被せ、そこにだけコテを当てて、地毛を保護しつつヘアメイク。
 汗の引いた陽清の肌に、蜂蜜と地鶏の卵白を塗りマッサージ。
(これで髪の毛ゲットだよね)
 果たして陽清の正体は? 既に陽蔓の情報はELOにあるから、遺伝子情報の比較が出来る。
 シーリィは、じっと見つめるつばさの視線に気が付いた。
「Σどうしたの」
「いえ‥‥綺麗な肌だなぁ。と思って」
「キミもついでにやってみる?」
「え。いいんですか?」
「若い内にちゃんとケアしとかないと、18歳過ぎたら手遅れだよ」
 シーリィは怖い事を言う。
「19なんですが〜(汗」
 涙目のつばさ。
「まあまあ。私に任せなさいっ!」
 取り出したのは石鹸一つ。
「手に水を付けて、さっと一撫で、そして手を擦り合わせる」
 言われたとおりにやるつばさ。
「泡になった。成りましたよ。あぁ、私の手が筆みたい」
「それをお顔に盛り付けてやって御覧なさい」
 得意げに促すシーリィ。
「この石鹸。なんなんですかぁ」
「蜂蜜石鹸。10%が蜂蜜だよ。ベースの石鹸は3種類。植物灰と海藻灰でバージンオリーブオイルを時間掛けて処理したものをブレンド。仕上げに蜂蜜を入れて練り上げてからも、半年は寝かせて熟成させてる奴だよ」
 1個1万は下らない代物だ。
「仕上げは、UVカットのクリームね。これでアンチエージングだよ」
 ついでに陽清と同じ処置をしてもらい、
「良かったぁ〜。生きててよかったぁ〜」
 と、はしゃぐつばさであった。

●アステロイドベルト

「航路、異常なし。順調じゃのぅ」
 計器と航行記録を調べ、岸田・博士(ja1504)が確認した。
 途中、太陽フレアの影響を受け、進路変更を余儀なくされたが無事クリア。
 今は順調に飛行を続けるG型円盤。太陽を挟み、木星とは反対方向のアステロイドベルトを目指す。
「後方も異常なし。そのまま進行可能よ」
 涼村レイ(ja1668)がセンサーと目視で確認する。隣の草加ムサシ(ja1906)は頷いて、
「後、気をつけないといけないのはジョーカーぐらいかな?」
「そうね。どこに何が潜んでいるかもわからないし‥‥」
「例の宇宙商人も怪しいよね‥‥。戦闘はできるだけ避けたいけど‥‥」
 若い2人の会話に岸田が
「まぁまぁ。そう気張らんワシに任せておけば大丈夫じゃわい。若い2人は旅行気分を楽しめばよかろう」
「い‥‥。いや。私たちは別にそういうわけじゃ‥‥」
 赤面し、面白いほど慌てふためくレイ。ある種の人間には想像も付かない一面を見せた。
「博士!! 前前!! 危ないっ!!」
 ムサシが慌てて舵を切る。
「‥‥うほっ!! ぉ‥‥。間一髪じゃったの」
 2人の初々しさに気を取られていた岸田は冷や汗。慣性飛行するデブリと衝突しそうになったのだ。
「こんな軌道に、こんなものは無かったはずだが‥‥」
 岸田は首を捻り、手早く確認。
「ふむ。こいつはセントラルの‥‥。あの時の残骸が、こんな所に。この軌道じゃと月の地球側に命中するな」
「破壊しましょう。一般人の目についてはことです」
 ムサシが了解を取る。
「良し。大事の無い内に粉砕しよう」
 こうして宇宙戦艦の残骸処理に、彼らは軌道を修正した。

●天然物

「やっぱ背景組織の資本力が違うと売り出し方も派手だよなぁ。ああ、妬ましい」
 ぼやく河飯萌(ja2313)。
「ミクちゃんはどうなんですか」
 司会が涼村ミク(ja2101)を指名した。
「はーい。私も似たようなものです。ほんと世間知らずだから、色々失敗しちゃって」
 萌のライバルの一人だ。
(う゛‥‥あそこまで、おバカなぶりっ子は出来ない‥‥)
 天然掛かったミクではあるが、それでも陽清よりは作り物に見える。
 萌は、にこやかに談笑しながらも神経をピリピリさせていた。
「ボイストレーナー?」
 キョトンとした陽清。
「声のレッスンをする先生のことですよ」
 萌がほんとに知識の無い彼女に説明。陽清は一呼吸間を置いて、
「そ・れ・は、先生の言いつけなんで、ひ・み・つ」
 ウインクして見せた。
「あんまり弟子は取らない方ですよ」
 と続ける陽清を受けて、司会は
「そういえば、今度のドラマでボイストレーナー『戸隠九頭龍』って役は、真田系の忍術の達人で、陽清ちゃん演じる『犬養さやか』に、必殺技を教えるんでしたよね」
 超人的な発声で物体に共振現象を起こさせ、なんでも壊してしまうと言う『ハウリングボイス』と言うとんでもない術だ。因みに、これはタイアップのドンキークエストのバードのコマンドとして採用されることが決まっている。
「はい。あの歌は、ちょっと難しかったです。息継ぎ無しで一分半、オペラ座の端まで届く声量で複雑な発声をしなきゃいけませんでしたから」
 TVは先行してドラマの映像を流す。その間3分半。

「‥‥お疲れ様です」
 萌が他の3人に言った。
「あれ? そんなに疲れちゃいました? 私、まだまだ大丈夫ですよ♪」
 天然なのか笑顔を絶やさないミク。
(言えない‥‥。このテンションについていけないなんて‥‥)
 萌は言葉を飲み込む。
「あ、よければ飲み物、入れて来るわよ」
 腰を上げる罠兎。すると陽清が立ち上がり、
「それなら私が行きますー!! みんなオレンジジュースでいいですよねー!?」
 スタッフが制止する間も無くスタジオの外へ。
 萌はふっと笑い
「‥‥誘導しましたね? 本来なればスタッフに頼めばいいことですから」
「あは‥‥あはははは‥‥。で。実際どう思う?」
 罠兎の話題にミクはWCでしか判らない話題を振った。
「似てるといえば似てるんですけど‥‥。やっぱり性格が違うからねぇ‥‥。タヒチの時みたいな感じかな」
「案外猫かぶりかもしれませんよ? あなたのように‥‥」
 萌がチクリと小声で、聞こえるように呟くと、ミクはてきめんに反応した。
「うきー!! 私、猫かぶりなんかじゃありませんー!! ぶー!!」
 緊張した面持ちで口を挟めず見守るステッフ&マネージャー。
 そこへ陽清が戻って来た。
「お待たせしましたー!! ‥‥あれ? どうしたんですか?」
「な‥‥。なんでもないわよ!! ありがとっ!! それよりほら、CMあけるわよ!!」
「はい!! それじゃあよろしくお願いしますね!!」
 罠兎の言葉に、陽清は着席してカメラを向いた。

●廃工場の戦い

「何か手がかり、持っていなイカ?」
 突入と同時に気絶させた相手のポケットをヤレヤレイカラ(ja2256)は調べていた。
 ポケットの中から出て来たのはお助け豚さんの貯金箱。
「姉妹を、引き裂かせはしない」
「‥‥ジャスティスだと!?」
 その直後、漆原祐がジョーカーに攻撃を仕掛けた。疑惑は確信へと変わり、ジョーカーとジャスティスは廃工場内でぶつかり合うことになった。
「141421356‥‥入力完了、ぁボイルドォ〜、チェーンジ!」
「戦うです!」
「近くば寄って目にも見よ。天下のダークTロボここにあり!」
「陽月と陽蔓の身の安全が最優先だ」
「両者とも数多のジョーカーに狙われているので一時も気を抜かない様にします」
「陽月っちをサポートするっす」
「‥‥判断は‥‥ピジョンさまや‥‥他の方に‥‥準じます」
「くるっぽー!」
 暗い工場の中。互いが互いに牽制しあい、どこにいるのかわからない陽蔓に被害を出さないために力をセーブしての戦い。
「そう簡単に二人に手出しさせない! 通りすがりの龍戦士だ。覚えておけ!」
 そんな混戦状態の中、廃工場に飛び込んで来たライヴス・グランドクロス(ja2194)は名乗りを上げた。
「ジャッカルに借りがある以上‥‥彼の『娘』を守らせてもらうわ」
 ディアナ・ターリオン(ja1408)はその眼前に立ちふさがる。守るものが同じでありながら誤解からぶつかり合う両者。
「むしろ彼らが『敵』の注意を引いてくれているなら、こちらにとっても好都合‥‥」
 その激闘に紛れてルート・アルゴ(ja2295)は廃工場の奥へと密かに移動していた。
「敵襲?!」
「折角陽蔓様をドンキーの元から救出したと言うのに‥‥」
 内部では戦闘員に守られるようにして陽蔓が隠れていた。
 一度ドンキーに捕まった陽蔓は何故か人のいなかったこの廃工場に身を潜めていたのだ。
「助けに来ました」
 通風孔に身を潜めていたルート・アルゴはようやく状況を察し、声を掛ける。
「助けに、来てくれたんですか?」
 それを聞いて陽蔓は安心したような笑顔を浮かべたが‥‥。次の瞬間、その顔が驚愕に染まり‥‥同時にルート・アルゴは意識を失った。

●哂うガルバ

 日本の都会のお昼時。
「メーカーさんも大変ですね」
 店員が、軽食を運んで来た。
 ネットカフェの1区画を借り切ったジョーカー達。怪しまれないよう、ゲーム会社の名刺まで作り、人気赤丸急上昇のドンキークエストを会社IPを知られること無く調査すると言う名目でここに詰める。
 基地など下手な所からアクセスして、ドンキーに情報提供する危険を避けるためだ。
「他のプレイヤーの会話なんかを見ると普通のネットゲームにしか見えないわよね‥‥」
 メモを見つつ、都府楼・南(ja1812)が感想を述べる。
「‥‥だな。情報交換掲示板なんかも隠しアイテムの場所やレアアイテムの交換の話題で盛り上がってるぞ」
 御仁橋・西二郎(ja2127)が、オフィシャル外のミクシィーやツイッターも確認する。
「BGMの解析なんかも異常なし‥‥。困ったわね」
 この時点で、まだ南にはドンキーCDの情報が回って来ていなかった。
「お、御仁橋から情報が届いたぞ。‥‥特定のアイテムや魔法の組み合わせに関する効果?」
 と聞く西二郎に南は
「ゲーム内の隠し要素的なものかしら?」
「それなら掲示板とかでも情報が載ってたが‥‥。コイツに何かあるってのか?」
 西二郎は、レアアイテムに隠されたコマンドプロパティを示す。
「もしかしたらこれが‥‥」
 と、アイテムによるコマンドの拡張を試してみた。
 ショップの大金売りされる錬金アイテムに秘められた能力。極一部のレアアイテムにだけ存在するプロパティー。
「これに適切なコマンドを設定することで‥‥」
「ふーん。例えば杖なら、『全体』とか『連動』とかのプロパティーに自分が持っているコマンドをセットするのか」
 西二郎は今まで単体にしか掛らなかった攻撃魔法が、敵の全体に掛かるのを確認。
「剣なら『付与』とか『連続』とか、盾なら『反射』とか『吸収』とか『無効』とかがあるみたいね」
 あらら。『付与』プロパティーに回復魔法をセットした剣で攻撃すると、若干HPが回復する。『反射』プロパティーに攻撃魔法をセットした盾は、同じ魔法だけを跳ね返す。
「うーん。こうしてキャラを強化して行くのか」
 当然、設定コマンドによっては何も効果を示さない組み合わせもあったが、確かにコマンドの効果が強化される上、画面の演出効果が劇的に変化。
「今の画面スロー再生して」
 南が持ち込んだ機材でビデオ再生。
「‥‥当たりね。特定の組み合わせ魔法などによっておこる演出、エフェクトにサブリミナル効果があるわ」
 どさくさに紛れて表示されている映像。それは、良く見ると精巧なタッチの絵であったが、半裸の美女を抱いて高笑いする魔王の姿。あの、女泣かせのガルバがそこに居た。
 西二郎はため息をつき言った。
「なるほど‥‥。コイツをプレイヤー達独自に発見させて少しずつ洗脳していくわけか」
 しかし、死皇帝にして元摩訶混沌界の神官ガルバへの敵意ならば、自分達には問題ない。寧ろ、あのいけ好かない奴への敵意増幅ならば歓迎するところだ。
「引き続き情報を探ってみましょう」
 南の言葉に皆が頷いた。

●皮肉な結果

「こんなところに隠れていたとはな」
「‥‥ドンキーの配下のものですね」
 陽蔓の隠れていた廃工場はドンキーがある計画のために浮浪者を集めた際に無人と化していた場所。
「情報を提供してくれたものがいたので迎えに来ました」
 その情報は反応を伺うために送ったもの。皮肉なことに、それが理由で陽蔓は逃げ出したばかりだと言うのにドンキーに再び捕まってしまったのである。
 しかし、これでハッキリした。今、TVに生出演している『陽清』なるアイドルは、陽蔓とは別人であると。

●遊戯の鬼

 破軍神社。クエストメイキングの方向からゲーム解析を進める面・造(ja1654)は
「さてはて、どうやらサイトの反響が大きいようじゃのぅ」
「まぁ。ゲームなわけだからね。『遊び』の反応が大きくなるのは致し方ないと思うわ」
 アンネ=ローレンシュタイン(ja1345)は、魔夜が乏しい資金を費やして行った成果に驚く。よくもまあアレだけの手札でこれだけ動かせるものだ。
「集めてもらった情報と、提供してもらったアイテムを元に、錬金素材のクエストは出しておきました。他のプレイヤーが動いてくれるかどうか‥‥」
 破軍魔夜(ja1332)は造がかき集めた公開情報から、隠された情報を推理して攻略サイトを開くと共に、ゲーム内に個人で持てる掲示板で、情報ショップを開店したのだ。
 ここまで来るためにすっかり疲れ切った造は、
「しかし『交換』をしないと手に入れられないのは不便じゃのぅ。1つ苦情でも出しておくか‥‥」
 とぼやくが、アンネは
「『交流』を目的とするゲームなれば自然な行為だとは思うけど‥‥。そこに裏でもあるのかしら?」
 決して苦情が聞き入れられないことを断言する。
 魔夜は、彼女に集約された迷宮カードを手に、
「こっちの作成もさくさく行きますよ。要となるのは宗教用語、思想用語‥‥」
 と、おおわらわ。
「ん?」
 苦情をメールを送るため、メーラーを開いた造が声を上げた。
「クレームを付ける積りが、先にその迷宮に関して管理者からクレームが来おったぞ」
 魔夜は頷き
「やはり宗教的なものに対しては早々に苦情が来るようですね。思った通りなのです」
「どうやらこちらも管理者から目をつけられ始めたようじゃ。別人名義で別の所からアクセスしないとだめじゃの」
 造は肩を竦める。
「では、そちらの準備が整うまで、今まで集まった情報をまとめておきます。ローラ、お願い」
「うん。めぼしいものは大体揃ってると思うわよ」
 アンネは魔夜に頼まれメモの整理を開始した。
「ゲームを進行していく上で異常は見られないわ。やはり鍵となるのはアイテムや魔法‥‥」

●湖上の塔、下層の戦い

 湖上の塔、その基部。早々にベアを組み湖を渡ったルシフェラーゼ(ja0126)とD・ストーム(ja0442)は、後に続き三々五々やって来る者達を眺めていた。湖に張られた結界は、ペアとなった者達以外は通さないが、そこは普段から遺恨のある者達同士。岸では試合などそっちのけでバトルが始まり、一方でアーゲント(jz0125)の口車になど乗って堪るものかと意地を張る者達も、どうにかして結界を越え、彼と一戦交えようと悪戦苦闘している。
「あたしとしては、射撃の得意な人が良かったんだけどね〜」
「なら、今からでも他の奴と組むか?」
 いいよ面倒だし力を合わせて頑張ろう☆とヒロインスマイルを浮かべた彼女を、D・ストームは冷めた目で一瞥。笑顔の持って行きどころを失ったルシフェラーゼは、咳払いで誤魔化した。
「で、何を探してるの? そろそろパートナーに教えてくれてもいいんじゃない?」
「‥‥戦っておきたい相手がいる」
 D・ストームが何かに気付き、立ち上がった。動き始めた彼に、ルシフェラーゼも続く。

 アーゲントが塔に施した仕掛けは、ごく単純なものだ。多層に張られた結界は、戦って勝利した者だけが越えることが出来る。闘いを重ね、最上層にたどり着く一組を決する。これはそういう競技なのだ。
 しかし、競技に関係無い部分はかなり甘い。
「それじゃ、いくよ☆」
「うむ。ひのふの、み!」
 それ、と空に身を躍らせたのは、プリンセス☆ユウ(ja1094)と布都御魂剣巫女(ja1555)のペア。彼女達はそのまま湖に落ち、ルール上は失格となった。しかし。
「‥‥真に。結界が効かなくなっている」
「ね♪ 負けた人達が自由にウロウロしてたから、もしかしてと思ったんだ☆」
 あまりのザルさ加減に呆れる二人。が、すぐに、寧ろトラブルや混乱を望んでいるのではと思えて来て、薄ら寒い気分になる。
「それじゃ、お互い頑張ろ☆」
 ひらりと何処かに消えるプリンセス☆ユウを見送って、布都御魂剣巫女は上層を見上げた。
「兄上、きっとご無事で」
 意を決し、戦いの合間を縫って駆け上がる。

 裂帛の気合いと共に雷を帯びた拳を振るうデスペラード(ja0136)。しかしその拳はルシフェラーゼに巧みに躱され、太い鉄骨を空しく砕いた。絡まるZ剣にバランスを崩したところに、ホーリーブレイカ―の切っ先が襲い来る。
「くっ、何でまだこんなところをウロついているんだ!?」
「それはこっちの台詞だ!!」
 キルブレード(ja1056)とD・ストームは絡み合いながら落下する。互いを蹴り飛ばして跳躍するや、縦横に張り巡らされた鉄骨を巧みに蹴りつけ、再び互いに間合いを詰める。めまぐるしく攻守の入れ替わる戦いに、未だ下層から抜けられずにいた挑戦者達が目を奪われ、自分達の戦いを忘れて見入っていた。
 その戦いも、やがて大勢が決した。
「もう少しやるかと思ったが」
 組み敷いたキルブレードに、D・ストームがダークフォースブレードを向けた。容赦無く突き入れようとしたその時。キルブレードは茶色い土塊となり、風に吹かれて、さらさらと散って行った。デスペラードも、ルシフェラーゼの目の前で砕けて散った。その様子を眺めたまま、暫し声も無い二人。ただ、激しい戦いでダメージを受けた剥き出しの鉄骨が、方々で不吉な唸りを上げるばかりだ。
「写し身の土偶か‥‥くそ、いつの間に入れ替わった!?」
 D・ストームが思わず声を荒げる。
「それより」
 ルシフィラーゼがポリポリと頬を掻いた。
「もう先頭は中層に入ってるんじゃないかな。あたし達、かーなり出遅れたよね? ちゃんとした対戦相手をさっさと見つけないとマズいんじゃない?」
「くっ」
 眼力だけで人が殺せるなら、今、この場所は大虐殺の現場となっていたに違いない。野次馬と化していた挑戦者達が、わっと辺りに散って、適当な相手と戦い始めた。

●湖上の塔、中層の戦い 

 異物[蔦の盾]を構え立ちはだかるごんぶと(ja0744)の姿に、クロームカウント(ja0698)はクロームランサーのアクセルを開いた。
(アーゲントめ、よくも‥‥待っているがいい!)
 これほどの戦いを、結界ひとつ越える為の余興にしてしまうアーゲントに純粋な怒りを覚える。唸りを上げるクロームランサーが、互いの距離を一気に縮めた。
「気をつけられよ黒騎士殿!!」
 シヴァルリー(ja1874)の警告。直後、ブラスターに打たれ、暴れのたうつクロームランサーが、足場を飛び出し、ゆっくりと落ちて行く。しかし、そこにクロームカウントの姿は無かった。転がり落ちる様にして咄嗟に躱した彼。だが、愛機の修理代に泣いている暇は無い。滑る様に間合いを詰めたごんぶとが襲い来る。
「声? 何処から!?」
 次の狙撃位置を探しながら、朱雀(ja0906)の目はごんぶととクロームカウントの戦いを追う。

「貴様ら、アーゲントの策に乗り同志討ちするのが本望か!?」
「その言葉が偽りでないなら‥‥一口乗れ」
 朱雀、ごんぶと、クロームカウントらの怪しげな動き。激しい戦いの中で互いの意図を知り、密かに手を組む者達。その流動的な流れの中で勝負は決して行く。
 ヴァンゼリオン(ja0931)&セイバーブルー(ja0526)組が兜神(ja1525)&B・B(ja2138)組に決定打を負わせるも、諸共湖に落とされ失格するなど。運と実力と裏工作や謀議に振るい落とされて行く勇者達。

●湖上の塔、上層の戦い

「あれ〜? あたし達が一番乗り?」
 不安定な足場を器用にとっとっと、と駆け上がりながら、辺りを見回すルシフィラーゼ。塔の頂上部は風が強く、うっかりすると吹き飛ばされてしまいそうだ。四方から迫り出した骨材が中央で捻り合わされ、奇妙なオブジェを形成している。それはまるで、原始的な宗教の祭壇を思わせる‥‥。そこに、一対の剣は突き立っていた。
「あれ、か」
 D・ストームが、さして興味もなさげに一瞥する。祭壇周辺に見えるちらつきが、この塔に施された最後の結界という訳だ。
(たかが剣に大袈裟なことだ)
 ふん、と鼻を鳴らし、彼はそのまま足元に視線を移した。下方では、まだ大勢が戦っている。アーゲントの曖昧な説明に、彼に反発する者達の行動が合わさり、皆、戦いの止め時を失っているのだ。何にせよ、その姿はひどく愚かしく見えた。
 吹き付ける風に、塔が大きく傾いだ。塔全体が呻く様に鳴る。ますます不安定となった足場を確かめる様に歩くルシフェラーゼに、来た様だ、とD・ストームが呟いた。
「結局おまえ達が相手か」
「だから言ったろう? 十中八九そうなると」
 気を失った銀河刑事を抱え、悠々と姿を現したのは、金色の獅子デスペラード。その後ろにキルブレードが続く。
「まさか、また逃げはしないだろうな?」
 声を掛けたD・ストームに、キルブレードは銀のロッドを向けて応じた。
「こちらにも譲れない事情がある。勝たせてもらうぞD・ストーム」
「俺は、戦えればそれでいい」
 不意に起こった気配に、4人が振り返る。いつのまにか、アーゲントはそこにいた。
「集いし勇士を心より歓迎する」
「言っておくが」
 デスペラードがアーゲントに指を突き付け言い放つ。
「俺は、おまえにも、ガルバにも、屈するつもりは欠片もない。そういう男に剣が渡るのが嫌なら、この茶番を仕舞いにして惨めに逃げ帰るがいい。無論、みすみす逃がすつもりも全く無いがな」
 ルシフェラーゼが、うんうんと頷く。D・ストーム、キルブレードが極めつきの曲者であることは言うまでもない。煮ても焼いても食えそうにない4人を前にして、アーゲントは表情ひとつ変えることなく、問題ない、と一言。
「我々の都合を気にする必要は無い。ただ闘いの場があり、勝者には剣が贈られる。それだけのことだ。どちらにせよお前達は──」
 と、その時。耳を劈く轟音が会話を遮った。激しい振動が塔を揺さぶり、更に大きく傾ぐ。すぐに、あらゆる場所が悲鳴の様な異音を発し始めた。
「あらら、誰かが止めを刺しちゃったかな?」
 音は下層部から、とルシフェラーゼが目を凝らす間に、アーゲントは空に身を躍らせ、その場に向かっていた。大きな鉄骨があちらこちらで脱落し、ごわんごわんと鳴りながら落ちて行くのが見える。高い水柱が上がった。逃げ始めるワイルドカード達。この塔がそう長く保たないだろうことは、誰の目にも明らかだ。
「さて。何か不都合はあるか?」
 D・ストームが問う。
「いや」
「愚問だな」
「仕方無いなぁもう」
 対峙する彼ら。ぎ、ぎ、ぎ、と不吉な軋みが体を揺さぶる。

 下層に到達したアーゲントは、そこで破壊活動に勤しむプリンセス☆ユウの姿を見いだした。くるくると身を捻りながら軌道を修正し、落下の速度そのままに、彼女の背に向け銀のロッドを叩き付ける。音もない襲撃。しかし、辺りにいた者達のざわめきと驚きの気配が、彼女にそれを察知させた。ひゃあ! と臆面も無い悲鳴をあげて躱した彼女。僅かに掠った衝撃、そして容赦無い衝撃波の追い打ちに吹き飛ばされながらも、辛うじて致命傷を避け、態勢を立て直した。
 何の
「超プリティキュートなNo.1魔女っ娘、破壊天使プリンセス☆ユウ降臨♪ 景観を損ねるヘンテコな違法建造物も勝手な都合で組まれた大会も、まるっとまとめて破壊しちゃうぞ☆」
 びしっとポーズを決めて言い切った。ふむ、と考え込むアーゲント。
「一方的な都合を押し付けないで頼みごとがあるならちゃんと事情を説明しないと駄目だぞ☆ 人付き合いの、き、ほ、ん♪」
「‥‥言い分は分かった。今日のところはお引き取り願おう」

 サラマンダーと精霊合身、クライマックス
 朱雀、ごんぶと、クロームカウントの奇襲。B・B決死のカウンター。
 アーゲント本気モード。
 塔の本格的な崩壊。
「成すべきことを知らぬ放蕩者達よ、今は力を蓄えておくことだ。何れ選択の時は来る」
 B・Bの助けでアーゲント脱出。

 さて、ルシフェラーゼ&D・ストームVSデスペラード&キルブレードの戦いだ。
 互いに譲らぬ激しい格闘戦。戦いとしてはストーム側が僅かに圧す。だが祭壇崩落、最後の結界が失われた。即死級の落下物が降り注ぐ中、ストーム組は飛び退って逃れ、キルブレード組は飛び込んで剣を得ようとする。
 剣の拒絶と精神攻撃を抗理力ジュエルで凌ぐ。そして遂に物理的ダメージも耐え切ったデスペラードとキルブレードは剣を獲得した。
「おーい生きてるか〜」
 生きては居るものの、力尽き動けぬ2人。このままではステージ崩壊に巻き込まれてお陀仏だ。
 救出に駆け寄る布都御魂剣巫女。
「たかが剣に値踏みされるな。あの世へ勝ち逃げは許さん」
 と、D・ストームとルシフェラーゼが彼女をフォロー。3人の働きで勝利者は生還したのである。

●グレートポテト

「異常なし!! このまま進行を続けます!!」
 魚河岸の如き威勢の良い声は、アリサ・エスクード・須藤(ja0567)。
 ELOの情報に基づき、ジョーカー達もジャスティスと同じ地点を目指していた。
 但し、ついでにDS団有志の確認チームを送り届けるため、些かタイムロスがあった為、両者の距離は開いている。進路もかなり違っていた。
「随分張り切ってますね。というより私が気楽すぎるのでしょうか?」
 寝台に横たわりながら日乃元純鈴(ja1908)が言う。そんな彼女に飲み物を届けながら、貧乏神博士(ja2240)は
「おぬしは戦闘があれば活躍してもらうつもりだ」
 と、今は休むのが任務と言い切った。
 しかし、体が鈍らぬよう科学的処置を施した待機である。神経はリラックスしていても身体に負荷が掛けられている。
 しゅうぅぅぅ。今、足を締め付けていたエアが抜かれた。途端に、疲労困憊状況が瞬間回復した状態になる。
 貧乏神博士謹製のトレーニング装置。空気圧で締め付けて血流を抑制し、中周波その他で自動強化。擬似的に疲労と同等の条件を再現して、しかも強制的に筋肉に負荷を掛けるこの装置は、見た目よりキツイものだ。
 今度は、肩から腕に掛けてエアが入り、空気圧で血流が滞った。そして、中周波の電気信号が強制的に筋肉を動かす。慣れた今ではそうでもないが、最初はちょっと痛かった。
「効率的で、眠っていてもトレーニング出来るのはいいですが‥‥。味っ気ないですね」
 苦情といえばその位か。

「レーダーにも異常はなし‥‥。今のうちに調べ物を済ませておくか」
 房陰嘉和(ja2139)が席を離れる。
「それじゃあこっちは戦闘準備ですね。大丈夫、護衛はしっかりとさせていただきます」
 ベッドから純鈴が起き上がった。
「えぇ。いざという時のために備えは必要です。逃走航路の確認も‥‥」
 アリサが、余りにも気弱な事を言うので
「‥‥後ろ向きな発言に聞こえるぞ。いや、だめとはいわないが‥‥」
 苦笑する嘉和。だが、
「ELOが動くと言うことは、目敏いfirやセントラルも動いていると見て間違いあるまい。全員、気をつけるんだ」
 貧乏神博士はアリサの慎重さを支持。そうこうする内に
「目標に接近!! 総員、警戒態勢をとって下さい!!」
 アリサの目が目標を捉えた。
「‥‥っと。臨戦体制をとっておきますよ」
 純鈴も起きて来る。すこぶる身体は調子良い。
「センサー異常なし。カメラも‥‥。変わった物は見えないな」
 握り飯を片手の嘉和。
 貧乏神博士は難しい顔をして言った。
「ふむ。もう少し接近してみるしかないか‥‥」
 巨大なメイクイーンのような小惑星。この軌道に存在しないはずの物が、今ここにあった。

 丁度その頃。小惑星の向うにジャスティス達も到着していた。
「ふむ。これは‥‥」
 岸田は驚愕した。目前にあるのは巨大なメイクイーン種ジャガイモのような小惑星。
「あのサイズって、すっぽり宇宙戦艦が入るわね」
 何気に、レイがそんなことを口にした。
「ふむ。その通りだのう。イグザリオンよりは二周り大きいぞ」
 岸田も頷く。
「まさか!」
 ムサシにある考えが過ぎり、いや待てと目を擦る。
 確か先のジャッカルウォーであれは失われたはず。
「博士。無電です!」
 レイが、信号を記録する。
 ――――――――――――――――――
  今は去れ。
  私は傷を癒しつつある。
  来るべき日、地球の為に立つ為に。
 ――――――――――――――――――
 周波数も暗号も、セントラルのそれである。
「「イグザリオン!」」
 三人がその名を口にした時、小惑星はふっと消えた。


 その瞬間を目撃したのはジョーカー達とて同じである。
「間違いなく、セントラルの通常交信の奴ですね」
 アリサは、ジャスティスが受けた物と同じ通信文を皆に提示した。

●魔夜のクエスト

 少しやつれた魔夜が嬉しそうに皆に告げた。
「私の作ったクエストが公式採用されたの。さっそく試してみて」
 アンネは設定を見て、意地悪な仕掛けを適度な失敗も交えてクリアして行く。
「ええっと。ここでいいのかしら? なんだか随分手が込んでるわね‥‥」
「しかしまぁ。作成者となれば仕掛けも全部把握しておるんじゃろ?」
 造は訊ねたが、魔夜はとても残念そうに
「製作者の持ちキャラが参加してると表示されないけどね。これがあるから、複数アカウントがバレると一発で無警告アカウントBANって規約になってみたい。さあて、向こうで故意に変えられていなければ簡単に進むはずなんだけど‥‥」
「えっと、こいつの弱点は只の水だったわね‥‥。水筒を使う。よし!!」
 外見こそ基本のモンスターだが、そこはクエスト仕様。本来は強力すぎるモンスターも水筒の水で撃退。
 アンネは作成者のメモを見つつ進行する。
「真ん中の引き戸はダミーで絶対に開かない。左右の端に触れて普通にアクションキー。‥‥って、どっかで見たような仕掛けね」
「‥‥それは聞かないで!」
 魔夜は頬を赤らめた。

「どうやら順調そうじゃの。これを利用すれば比較的簡単にアイテムを集められそうじゃわい」
 造は、魔夜謹製の鳩の迷宮を眺めて呟いた。
「ぶ〜らぁどぴ〜じょん♪ 皆様のアイドルブラッドピジョンが、午後9時くらいをお知らせします。ぽっぽ〜♪」
 このクエスト専用のモンスターが出現。
「あ、攻撃しないで。殆ど魔法も攻撃も受け付けないし、バーサークすると30レベルでもやられてしまいます‥‥」
 笑いを堪えて魔夜がアドバイス。
「やっぱり‥‥」
 アンネは前のフロアで入手した『福豆』を使って、先頭回避。
「お主も悪よのう」
 時代劇の悪代官宜しい造の突っ込みに、魔夜は
「‥‥まぁ。不正行為といえばそれまでだけど。背に腹は変えられないわね」
 と舌を出した。

●アカツキくんとお買い物

 アカツキを連れてのお買い物当日、準備を整えた同行者達はさっそくデパートに繰り出していた。
 地図を持って先導するのは織部・真白(ja0650)。
「ええと、次の道を右、だね」
 地図に表示されている目印と目の前の目印を確認しながら進む。
 デパートの下見はすでに終えてある。
 鞄には買い物メモと自作のデパートの見取り図、そこには万が一のための逃走経路を記してあった。
 テクテク歩いていく真白を一条・聖(ja2027)がハッとして止めた。
「ちょっと待って。誰か潜んでないか先行するわ。曲がり角は危ないから」
「あっ、そうだね。よろしく」
 アカツキとシュリーマティー・ヤクシャ(ja1100)の護衛を買って出た聖は、こちらを窺う危険な気配はないか警戒しながら様子見に行く。
 その間、真白達は立ち止まって待っていた。
 外の景色が珍しいのかアカツキはずっとご機嫌で、すっかり口癖になってしまったナスの歌らしいものを繰り返している。
 それが綺麗な言葉なら文句もないのだが‥‥。
 シュリーは困り顔で思わずため息をついた。
「まったく、どこのどなたがこんな言葉を‥‥」
「まあまあ、覚えちゃったものはしょうがないよ。それに我が輩は考えたよ。さらなる別の言葉を覚えさせて上書きしてしまえとね!」
 自信満々にニヤッと笑って言ったのは南大社・ハミュン(ja1907)だ。
 なるほどとシュリー達は思ったが、いまいち賛成しきれないのは彼女のたくらみ顔のせいだろうか。
 まあ見てなよ、とハミュンはアカツキと目を合わせて歌いだす。
「グーナス、チョキナス、パーナスで、じゃ〜んけ〜ん、ナ〜ス!」
 リズムに合わせてグー、チョキ、パーを示すとアカツキはキャッキャとはしゃいでハミュンの手に小さな手を伸ばして来た。
 意外にもまともな内容に安堵するシュリー。
 それがあまりにも顔に出すぎていたのか、剣・太郎(ja1650)が苦笑していた。
「まあ、言葉の悪い日はどこにでもあるものです」
「親が放任すぎたのも問題ありかもしれないがな。──周りに怪しい人影なし」
 聖とは反対に後方の確認に行っていたエリーカ・ヘルナイト(ja2226)が戻ってきて会話に加わった。
 真白から買い物メモを見せてもらっていた如月・達哉(ja1314)は、デパートに着いたらどこをメインに回るかを考えていた。
 漠然と行動したのでは、広いデパートでは無駄に疲れるだけだからだ。
「とりあえず、メインは服か? 何なら知能を発達させるおもちゃも‥‥」
「アカツキ君なしでも買えるものを担当する人も決めたほうがいいかも」
「そうだな」
「あ、聖さんが戻ってきましたよ」
 達哉と真白で話し合っていると、マリアン・リンドバーグ(ja2189)がこれを告げ、怪しい者はいなかったことがわかると再び一行は進み始めた。
 刹那、真白の足元が弾ける。
 彼らは瞬時にアカツキを守るように位置し、周囲に鋭い視線を走らせた。
「どこだ!? どこから狙撃された!」
「あちらです! あそこのビルの方角からライフルのようなものが!」
 舌打ちしたい気持ちで問うエリーカに答えたのは太郎。一行の左側にそびえるビルを指差す。
 返事もそこそこにエリーカが飛び出すとマリアンもすぐに追いかけて行った。
 その気迫の凄まじさに圧倒されてしまったハミュンだが、
「我が輩達は逃げたほうがいいのかな?」
 と、我に返ると、同様に呆然と仲間を見送っていたシュリーが同意した。
「壁になりそうなものがあるところへ!」
「油断するなよ、敵は一人とは限らない!」
 やや慌て気味のハミュンとシュリーは達哉の注意に冷静さを取り戻し、辺りに気を配りながら狙撃者の視界から隠れるような場所へ走った。

 その犯人は、太郎が指したビルに確かにいた。
 サイコライフルのスコープから標的の姿が見えなくなると、GO−MEN(ja1898)はそこから目を離した。
「うまくよけてくれましたね」
 唇に薄い笑みを刷く。
 彼らのうち何人かが向かってきている。
「‥‥長居しすぎましたか」
 本音を言えばもう一度くらいためしたかったのだが、その時間はなさそうだ。
「絶対逃がさないわよー!」
「相手はドンキーの人間でしょうか?」
「わからない‥‥が、用心はしておくべきだ」
 聖、マリアン、エリーカが口々に言いながらGO−MENのいるビルの真下へ駆けつけて来た。
 しかし、まだこちらには気づいていない。
 それどころか。
「無用心な人達ですね」
 彼は皮肉っぽい笑みを浮かべて、ある一点へ再び撃つ。
 その音に3人は驚き、ようやくGO−MENの居場所に気づいた。
「‥‥今、何をしたの?」
 聖の問いは、代わりにマリアンが答えた。
「あそこ、誰か倒れてるみたいですよ」
「まさか‥‥一般人を巻き込んだのか!」
 マリアンが指差した場所を見たエリーカは、すぐにGO−MENへ向き直り睨み上げて責めた。
 GO−MENはフンと鼻で笑う。
「あなた方の後をつけていた者がいたので、追い払っただけですよ」
 思いも寄らない返答に、3人からあっと言う間に敵意が消えた。その代わり生じたのは疑問。
 どう言うことなの、と首を傾げる聖へ呆れたようにGO−MENは息を吐く。
「アレクセイさんからうかがっていませんか? アカツキ君を覚醒させる訓練を兼ねての攻撃だったのですが」
 本当に聞いていなかったのだろう。
 エリーカはため息をついて頭を抱えた。
「アレクセイ殿‥‥」
 その呟きにはさまざまな思いが詰まっていた。
 主に呆れとか怒りとか呆れとか呆れとか。
 だが、そこでマリアンはふと思った。
 彼が行ったのがアカツキを覚醒させるためのものだと言うなら、自分達を追っていたのは何者なのだ、と。
 ──思い当たるのは一つしかない。
「ドンキーの‥‥」
「でしょうね。追いかけましょう」
 GO−MENは窓枠に足をかけて飛び降りた。

●備えられた襲撃者

 見えない追っ手からアカツキを守るため、町中を足早に進んでいた一行は、やがて誰も追って来ないことがわかると歩む速度を緩めた。
「どうやら、こちらは安全なようですね」
 後ろを振り返りつつ言うシュリーに、ベビーカーのアカツキが落ち着きなく体をモゾモゾさせ、アーだのウーだの言っている。
 周りの者達の緊迫した空気が伝わっているのかもしれない。
 真白が笑顔を見せてあやした。
「もうデパートに向かっても大丈夫、かな?」
「おそらく。狙撃犯は聖さん達に任せてこちらは今日の目的を果たしましょう」
 ハミュンと太郎が何度かビルのほうを見やりながら話し合う。
 そうと決まれば、と達哉はアカツキの服やおもちゃは何がいいかと仲間達にもちかけた。
「ナスが好きみたいだから、ナス関連のものがいいか?」
「私はあまり良しとしたくありませんが‥‥アカツキ様がそれを好むのであれば仕方ありません」
 仕方ないと言いながら、シュリーの目はそれを拒否している。
 拗ねたようにも見える彼女の横では、ハミュンがニコニコしながら先ほどアカツキに大好評だった『じゃんけんナース』で遊んでいた。
 ハミュンの拍子に合わせて不器用に手を閉じたり開いたりするアカツキを、シュリーは遠い目で見つめる。
 そして、そっとため息。
 そうこうしているうちにデパートの前に到着した。
「さ、着いたよー。さっそく洋服売り場かな」
「では僕はおもちゃ売り場を見ることにしようかな」
 真白の言葉に達哉は入口の案内板へ目をやった時。
 ヒュンッ、と飛んで来た細長い影がアカツキの首に巻きつき、絞め上げ始めた。

「油断しやがって‥‥死ねっ」
 細長い影──鞭を操る主は、一行からは見えない柱の陰に隠れていた。
 クビシメール(ja1364)。それが犯人の名だ。
 しかし、彼の姿はデパート入口のガラス窓にしっかり映っていた。
 シュリー達はそれに気づかず、慌てふためいてアカツキの首から鞭をほどこうと必死になっている。
 その様子を見て、クビシメールは馬鹿にしたように笑った。
「そう簡単にほどけるかよ! 下手すりゃガキの首を余計に絞め上げるぜ」
 彼の鞭は巧妙で、頚動脈を絞めずに呼吸だけが苦しくなるように巻きついている。自らの嗜好を満足させる為に、彼の首絞めの技術は達人の域に達していた。
 なにせ、頚動脈を絞めれば10秒も経たぬ内に気持ちが良いほどの快楽で意識を刈り取ってしまう。それではじわじわと苦しむ姿を楽しみたい彼には不都合。今日は特に念入りに、死に到るまでたっぷり3時間は掛かる按配だ。
「ケケケっ。こないだは驚いたが、これで奴の視界から外れている。さぁ、どうする? なすガキ」
 指先の力の加減で、絶息して意識を失う寸前で空気を通す神業に、アカツキの鳴き声は洩れる。
 シュリーは顔面蒼白になり、ハミュンは泣きながら苦痛に呻くアカツキに声をかけていた。
「アカツキちゃん、しっかりして! すぐほどくから‥‥きゃああああ!」
 突如響いたハミュンの悲鳴を最後に、後頭部への強烈な衝撃と共にクビシメールの意識は途切れた。
 クビシメールの隠れていた後ろの壁が爆発したように砕かれ、彼はすっかり埋もれてしまっていた。
 一方アカツキのほうでは、真白が子供の体に現れた武器に目を瞠っている。
「内蔵武器‥‥? こんなに強いのを?」
「あそこ、壁が崩れてる!」
 走り出しかけた達哉だが、太郎に腕を引かれて止められた。
「待って下さい、他に敵がいると危険です」
「あ‥‥そうだな。アカツキ君は?」
「大丈夫。落ち着いてくれたようです‥‥」
 答えたシュリーの無理した笑みが痛々しい。
 彼女をなぐさめるようにそっと背を撫でながら真白が呟いた。
「あれは何者なんだろう」
 すぐに行って確かめたいのに、もどかしかった。

●ララの休日

 みんなの気遣いで一日だけ育児を離れたララ(jz0037)だったが、やはり子供が気になるのかどこか落ち着きがない。
 それでもせっかく遊びに誘ってくれたみんなに悪いと思ったのか、一生懸命それを表に出さないようにしているララに、雷鳳結依(ja1155)は小さく笑む。
「やはり不安ですか? ランちゃんのこと」
「えぇ。ずっと一緒でしたから。目を離すのは初めてで‥‥」
「子育てってホント大変よねー。私でよければ相談に乗るわよ」
 同じく子供を持つ早水絢(ja2363)の頼もしい言葉に、ララにもようやく笑顔がみえた。
 そこに、慎重に慎重を重ねて偵察に出ていた秋月・桔梗(ja2093)が戻って来た。
「大丈夫です。今のところ、周りに怪しい奴はいません」
 間をおかず、マーク・ネルソン(ja1600)が連絡用にララに預けた携帯が鳴る。
『こちら異常なしです。何かあればすぐにお伝えします』
「ありがとう」
 ララが礼を言うと電話は切れた。
 出かけてもよさそうだとわかると、夜木菟葵(ja1494)がさっそくウキウキとララにどこに行きたいか尋ねる。
 そうね‥‥と考え込むララ。
 上を見たり下を見たり。
 ついには何も出てこなかったのか、困ったように苦笑した。
「ずっとランのお守りでどこにも出かけてなかったから‥‥」
「では、服でも見にいきませんか? 最新のもの、探しに行きましょう!」
「最新の服‥‥今なら秋物かな? まだまだ暑いから夏物もほしいなぁ。うん、いいね」
 結依の提案に想像して楽しくなって来たのか、ララはニッコリした。

 五人で賑やかに歩いていると。
「うわ〜、きれーなお姉さん方! ねえねえ、俺達も混ぜてくれない?」
「どこ行くの? 一緒に遊ぼうよ」
 ものすごく頭の軽そうな男達が行く手を遮るように近づいて来た。
 ララ達のおしゃべりはピタリと止み、白けた空気が漂う。
 しかし彼らは気づかないのか、しつこく誘いをかけて来た。
 実は五人には陰から護衛を務めているマークがいるのだ、と教えたら果たしてどんな顔をするだろうか。
 そして、そのマークでさえ対応しきれない場合のみに備えている真紅忠志(ja2281)と獅子堂・炎(ja1806)の存在など、想像だに及ぶまい。ただ、忠志はドンキーCD収集の任に当たるグループで、この付近を回る担当者。炎は呼び出しが無い限り、通りを見下ろす喫茶店で涼んでいる。どちらもランとララを守るための最終予備だ。
「間に合ってるわ。他をあたってね」
 菟葵が穏やかに断りを入れたとたん、男達の表情は一変した。
「おいおい、そりゃねーだろ。ちょっと美人だと思ってチョーシこいてんじゃねぇの!?」
「かまってもらえる今のうちが花だろ?」
 菟葵の微笑がすうっと冷えたものになっていく。
 その時、何かに気づいた桔梗が素早く菟葵の腕を掴んで引き寄せた。
 菟葵の胸元を鋭く光るものがよぎる。
 ナイフだった。
「何か変です。逃げて下さい!」
 桔梗は菟葵をララのほうへ押しやる。
 事態を察した菟葵はララの手を握ると来た道を戻ろうとしたが、そちらからも新たに3人迫ってきていた。
「挟まれた‥‥!」
 ララはすぐに携帯でマークを呼んだ。
 いったいどこに潜んでいたのか、驚きの速さで現れたマークは菟葵のララの前に滑り込んでくると、両腕を広げて新手の前に立ちふさがった。
 しかし彼らは迫るスピードを緩めることなく、勢いのままにマークを殴りつけた。
 3人掛かりで数十発ほどマークに浴びせてようやく動きが止まる。
「気がすみましたか? では‥‥」
 改造人間の彼にしてみれば、一般人の打撃などほとんど効かない。
 証拠に、殴りつけた3人のほうの手が赤く腫れていた。
 そしてマークはあっと言う間に彼らを気絶させてしまった。
 その頃には結依と桔梗のほうも片付いており、合わせて6人の男がこの場に倒れている。
「もしかして、ドンキーのマインドコントロールですか?」
 呟き、表情を曇らせる結依。
 遠くから救急車のサイレンの音が近づいてくる。
「救急車を呼びました。この人達のことは任せましょう。私達はここを離れたほうがいいですね」
 桔梗の言葉に頷き、倒した男達を道の端に並べておいて彼らは足早に先に進んだ。

 だいぶ離れたところで歩む速度を緩めると、そこはもうデパートの見える通りだった。
 ララが心配そうに仲間達をうかがう。
「あの、皆さんは大丈夫でしたか?」
「私達は大丈夫です。ララさんも無事で何よりでした」
 微笑んで言う結依に、私のことは皆さんが守ってくれたから、と小声で返すララ。
 気にしなくていい、と言うように結依はララの腕を軽く叩く。
 そこにマークの落ち着いた声で屋敷に異常はないと告げられ、ララ達はホッと胸を撫で下ろした。
「たとえ何かあっても、屋敷にいるみんなが何とかしてくれますよ。さて、気を取り直して行きましょうか?」
「はいはい! ここの上のほうの専門店の階に、かわいい服のお店があるのよね! 行ってみない?」
 結依が仕切り直せば、すかさず絢が手を上げてお勧めのブティックのことを話す。
「かわいい服の‥‥行きましょう! 連れてって下さい」
「はぐれちゃダメよ」
 期待に目を輝かせるララに、絢も笑顔で応えて半ば小走りにデパートへ向かう2人。
 子供みたいにはしゃぐ2人を見失うまいと、菟葵と結依が慌てて追いかけて行った。
 残されたマークと桔梗は、と言うと。
「では、こちらは引き続き警戒を続けます」
「了解。私のほうもこれまで通りに」
 何かあったら、またすぐ連絡をすることを確認しあい、桔梗はララ達のもとに、マークは人目につかない位置からの護衛につくのだった。

●ランちゃんとお買い物

 一方、母親から離れた子のランはと言うと。
 母親の姿が見えないことに落ち着きがない様子だが、それでも見知った顔が多いからかおとなしくしている。
 姫木さやか(ja0342)がベビーカーのランと目線を合わせて微笑みかけた。
「ランちゃん、今日はあたし達とお出かけしましょうね」
 小さな手を取って仲睦まじい2人の様子に、霞沢絵梨(ja1309)は何とも言えない表情だ。
「できるかぎり屋敷にいたほうが良いと思うのですが‥‥。ランちゃんを置いていくほうが危険ですしね」
「安心なされよ。拙者が常に周りを警戒している」
 心配気な絵梨に房陰・嘉和(ja1023)が頼もしい言葉をかける。
 その傍ではドロシー・ホーク(ja2304)がランの好みについてあれこれ考えていた。
「お母さんと一緒で、やっぱり花柄グッズとかが好きなんでしょうか?」
「さすがにまだ自分の服を選んだりはできないでしょうけれど。顔つきはどことなくララさんに似てますね」
 不安を引っ込めて、絵梨はランへ目をやる。
 ドロシーも赤子の顔を見やり、嘉和はもっとよく見ようと顔を近づけて覗き込んだ。
 とたん。
 ランの顔がくしゃくしゃと歪んでいき、みるみる泣きそうになっていく。
「ど、どうしたのだ!?」
「そんなに近くで見るから怖がっちゃったんだよ」
 どいてどいて、とさやかはオロオロしている嘉和を押し退け、ランの目の前に離乳食の入れ物を出した。
「ほらほらランちゃん。おなかは空いてないかな〜」
 さやかの用意の良さに、思わずドロシーから感嘆がこぼれる。
「用意周到ですね‥‥自分で作ったんですか?」
「うん。ほら‥‥あたしも、たぶんもうすぐ‥‥」
 ほのかに頬を赤らめるさやかに、絵梨は納得してちょっとからかうように微笑む。
「なるほど。そう言うことですか‥‥」
「ちょっと、そんな目で見ないでよ‥‥もぅ」
「よそ見をしているとこぼれますよ」
 離乳食をすくっていたスプーンを絵梨が指差すと、さやかがアッと小さく叫んだ。

●博士達の戦い

 ドンキーCD。恐らく、以前に襲って来た一般人は、これによってマインドコントロールされた連中であろうとジャスティスの頭脳陣は推定する。さらに厄介なことに、新たにヴォーカル・フェアリーなる物が出て来るに到り、本腰を入れた解析となっていた。

 ある程度情報の集まって来たドンキーCDは専任チームを組んでの取り組みだ。
 その対策本部で研究員の指揮を執る霞沢賢一(ja1794)。
「そこのお前。少し疲れているようだな。休んでくれ」
 根を詰めた作業で、反応の鈍く為りすぎた研究員を、仮眠室へ連行指示。
「空気が悪いぞ。換気と冷房を‥‥」
 彼自身も、そろそろ要休憩。
「この波長がこうで‥‥脳波を刺激して‥‥」
 漆原静流(ja0368)は主に旋律による影響を検証しようと躍起になっている。
 そこへ、光とまさごが入って来た。
「戻ったわよ。解析は進んでる?」
「お宝を手に入れたよ。こいつも調べてみて」
 メモリーカードの内容は、夥しい楽譜。
「‥‥楽譜か? ふむ。音階の組み合わせで特殊な音波を出している可能性もある‥‥か」
 霞沢は有りがたくそれを受け取り、静流は
「それじゃあそっちも調べてみるわね」
 と、市販楽譜との相違を分析に掛けようとコンソールの前に座った。
「‥‥あれ? 何してるの?」
 静流は、なにやら始めたまさごに目を向けると
「えっと、だめ元でネットで情報がないか集めてるんです。誰かわからないかなー‥‥なんて」
 霞沢はまさごの肩を揉み。
「‥‥そちらはあまり期待しないでおこう。休めるものは休んでくれていいぞ」
「解析急ぐわよ。早く洗脳を解く波形を作り出さないとね‥‥」
 静流は突合せ作業を開始した。

 一方、まだ手懸りすらないヴォーカル・フェアリーは、初動解析を熟練した個人に委ねられる。
 ソフトとマニュアル。拡張データと周辺ツールへのアクセスHTML。そしてサンプル歌唱が領布物の全てである。
「別に目新しいことは無いわねえ」
 涼村ユイ(ja1082)が解析した仕組みは
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1.声楽音素
 鼻濁音と「ヴァ・ヴィ・ヴ・ヴェ・ヴォ」を含めた五十音の音素全てに対して、
 以下のものが暗号化されてパックしてある。
 ・同じ音程で延ばして記録したもの。
 ・音程を上げつつ記録したもの。
 ・音程を下げつつ記録したもの。
 ・短く切ったもの。所謂『っ』を付けた発音。

2.採録音程
 国際表記のA3・C4・F4・A4・E5の音それぞれで、音素が採録されている模様。
 標準はA4採録だが、全てを使用すると低音高温の自然さが際立つ。

3.会話音素
 日本の標準語発音を元に、仮名漢字返還辞書並みの単語が登録されている。
 例えば、『朝日』や『新聞』と『朝日新聞』では違ったイントネーションで記録されている。
 仮名漢字変換で単語を確定させた後、発声させて候補の中から選ぶ形式。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 基本セットはA4音採録の28MBこれだけでも使える。しかし、オプションの各24MBの別音程採録データと、79MBの会話データ。それに周辺ツール類を全て揃えれば、誰にでも簡単に活用できるのだ。
 中にはマイクから鼻歌を採って、それを楽譜データとして登録するようなものまで有る。
 これら周辺ツールのおかげで、歌唱ニュアンスの設定が非常に効率的。
「今の時代だからこそ出来る芸当よね」
 ユイは手放しで褒め上げた。
 記録音素を復元すると。当に祈りや呪文の類。だが、その配列は五十音順であることは余りにも明白。ここでユイは行き詰まった。
 そこへやって来たのはニック・高瀬(ja1805)。
「これを見て下さい」
 壊れた人形のパーツから、マイクロチップが顔を覗かせる。
「なるほどね」
 フィギュアをバラしつつ、ユイは頷く。
「別パーツに隠されたフィルム型コイルがアンテナ兼電源って訳ね。ふんふん。ラジオ電波を受けた位で起こる電流でを蓄えて充電。蓄えた電力で所定の時間にのみ起動。‥‥原理自体は子供の電子工作だけど、この回路は地球ではまだ創れないわね」
 但し、オーバーテクノロジーは充電機構と省電力小型回路だけであり、中核構造は単なるタイマー付FMラジオである。
「スピーカーはフィギュアそのものね。極小さな音が流れるわ。野外や昼間だと、日常の音にかき消されて仕舞うくらい小さな音よ」
「なんなんでしょう。これはいったい」
「それが問題ね」
 今のユイには、オーバーテクノロジーの無駄遣いが何のためであるのか、判らなかった。

●栴檀の芽

 デパートのベビー用品売り場で、ランを中心にワイワイと品を選んでいる一行を、一般客を装って監視するグループがあった。
「‥‥来ましたね。仕掛けますか?」
「まあまあ、そう焦らなくても。今は周りに一般人が多すぎるわ」
 はやる綿糸・翼人(ja2031)を烏鳩(ja0226)がおさえる。
「赤子と意思疎通を図ってみたが‥‥反応ありだな。しかし、イリスってなんなんだ?」
 マリル・イェーガー(ja1724)の声を落とした報告に、彼らの間に小さな驚きが走る。
 その反応に満足してか、マリルはさらに衝撃の事実を口にした。
「赤子だけはすでにマリル達に気づいているぞ。スコープに捉えてトリガーを絞り込もうとした瞬間に泣き出した。ジャスティスどもは気づいて無いのにな」
「あんな赤ん坊なのに、すでにそれだけの力が‥‥何と言う‥‥」
 翼人は感心と畏怖の目でランのいるほうをじっと見つめる。
 烏鳩も同じだったが、やがてその唇にうっすらと笑みが浮かんだ。
「いずれにしても、面白いことにはなりそうね」
 と、そこに息を切らせた男が合流して来た。
 蛇嶋絞助。すなわちクビシメールだ。
 よく見れば息切れしているだけではなく、あちこちに擦り傷やアザを創っている。
「冗談じゃねぇぞ‥‥畜生っ」
「戻って来たか。アカツキ君のほうはどうだった?」
 マリルに悪意があったわけではないが、その名を聞いたとたん絞助の顔が忌々しげに歪んだ。
 何かあったのは一目瞭然だ。
「あのガキ、予想以上の力だった‥‥! 危ないところだったぜ」
 砕かれた壁に生き埋めにされ、一時気を失っていた絞助だった。ついさっき、そこから脱出して来たばかりだ。
 烏鳩は冷静な面持ちで、ジャスティス達に囲まれて見えないランを見透かそうとするように目を細めた。
「と言うことは、こちらも油断できないと言うことね」
「さしずめ、かわいい顔をした兵器と言った所ですか」
 翼人も探るような目を向ける。
 ジャスティス達が移動を始めた。
 マリルの目つきが鋭くなる。
「そろそろ頃合か?」
「では、まずは赤ん坊に対して射撃を行います」
 翼人が緊張と楽しさの入り混じった表情で、射撃に良い場所へと移って行く。
「さて、どうなるかしらねぇ‥‥」
 ランの能力は何なのか、見極めようと烏鳩も行動することにした。

●新コマンド

 日曜日の昼下がり。今日もジャスティス有志達はアンスロポスを行く。
「では情報を得たアイテムを探しに行こうか」
 テス男の装備はかなり充実。攻撃回数も3回に増えている。
「確か北の洞窟だったか? ‥‥っと。敵が出たぞ」
 生がスティックを握り締めた。
「盗賊かぁ。最初はやっぱり強い敵じゃないよね?」
 日向のキャラが一番弱い。それでもテス男がゲットした『嵐の杖』のおかげで敵全体に魔法が掛かる。
「よし。それじゃあ今のうちに魔法にもなれておくか」
 久親はそれまでの盗賊では無く、新キャラの魔法使いで参加している。
 彼のキャラが使えるウォーターブレイドはウインド×ウォーター。つまりコマンドは[☆☆★★☆★]だ。
「バリアは[★☆★☆★☆]だが‥‥。と、まだこいつには使えないのか」
「持っているコマンド以外使えないのは、説明書にも載ってたよな」
 テス男は簡単に説明する。
「しかし、1クラスにつき64コマンド。一体どんな効果があるんだろう」
 久親は遠い道のりを思う。
「他の魔法は他プレイヤーからの情報とか‥‥。自分で見つけ出すしかないみたいだね」
 気の無いセリフの日向君。

「ぶ〜らぁどぴ〜じょん♪ 皆様のアイドルブラッドピジョンが、午前7時くらいをお知らせします。ぽっぽ〜♪」
 そいつは突然現れた。
「何だこいつは。武器も魔法も全然利かない!」
「なんでこんなところにブラッドピジョンが‥‥」
 古くから居るジャスティスにはおなじみだが、ジャッカルの部下の一人で変り種のキマイランズだ。それがモンスターとして登場している。
「逃げろ! ‥‥なんとか逃げられたが、もうボロボロだな」
 などと、ハプニングもあったが2時間後。
 ジャスティス達のパーティーは、クエストのボスを見事倒し、宝箱を開いた。
「げ! トラップ?」
 念のために薬草で回復したから開けたのが幸いした。さもなくば、ここで久親のキャラは死んでいただろう。しかし、それでも瀕死の重傷だ。すっかり減ったHPゲージがオレンジ色になっている。
「薬草使え」
 テス男は手持ちの薬草を渡した。また何かあったらイチコロもの。教会での復活には金が掛かるので、可能な限り避けたいところだ。
「ん? 何か発見したようだぞ‥‥。誰が使うか聞かれてる」
 生が内容を改める。コマンド配列[★☆☆★☆★]。つまりバレー×ウォーターだ。どんな効果があるのだろう。
「戦士のコマンド増やしとかないか? 同じレベルだと戦士がコマンド使用回数一番多いし」
 久親の提案に、テス男のキャラが使うことにした。
「お! ポイゾンアタック。敵を毒に冒す効果で、成功すれば毎ターン追加ダメージか。毒を消されるまでずっとみたいだな」
 習得コマンドの解説を読む。
 なるほど、このようにして使えるコマンドを増やして行くのか。ジャスティス有志達は、段々とゲームにのめり込んで行くのだった。

●コロンブスの卵

「結局、判ったことと言えば、音源の演奏の楽団と収録の元音源を特定出来ただけね」
 静流は、マグロ部屋と化した対策本部で、自身も墜落睡眠寸前の状態にあった。
 長い長い徒労の時間。
 そこへ飛び込んだのがジョーカーからの情報であった。
「Σこの設計図は!」
 彼らは実に実用一辺倒で、ドンキーCDに対抗する手段を考え出していたのである。
「洗脳周波数の中和ねぇ」
 当にコロンブスの卵。重要なのは特定周波数のパルス信号。音楽はそれを有効に活用する手段にしか過ぎない。と言うのが提供された情報であった。
 解ってみれば実に簡単。マイクで音波を採取し、特定周波数領域を極性反転。それを対象に放射する。民生品で造れる程度の技術で、コントロールをカットすることが可能なのだ。

 ドンキーCDに関しては一日の長。黒井・華麗(ja1430)が所持するアドバンテージは大きい。
何せ、ドンキーが使用する周波数帯を特定出来ているのだ。当然、その研究はジャスティスよりも進んでいる。
「やっぱり‥‥」
 華麗は基本セット同梱のサンプル歌唱から、ドンキーCDと同じ仕組みを発見した。
 理屈は簡単である。同じ手続きを取って生成した音声ファイルの波形を、正逆反転してぶつけたのである。
 予想通り、特定周波数のパルスが検出された。但し、それはあくまでも彼女が周波数特定していたからであり、その抽出は本来容易なものでは無い。現に、抽出された波形は歪んでノイズ混じりだ。
「目立たぬように、サンプルファイルは変調をかけてますね。人の感知できないレベルで発声を延ばしたり縮めたり、音程にブレを作ったり」
 そのせいで、純粋なパルスを分離できないのだ。だが、効果は判明した。
「被験者200名の内、9割以上が、この『声』に好感情を持ちましたよ。そして、この声の声紋は、陽蔓さんのものとほぼ一致します」
 言いながら、呼び出しに応じた無明大使(ja2259)に渡す一枚。
「なるほど。おまえの趣旨は判った。これを渡すことが互いの利益と言うことか」
 ドンキーに洗脳コントロールされた者へのコントロール音波を中和する装置を組み込んだ携帯電話の設計図だ。
「同じものを、ジャスティスのほうにもくれてやりました」
「酔狂だな」
「要らぬ血を流さないのが陽蔓さんのためですからね。技術的には取るに足らない簡単なものです。そうジャスティスを利するものでも無いですよ」
「で、やたらと格好付けたがる黒薔薇だけでなく、我らDS団にも渡すのは?」
「あなた達も、ウザイ連中にいちいち力を使う程暇ではないでしょう。まともに相手してはキリがありません」
 確かに、普通の人々はどこにでも居る。いくら簡単にぶちのめすことが出来るとは言え、話がなんのメリットも無く大事になるのは困り物。
「道理だ。ボタン一つで解決するならそのほうが良い」
 こうして華麗の装置は、陣営関係なくWC全体に広がって行った。

●ジョーカーのサガ

 一方こちらは、CD対処を完成した華麗の作業を引き継いだジョーカー達。
「どうだ? 新しいCDは集まっておるか?」
 入って来たモローアッチ教授(ja2284)に松戸旦求(ja1103)が
「今交渉中なのである。多額をふっかけてくるものもいるのでなるべく避けるのである」
 と、順調な進捗を報告。
「こちらも大量戦術で回収しています。こちらに資金を多く回して貰ってすいません」
 庭酉・羅亜免(ja0527)も手段を選ばずCDを集めまくっていた。
「今『比較君』を通して調査中なのである。こことここの音階が似通っておるの」
 松戸も血眼。
「新しいCDが届きました。こちらも解析お願いします」
 羅亜免も戦闘員を叱咤しつつ続々と届けられるCDを運び込ませる。
 これだけ沢山の種類がせあると言うことは、絶対にその理由があるはずだ。共通のパターンは何か?
 既にコントロールされた者の強制解除は既に出来ている。ジャスティスならばこれで終わって問題ない。しかし彼らはジョーカーだ。叶うことならドンキーの技術を我が物として、存分に活用したいもの。この発想がジャスティスとの違いなのであり、その貪欲さが、ジャスティスに先駆けてドンキーのコントロール音波の対症装置を生み出したのである。

●カズマ策動

 名古屋の某所。新設された会館がドンキーの支部だ。
 クラリッサ・アイリーン(ja2377)は、自分のことが誰にも知られていないと言う新人ジャスティスの利を活かし、首尾良く教団の一員となった。合法的で社会に望まれる奉仕活動に勤しみ。入信してから日も浅いのに、何かと周りから頼られる、期待の存在に成りつつある。
 今も、ドンキーのアイドル企画への参加を打診されたばかりだ。支部長が会議室で待っていると言う。
「さて‥‥会議室のほうはどうなっているのでしょうか‥‥」
 ん? なにやら騒がしい。

 話は少し前に戻る。
 九条カズマ(ja2220)が新設された会館の前に立っていた。
「ここが支部か‥‥。無茶は上等‥‥。やるしかねぇな‥‥」
 只ならぬ形相で乗り込んで行く。
「‥‥なんですかあなたは? 何か御用ですか?」
 信者らしき初老の女性がカズマを遮る。
「‥‥頼む!! ドンキーの代表に合わせて欲しい!! 話があるんだ!!」
「話を‥‥。教祖様はここには居ませんよ」
「なら、ここの責任者に合わせてくれ! 急ぎの話なんだ!! 頼む!!」
「待って下さい。なんのことやら話してくれませんか?」
 信者らしき女性は慌てている。カズマは
「くっ‥‥。お前らじゃ話にならねぇ!! 無理にでも通してもらうぞ!!」
 女性達を押しのけて入り込むので、
「ま‥‥待て!! 乱暴はやめろ!」
 カチンと来た若い男子高校生が服を掴む。揉み合い、
「きゃあ!」
 振り払った弾みで壁に激突した少年を介抱する声。
「君! 乱暴じゃないか! なんでこ‥‥。どうしたんだそのケガは! 君。手当てを‥‥」
 おっとり刀で駆けつけた壮年の男性は、カズマがここに来る以前に負っていた傷が開いて、血が滴っているのを発見。
「はぁ‥‥。はぁ‥‥。どこにいやがる‥‥。ここか!?」
 それでもふらふらと奥へ進むカズマ。バタンと戸を開けると、ビンゴ!
「な‥‥なんだ君は!? 会議中だぞ!!」
 支部長がそこに居た。そして、彼よりももっと驚いたのは
「く‥‥九条君!? どうしてこんなところに‥‥?」
 天野つばさである。だが、既に意識朦朧としているカズマには判らない。
「俺の話をきいてくれ!! 聞いてくれ!! ココを利用している悪党がいるんだ!! まずは内部を!! 内部をさぐってくれ!! ‥‥ぐぁっ!!」
 そこで、傷の為に転倒した。
「九条君!? 大丈夫ですか!? 九条君!!」
 つばさの声が遠くから聞こえる。そこでカズマの意識は途切れた。

「利用する悪党だと?」
 深刻な顔に成る支部長。
(‥‥教団が内部を疑うか外部を疑うか。それによって今後の出方を変えなければいけませんね)
 そしてクラリッサは注視する。教団支部の幹部達の動向を。

●要人ご用心

 ELOの海底基地。意見具申に訪れたジョーカー達と膝を交えるアレクセイ(jz0043)。
「すまないな。さすがに私が狙われることはないと思うが」
 敵に海底基地やハルパー分離ユニットにまで入り込まれては、その時点で既に敗北とアレクセイは言う。
 しかし、セイレ・セーレ(ja2264)は
「そうは言わないの。用心しておくことに越したことは無いわ」
 と、更なる警戒を呼びかける。
「で、例の件だが。問題はないのだな?」
 思慮深く承認を求めるJ・J(ja1439)に、アレクセイは言った。
「研究に関してか? ないといえばない。あるといえば大有りではあるのだが‥‥」
 なにぶん途方も無いことなので、積極的に支援することも出来ないが、やるなと強いることも出来ないと言うのが本音のようだ。
「本当にできるの? ガルバをコピーを作るなんて‥‥?」
 セイレは、またJ・Jのヨタ話。威張りん坊のウリ坊や、ナス神話の如きものと言った反応だ。
「まさか‥‥ナスは卿の影響だったのか?」
 苦笑するアレクセイ。
「赤ん坊とは無垢なもの。面白いものには目が無いだけだ」
 少しは心当たりがあるのか、否定しないJ・J。
「ご子息の事はさて置き。ガルバクローンが可能かどうかは判らん。が、試みない者には永遠に不可能だ。これが成功すれば‥‥。ふふ‥‥」
 アレクセイは一つだけ釘を刺した。
「逆に自分が取り込まれないようにだけ、気をつけておくんだな」
「お心遣い、感謝するよ‥‥。では自分は研究室に戻る」
 相変わらずマイペースなJ・J。セイレはその背を見つつ呟いた。
「‥‥あの人も警戒しておいたほうがいいのかしら?」

●スポンサー

 つばさが持ち帰った陽清の髪と皮膚の一部。そこから早速DNA鑑定が行われる。
 深夜になってやっと出た結果は、陽月や陽蔓と一致である。
「実は三つ子?」
 一度はドンキーの手から逃れて、再び浚われた陽蔓。
 もしも陽清がクローンだとしても教育の時間が足りない。いったい何が起こっているのだろうか。
「いけない。試験勉強があったわ」
 芸能生活で学業が遅れ気味な罠兎は、何時ものようにラジオを付けつつ、参考書を開いた。
 丁度番組のコーナーが終わったところだ。
「プッ‥‥この番組は、世界の友達ケージマン・バーカー。パチンコ雷同。コンビニチェーン・クロウサークル。そして、宗教法人ドンキーの提供でお送りしました」


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■プレイング(MVP)


■ja0136 デスペラード/ユキノシタ・マサカズ

●選択肢
イ:勇士の剣(アーゲント関与)

●スタンス
【挑戦】

キルブレードと組んで参加。

戦場の地形や敵のタイプ等から、知恵を巡らせて
戦術を組みスタミナ配分をし冷静に敵と味方の動きから流れを読み
キルブレードと隙を補い力を合わせて連携を取り
装備と技能と必殺技を駆使して優勝を目指す。

相棒である以上、キルブレードを絶対に見捨てません。

リングアウト等で、負けないよう注意する。

隙の少ない動作で格闘したり稲妻を放出して攻め
敵の攻撃は回避や防御すると同時に、格闘で反撃する。


必殺技や、抗理力ジュエルはなるべく無駄使いしない。

優勝して優勝賞品の「至弱にして至強の剣」を手にしたら

「約束を果たす為、守りたい平和の為、助けたい命の為に俺に
力を貸してくれぇぇぇっ!!」
と叫び全身全霊を賭して剣との戦いに勝ち必ず剣を服従させます。

剣を服従させたら、会場から脱出します。


アーゲントやガルバ一味には、完全に対決する姿勢を見せます。



■ja0626 荒世/出間獲・乙蝶
■オB:挑戦

■戦略
とにかく、以前にごんぶと(ja0744)や黒井(ja1430)が聞いていた連絡方法(おみくじを結ぶ)を試します。
通じなくなっていても、それならそれで何らかのリアクションが起きると考えられますから。
敵に知られているなら、そういうことでしょうから‥‥。

■戦術
死んだ赤井(ja0507)が私達との連絡に使っていた方法も試してみます。
(留守番電話サービスと番号通知サービスを利用し、通知番号区域の電話帳を利用したアナグラム(特定ページの文字を繋げる方法))
彼の意志が残っていて、追っ手から逃げている状態なら万が一の事がありますから。


駄目ならピジョンに付いて行くか、虱潰し。



■ja1056 キルブレード/寒来刃夜斗

イ−挑戦

アレクセイの頼みと、剣への渇望で俺は勝つ。以前、格闘で負けたことがあるデスペラードとタッグを組む話はついている。

俺達、格闘型改造人間が怖いのは、射撃攻撃と爆弾、超能力だ。射撃武器は銀のロッドとミラーで弾く。爆弾も投擲されれば、ロッドで弾き、俺達の近くで爆発しないようにする。ダーツや手裏剣でも爆弾を弾き返すぜ。
デスペラードが危険な場合は、当然フォローだ。

必殺技には必殺技をぶつけて相殺だ。道連れ狙いで足場が崩されても翼のサンダルで上の階層に上がる。思考操作など避けるのが至難な攻撃は一回だけは、抗理力ジュエルで対処だ。バリアはここぞで使うぜ。

決勝以外でストーム達強豪とぶつかった場合は、写し身の土偶も使う。攻撃は魔力のある月の短剣メインだ。決勝は2つの闘志も使う。

自分や子供を殺す剣である可能性があるのを承知のアレクセイに頼まれたからな。死んでも負けられねえ。
剣に選ばれない場合の死も覚悟だ。



■ja1309 天弓の巫女・華澄/霞沢絵梨

【コA/場合によりB】
赤ちゃんのお世話は「夢っ子ハウス」でそれこそ中学生の頃から
していますが、ここは初心に返ったつもりで
皆さんと役割分担したり、相談したり‥‥色々と協力出来れば
「白いお花って言えば、カスミソウもそうですよね♪」

【どうしてもランちゃんを連れて外出しなければいけない場合】
暑い盛りです‥‥日除けや水分など熱中症対策は確りと

ランちゃんには「不思議な魔法人形[女の子]」を持たせ
私自身も「試しの紫陽花ブローチ」の色変化に気をつけるなど
楽しい中にも、気を引き締めるべき所は充分警戒
S星獣の「ひよちゃん」にも上空からの護衛を指示

【何らかの襲撃があった場合】
ランちゃんの安全が最優先ですが、
ドンキーに操られていると思われる一般人には
なるべく怪我させないよう護身術で無力化

JokerWCには変身、弓矢・ゴーグル・ラグカードの
飛び道具総動員で牽制しつつ、ランちゃんを連れて避難
ひよちゃんにも敵の足止めを指示



■ja1332 紫微たる紫水晶/破軍魔夜

☆行動
エB:調査データを得るためクエスト・迷宮を作る

☆目的
ごった煮宗教であるドンキー教団は気に入りませんし、丁度得意分野が入って良そうなドンキークエストの調査データを調べますです。

☆役割分担
私とローラで手分けをしてデータを集めます。ローラが冒険して調べ、私がローラからレアアイテムを分けてもらい、クエスト・迷宮を作成してデータ収拾を行いますです。
なるべく、私が目立つように心がけ、ローラの行動を目立たなくするつもりでいるのですよ。

☆迷宮作成
アンスロポスやイリアと言った宗教用語、思想用語が散りばめられ、魔法に易が用いられている以上、クエストや迷宮作成もその手の手法になると考えられます。
と言うことで迷宮の作成には「風水」、主に「地理五訣」や「奇門遁甲(奇門風水)」辺りで考えます。

☆クエスト作成
クエストの場合は、それで情報を集めましょう。
・○○に500ダメージ与える
等の攻略に役立つ情報を集めるのです。



■ja1338 エースの竜/獅子戸竜子


選択肢:カ 【挑戦】

相変わらず教祖様の用心棒。

内部で貰えたらCDを貰っておく。
「このCD中々リラックス出来ますね。これの曲名って何て言うんです?作曲者も勿論いるんですよね?」
先ずは基本情報を教祖様にでも聞いてみるさ。
「へー、じゃあ楽譜もあるんですか?こう見えてガキの頃にピアノなんか習ってたんで気になるんですよ」
もちろんピアノなんて弾けやしないけどね。

最大のターゲットは『楽譜』。
もし、曲に何らかの力があるとするなら本命は多分こっちだ。
楽譜を見せてもらえるなら特殊通信機[サングラス]で密かに録画する。
見せてもらえなくても所在さえ分かれば盗み出して教団からおさらばさ。

逃げる時は隠し持った22口径で牽制しつつステッキでコスチュームに変身して『逃げの一手』を使ってトンズラ。
でも本命の情報は小型ロボット[ミニポッポ]を使って解析班に渡るようにする。自分は囮さね。



■ja1907 ヴァリアブル・ディザスター/南大社・ハミュン

行動:ケA

☆『ナス』をつけて色々覚えさせちゃおう大作戦です〜☆
アカツキちゃんをしっかりガード‥‥する建前で遊びまくりですよ〜♪
『ナス』が付けば何でも覚えちゃいそうですよね〜♪
ならば、それを利用しちゃいますよ。信号機で『赤ナス止まれ♪黄ナス怖い♪青ナス駆け抜けろ♪』とか歌ってみたり、ヒマになった時や駄々をこねだした時には、「グーナス、チョキナス、パーナスで、じゃ〜んけ〜ん、ナ〜ス!」って、じゃんけんをナスつけて『じゃんけんナス』で教えて遊びますよ〜。

子守は、【イリュージョン】でナスの人形のダンスとか、チャンバラで楽しませます〜。特に、チャンバラでは戦隊風にアレンジして、『必殺!ナス月楕円斬り!』とか剣を振り回す場面とカウボーイ風にナスの形をした拳銃をカッコよく抜いて撃つシーンは見せておきたいです〜。アカツキちゃんがこれらの武器を取り込んでいたら、まねする形で使いやすくなれば、と思いますよ〜。



■ja2167 クロスライダー/十文字ショウ

ク:B ハリマオと従軍牧師 【挑戦】

【行動】
ハリマオが複数いたかは別として、有口氏が「閣下」と呼ぶハリマオが対決したっていう従軍牧師か‥‥。
何時の時代にも神を騙る悪魔はいるって事だな。

俺は田中さんと組んで調査を行う。
かなりの年月が経過しているから、牧師の素性を調べるのは難しいかもしれないが、当時の記録から牧師の名前くらいは判るだろう。
但し露骨に牧師を特定して調査するのは目立つので、「ルポライターとして、当時の抵抗活動を取材する」という名目で偽装しておくとする。

ドンキーが大昔から存在したとして、ハリマオに尻尾を捕まれて討たれる位に活発に動いていた理由なんなのだろうな。
民衆が弾圧される状況を利用して忠実な使徒を増やし、来るべき時に備えていたのかも知れないが‥‥。

俺らを襲撃するのがいたら、ここはおやっさん(大門光の父)の教えに従って、こう動くぜ。
「田中さん、ここで最善な行動は一つだ‥‥逃げるぞ!!」



■ja2189 災厄の錬金術士/マリアン・リンドバーグ

行動:ケB

発明品:【都合のいい悪夢】

夢を自在に操りたい錬金術師の研究書のレシピを、適当に混ぜて作り出した薬品。
これを飲んだ人間の目を見て理力抵抗に失敗すると、数分間だけ自分に都合のいい光景が展開されてまともに動けなくなる。
飲んだ当人も薬の効果時間が過ぎると、都合の悪い事ばかりの光景が展開されて動きが悪くなる。

マリアンは、お姉ちゃんやアカツキちゃんと一緒に大騒ぎする表向きを装いつつ、怪しい影が近づいて来ないか何気に注意ですー。
人の多い所で知らない人がしつこく話しかけてきたら、むしろ周囲を探って囲まれちゃわないか注意ですー。
で、アカツキちゃんがドンキーとかにさらわれそうだと判断した時に、【秘宝[パリーイングダガー]】でマリアンのガードをさせて、【都合のいい悪夢】をマリアンが飲んで、ドンキーさんをにらみつけて幻覚を見せちゃいますー。
アカツキちゃんは可愛いから、マリアンの届く所にあるべきなのですー



■ja2304 N4610/ドロシー・ホーク

【コA:挑戦】
ララさんのリフレッシュは重要ですね。
お花が好きだそうですし、花柄グッズを揃えてあげましょうか。
タオルやおもちゃはいくつあっても困りませんし、使わなくなっても病院の子供達にお下がり出来ますしね。

‥‥確か陽月さんが一度、彼女と会った時にトランス状態になったとか。
やはり彼女は強い力を秘めているのでしょう。
‥‥彼女とシンクロ出来るなら。
何かが起きる。
そんな気がします。

眠っている時にランを抱かせてもらう。
彼女と動きを合わせるように呼吸を合わせる。
簡単な自己催眠のようなものですが、彼女の力ならシンクロ出来るような気がします。
夢の中で。
その間私達は無防備になると思いますが‥‥皆様を信じていますわ。

ああ、病院で安眠CDが出回っていないか聞いて見ましょうか。
持っている患者さんがいたら「病院で採用出来ないか」と借りてデータを取っておくように看護士仲間に指示。
現物は返却、データはネットワークへ。





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