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■「GALVA INVASION」第6ターン 全体イベントシナリオOP(前半パート)

●これまでのお話

 ジャッカルウォーと呼ばれた一連の戦いの後、最終決戦に高みの見物をしていたガルバは、ワイルドカードの不在の隙を付き、ジョーカーが確保して居たチャージ中のアーマーシップを摩訶混沌界の蔦で封じ込め、摩訶混沌界の大神官として活動を開始した。
 だが、彼が何を意図して動いているのかは、長らく不明であった。
 七大罪の魔門を開き、混沌王の復活を目指すかと思えば、WC達を夢の世界に閉じ込める。
 あるいはタヒチの奇祭を利用して大帝王ポーライを出現させたかと思えば、ポーライが倒されるのを放置する有様。
 だが、WC達の働きによって漸くガルバの目的が明らかになった。ヘレルの長子が彼の目的である事を。

●定めの時

 自然は偉大だ。かつての文明の痕跡を崩し、倒壊した建物の上を緑が覆い、新しい生き物の営みが生まれていた。
「この星がセントラルに破壊されて幾百年。星は太古に還ったようだ」
 アレクセイは感慨深げに感想を洩らす。廃墟を生命がこのように変えたのだ。
 ならば自分達がミエーレ星を復興する事もまた可能だ。
「アレクセイ。来て!」
 エカテリーナの声が呼ぶ。何事かと駆けつけると
「これは‥‥」
 天然の岩を繰り抜いた人口洞窟だ。入口に刻まれているミエーレ星の文字。
「アレクセイ様。ここはもしや‥‥」
 ジャッカルの親衛隊だった一人の男が進言する。かつてセントラルの攻撃を受けた時、最後の抵抗の拠点となった一族の聖地の話を、彼はジャッカルから聞いていたのだ。
「間違いありません。この先が聖域です」
「だが、堅く閉ざされているぞ」
「この先は族長のみが入ることを許されます。族長お一人がその円の中に立てば開くと聞いております」
 アレクセイが試みに、円の中に立つと。
「テレポーターか?」
 瞬時に辺りの風景が変わる。
「これは‥‥ジャッカル様? いや、似ているが違う」
 時が聖所の幕を落としたのだろう。奥に描かれたキマイランズの王に率いられた軍勢と、12枚の輝く翼を持つ巨大な人の姿との戦いが描かれている。
 輝く翼と言えば、普通は神々しいイメージを持つだろう。しかし翼が帯びる光は、暖かな光でも神聖な光でもない。例えるならば、反応炉が爆発する時の閃光に似て、光に打たれたキマイランズ達が焼かれている有様も描かれている。
「なんと言う禍々しさだ」
 アレクセイの本能が、危険を告げた。
 と、その時。
「新たなる族長よ」
 アレクセイの心に話し掛ける者が居た。
「誰だ!」
 答えは無い。ただ一方的に淡々と『声』は告げる。そして、目の前に幻は現れる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 聞け、我が子。新たなる族長よ。
 汝に一族の使命を告げる。我らは巨大な敵と戦う為に生まれし民。
 歴史の始まる昔から、定められし使命なのだ。

 新しき族長よ。今から話す事は汝の内に止めよ。
 敵は余りにも強大である。
 故に一族は、敵が目覚めぬうちに見つけ出し、これを葬る力を持つ。
 だが心せよ。敵を探し出すために与えられし能力は諸刃の剣。
 同時に敵に魅入られ易き者となる。
 それは強き者ほど顕著である。

 我が子よ。我らを創り者に託されし、奇跡の卵を正しく扱え。
 一族に新しき強い血を入れるのだ。
 生まれし子はより強く、その力を内に秘める。

 汝は急ぎ蒼き水の星、宝の倉へ行け。
 神々の武具を確認するのだ。
 それらが損なわれる時。敵の封印は解ける。

 我が子よ。汝が武具の損なわれるのを見たならば。
 急げ、戦いは近い。
 敵は汝と汝の子の時代に現れる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「俺と俺の子の時代‥‥」
 アレクセイははたと思い至る。既に預言の条件は満たされているのだ。
「もう時間が無い。急ぎ、地球に戻らねば」

●異変

 プルル、と室内に備え付けられている、インターホンがなった。受話器を取れば耳慣れた看護師の声。これより見舞いの者が行く、との連絡だった。受話器を置くとベッドサイドに畳んであったストールを羽織り、ララは来客を出迎える準備を整える。扉の上に据えられたランプが穏やかに光り、控えめの電子ブザー音が室内に響くと、電動ドアが左右に開き来客を迎え入れた。
「ご苦労様〜♪」
 来客・陽月がドアの向こうの警備人員に手を振ると、ドアはまた口を閉ざす。ここはとあるジャスティス基地付属の治療施設。手負いの者を襲われる訳にはいかない、設備はそこいらの病院に比べて遥かに厳重だ。
「あー、相変わらず面倒臭いや。赤ちゃんの顔見るだけなのに網膜やら静脈やら全部チェックだもんなぁ」
 愚痴りながらも見舞いの品を差し出す陽月に、ララは笑顔で応える。
「お見舞いありがとうね。退屈で退屈で仕方なかったの、今日は一日付き合ってもらっちゃおうかしら」
「大丈夫ですよー、今日は丸々お休み。急な呼び出しさえなければ」
 顔を見合わせ笑う二人。空間が一気に和らいだ。笑い声に反応したのか、ベビーベッドから「あぶぅ」と小さく自己主張の声。
「ああ、ランちゃんですか。もう一緒なんですね」
「本来産婦人科はないですもの。わざわざ新生児室を作らせるわけには‥‥ねぇ」
 そりゃそうだ、とベッドを覗き込む陽月。
 新しい生命の、つぶらな瞳が彼女の姿を捉えた。

「‥‥?! 陽月ちゃん!?」
 突如膝をつき、目を開いたままばたりと少女が床に倒れた。身体を起こそうとしたララは陽月の普通ではない様子に気付き、慌ててインターホンの向こうに助けを求める。
 母親の動転振りに反応しない赤子の事など、この時気付く余裕はなかった。

 それから半日。陽月の異変を聞きつけた銀河刑事を始め彼女と懇意のジャスティス達が集まって来た。
「明日には退院できるでしょう。少し熱がある他は、身体的な問題も皆無です」
 医師が手短に説明する。だが、既にベッドで体を起こすことが出来る陽月は、
「陽月殿。いかがなされたでありますか」
「陽月ちゃん。なにがあったんだ?」
 皆にあれこれと聞かれるが上手く答えることが出来ない。
「どこか痛いの? 苦しくない?」
 心配した女性が顔を近づけたが
「‥‥別に」
 一言漏らしたっきり、妙に大人びた面持ちでり込んでしまった。
「みなさん。大事は無いと言いましたが、明日までは入院患者です。悪い影響を与えるようでしたら、私は医師として退出を命じますよ」
 居合わせたララの主治医の一言で、
「ごめんなさい。お大事にね」
「すまん。デリカシーが無かった‥‥」
 見舞い客が下がって行った。

●予言の泉

 異変は唐突に始まった。
「‥‥どうしたことだ、これは‥‥」
 ローマ法皇庁。駆けつけた枢機卿に、職員達が疲れた顔を上げた。そうする間にも、電話はけたたましく鳴り続けている。
「世界各地の教会より、奇跡、変異の報告が殺到しております。どれもこれも預言めいた内容で‥‥早急に公式な解釈が得られなければ人々の不安を受け止め切れないと、皆、訴えているのです」
「聖遺物の多くに何らかの変化が生じているとの事。あるいは、終末の時が間近に迫っているのではと口にする者さえ‥‥」
「滅多なことを言うものではない」
 枢機卿に窘められ、慌てて口を閉じる。そこに、別の職員が駆け込んで来た。
「皆様、テレビを──」
 スイッチを入れると、イスラムの高名な指導者が映し出された。ムスリム達に対して、動揺しないようにと穏やかな口調で語りかけている。
「ヒンドゥーの指導者もこの様な放送を予定しているそうです。この現象は、宗教、地域に関わらず起きているという事でしょうか」
 枢機卿はそれには答えず、対応に戻りなさい、と一言。
「法皇様には、私からお話し申し上げる。報告して来た者達には、冷静に対処する様にとくれぐれも言い含めておきなさい。この様な時には、人々の不安につけ込もうとする輩が現れるものです」

 ガルバのもとに、三鬼衆が集結していた。
 目を閉じ、思案するガルバ。三人は、主が口を開く時を待っている。
「ガルバ様、なんだか楽しそう」
 くすくすと笑うロッソに、アスールが冷たい視線を向ける。その敵意に気付き、ロッソはもう一度、くすりと笑った。
「地球が随分と騒々しい。その意味するところは分かっているな?」
 ガルバの言葉に、アーゲントが恭しく頭を垂れる。
「来るべき日がようやく訪れる。その予兆かと」
「では、成すべき事も分かっていよう」
 は、と揃って答えた彼ら。アスールが二人に向き直る。
「先程渡したカプセルには、『記憶喰い』を仕込んであります。ジャスティス達が使うカプセル星獣が便利そうだったので、同じ様に作ってみました。記憶喰いには物の記憶を読み取って我が物とする能力があり──」
 ふうん、と疑わしげなロッソ。いきなりカプセルを開放した。現れたのは、獏を膨らませた様な珍妙な生き物。ほぼ球体の体に顔と尻尾、短い足が突き出していて、まるで子供の落書きの様だ。ロッソが蹴りを入れると、ぽてりと倒れてジタバタし始めた。起き上がれず、涙目になっている。
「‥‥役に立つの? これ」
 アスールは何も言わず一歩退く。ロッソの背後で開く巨大な口。気配に振り返る間もなく、ロッソは記憶喰いに丸呑みされていた。その姿がみるみる内に変化し、段々と人に近い‥‥後ろで事を見守るガルバを思わせる姿に‥‥。しかしそれは途中で止まった。記憶喰いの体から吹き出す黒い霧。それは渦を巻いて集まり、ロッソの姿となった。記憶喰いは元の間の抜けた姿に戻って、所在なげに辺りを徘徊している。
「なんなのこれ!?」
「この子は自分より遙かに大きな物でも丸呑みをして、そこに刻まれた情報をあらゆるレベルで読み取ってしまうのです。そして、得た情報の中から最も強力な姿と力を借りて身を守る。そういう生き物なのです」
 もう少し呑まれていてくれれば、あなたの情報も聞き出せたでしょうね、とアスール。実験台にされて不機嫌丸出しのロッソだが、
「ま、いいわ。面白そうだから使ってあげる」
 すぐに新しいオモチャの使い道の方を考え始めた様だ。
「念の為に言っておきますが、一度出したら暫くは使えません。無闇に解放しない様にして下さい」
「あくまで記録を辿るのが目的だ。くれぐれも忘れない様にな」
 アスールとアーゲントに釘を刺され、むくれるロッソ。ガルバは彼らに『行け』と仕草で示すと、再び思案を始めた。これまでも繰り返して来ただろう長い長い思案の時を、今の彼は、楽しんでいる様だった。

●目醒め

 アメリカ。ネイティヴアメリカンの聖地。聖なる洞の奥まった場所に一人の老人が座っていた。
 半ば醒め、半ば眠りの中にあるその老人の名はトント。歳の程は判らぬが、部族の誰よりも年嵩で古い出来事を良く識っている。
 その老人の普段は瞑られたままの眸が、久方ぶりに開かれた。
「‥‥来る‥‥恐るべきものが来る」
 そして岩壁に掲げられている古い友人の形見の方を見やり、呻くように呟く。
「キモサベ‥‥お主の形見を使うべき時は近いようじゃな‥‥」
「師よ、お目覚めですか‥‥」
 老人の目覚めに気付いた若者が、明かりを持って近づいて来る。
 その揺らぐ炎に、古びたガンベルトが浮かび上がる。白銀の弾丸が炎を映して光を投げかけた。

●NPC

・有口優也(jz0035)
・ブラッドピジョン(jz0036)
・ララ・シュタイン(jz0037)
・沢木陽蔓(jz0068)
・沢木陽月(jz0089)
・ガルバ(jz0090)
・アスール(jz0122)
・ロッソ(jz0124)
・アーゲント(jz0125)

■解説

・連動シナリオ
 後半OP及びその後のリプレイに多大な影響を与えます。
・全イベチャット
 NPCのチャット登場はなんらかの意味有るものとお考え下さい。

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