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■「GALVA INVASION」第4ターン 全体イベントシナリオ 後半パート リプレイ

●摩訶混沌界の誘い

 決戦の時を前に摩訶混沌界の外務相となった摩訶混沌獣ガニガニの手で張り出された人材募集の布告。その賃金水準はガニガニがかつてブルーバーの手で討たれた時代であれば、学生アルバイトの報酬としては妥当な金額だったが、現在では最低賃金割れの違法である。危険なワイルドカードの報酬額としては、現実離れした低賃金で誰も応える者等いない。
 誰もがそう思い込んでおり、それが効果を上げるとは、布告を出したガニガニ本人以外誰も思って居なかったであろう募集。それに応える者がいた。
「張り紙を見た。雇って欲しい」
 アーマーシップ防衛の任に付く為、地上に降りて来たガニガニをブロン液で誘いだし接触を図った片羽一真(ja1282)は、きりだした。
「感心な若者ガニ。大帝王ポーライ様のご威光を理解できるとは利巧ガニ。他の連中は摩訶混沌獣の布教の邪魔もして、皆愚か者ガニ」
 世界各地で同時多発的に行われた摩訶混沌獣の攻撃は、摩訶混沌界の存在を人々に知らしめ、恐怖と混迷を与えるという意味では成功した。その結果、新たな摩訶混沌城となった遺跡衛星と地上のアーマーシップを結ぶ蔦の弦を使う洗脳波攻撃のエネルギーを集める事ができた。
 しかし、作戦に従事した摩訶混沌獣はそのことごとくが、悪の手から人々を守るJusticeはもちろん、同じ悪でありながら利害の対立するJokerにも攻撃を受け倒されていった。Jokerというものは本来そういうものだろう。一般人の目から見て迷惑な存在、悪を成す者という点では共通していても、基本は出し抜き合い、足を引っ張りあうのが常である。組織が違う者、理想が異なる者はもちろん、その刃は時として同じ組織の上官や同僚にも向けられる。自らの出世の妨げになるから、勝利の暁に分け与えられる自身の取り分が減るから、部下の切り捨てなどもっと簡単に行われる事だ。
 それが覆されるには、ジャッカルの様な圧倒的カリスマの存在が不可欠だろう。力の上では、摩訶混沌界の大帝王ポーライや死皇帝ガルバはジャッカルに勝るとも劣らぬ存在であるが、両者が対立して並び立つ上、どちらも個性的で我の強いJokerを束ねようという意志を見せない為、Jokerを束ねる箍(たが)となる事はできなかった。
「で、雇ってくれるのか?」
 感慨にふけっていたガニガニを一真が急かす。
「歓迎するガニ、働き次第ではガニの片腕にしてやっても良いガニ」
 その単純で色よい返事を聞き、一真は微かに口元をゆがませる。
「それは良い、俺にポーライ様の威光を伝える名案があるんだが、乗らないか?」
 一真の言葉を聞いてガニガニは、真っ赤な甲羅の顔に興奮の色を浮かべて、耳をそばだてる。
「それはだな‥‥を使って‥‥というふうに‥‥」
 一真がガニガニの耳元に小声で案を伝えると、ガニガニがオーバーに喜びを表現する。
「凄いガニ! お前は天才ガニ! 名案ガニ! 直ぐに実行するガニ!」
 その様子に苦笑しながら一真が諌めるが、興奮したガニガニには一真の反応に不信感を覚える余裕はなかった。
「落ち付けって、大声出したら、せっかくの名案が盗み聞きされるだろ」
「はっ! そ、そうだったガニ! 危うく実行前にばれる所だったガニ」
 そう言って声を落とすガニガニだったが、周囲には砂漠が広がるばかりで聞き耳を立てる者の姿等微塵もなかった。
 ガニガニは一真を連れアーマーシップ防衛の配置につく、手土産のブロン液に喉を鳴らしながら。

 一方その頃、一機のSS型円盤が摩訶混沌城となった地上3万6000kmの遺跡衛星に接近していた。操縦桿を握るのはセイバーブルー(ja0526)。同乗者として車椅子を固定したマザーアリサ(ja0567)の姿が有った。
 目の前に遺跡衛星の姿は見えている。しかし、結界に包まれた摩訶混沌の城は立ち入るのを拒み、接近してもSS型円盤の機体を逸らして領域に踏み込ませない。ELOから得た情報では蔦に沿ってギリギリを飛べば侵入できるらしいが、そちらには多数の摩訶混沌獣の姿があり単機で切り抜けるのは不可能だろう。アリサは、通信回路をオープンにして遺跡衛星に呼び掛ける。
「摩訶混沌界の大帝王に提案が有って参りました。受け入れる度量をお持ちでしたら門を開いていただけませんか?」
 丁重な物良いで語りかけるその口調は丁寧で礼儀正しいが、恭順する者が持つ媚た響きは含まれていない。呼び掛けに対する応答はないまま、1分経ち、5分経ち、1時間余り待たされ、セイバーブルーがアリサに「脈がないんじゃないか」と声を掛けようとした時、遺跡衛星から一条の光がSS型円盤に降り注ぐ。とっさに操縦桿を切り、離脱しようとするセイバーブルーを制し、アリサが言う。
「このまま。攻撃する気ならとっくに攻撃している筈です」
 アリサにも決して安全という確信が有った訳ではないだろう、しかし、勝算は十分にあると踏んでいたし、一組織の長として万一の覚悟を決めてこの場に臨んでいた。そのアリサのボディガードとして付いてきたセイバーブルーも覚悟を決めて操縦桿を緩めた。
 遺跡衛星から放たれた光線は、SS型円盤を傷つけることもなく、アリサとセイバーブルーの精神に悪影響を及ぼす事もなく、スロットルを開けば簡単に振りきれそうな弱い吸引作用で船体を遺跡衛星に引き寄せている。
「お招きみたいだね」
 セイバーブルーは、状況を見極め中には入れるだろうと判断し、内部での衝突に備えて武器を確認する。
 SS円盤を格納庫に止めたセイバーブルーは、アリサの全自動電動車椅子をさもただの車椅子であるという素振りで押しながら、通路に光るガイドランプに沿って進む。通路のそこかしこに数え切れないほどの戦闘員[ショワショワ]が歩きまわり、所々に奇妙な姿の摩訶混沌獣が闊歩している。
「通路の閉鎖や解放、いえ、内部ブロックの移動でしょうか? 以前に訪れた時とは若干経路が変っていますね」
 アリサは車椅子を押すセイバーブルーにだけ聞こえるように小声でささやく。セイバーブルーもそれに頷く。大きく変ってると言う訳ではないが、以前内部に入った事が有るというアドバンテージは、思ったほど大きくはなさそうだ。
 そうこうするうちに2人は、玉座の間にたどり着いた。かつて大神官としてガルバが座していた豪奢な椅子には、異様な姿を持つ大帝王ポーライの姿があった。間近に直視した大帝王からは一般人なら耐えきれないような異様な気配が漂い、特殊スーツを纏うセイバーブルーさえ吐き気をもよおすようであった。
「客人、何用か?」
 大帝王ポーライが問いかける。見下してはいるが話を聞く姿勢は見て取れる。大帝王の周囲に侍る摩訶混沌獣らは、秘宝の指輪を身につけたアリサに、敵意に満ちた視線を送ってくる。
「お目通りが叶い光栄です。あなた様に提案があって参りました。おや、この指輪が気になりますか?」
 秘宝の指輪をあえて目に付き易く翳して問う? かつて地球を支配し、宇宙全土を席巻した大組織の大帝王の前にあっても怯む事無く対等に会話する。異なる組織の長同士である以上力の上下はあっても立場の上下はない。力関係に怯んでいては、併呑されるしかない。
「利用できる物は何でも利用する、あなた様が目的の為に怨敵の遺跡船を利用するのと同じです」
 作戦の為に宿敵の遺産を利用する大帝王ポーライの行為をついての発言だ。
「さようか。それ程の価値のある物か?」
 大帝王が一瞥をくれただけで秘宝の指輪が砕け散る。
「我が前で頼みにするには不足であたったようじゃな? で、何用じゃ?」
 大帝王が再度問う。その言葉に込められた威圧に直ぐに話を進めるしかないと判断し、アリサは答える。
「我らの力をあなた様に買って頂く為にまいりました」
 車椅子姿のアリサの言葉に、周囲の摩訶混沌獣らが笑い声を上げる。摩訶混沌獣らが直接戦えば1分と持たずにアリサの首を取れるだろう。
「我が力とは、武力にあらず、情報と知恵を買っていただきたいと存じます」
 アリサが交渉の勘所と力を込めて語る。
「不遜な態度よな。我を天上界を恐れ戦かせた摩訶混沌界の大帝王と知っての態度か。その言に相応しい力を持つか見せてみよ。言葉に違わぬ働きをすれば参謀として採り立てよう」
 言外に失敗した時には命がないと語っているが交渉は成功したようだ。
「受け入れていただき感謝します。つきましてはコントロールルームの使用を許可願いたいのですが」
 アリサの言葉にポーライは取るに足らぬ事の様に「好きにせよ」と答える。

●タヒチの地

 夜木菟葵(ja1494)は、ララの療養先であるタヒチの病院に降り立った。病院の屋上で警戒するマリアベル(ja0398)は、相手が葵であるのを確認してなお正体判明視覚での確認を怠らない。そして異常がない事を確認してから警戒の目を他に向けた。
 ララの身に危険が及ぶのではないかと警戒したマリアベルは、こうして警戒を続けている。警戒に足る確証はない。しかし、稀代の幻想力使いであり、ジャッカルの腹心ファントムロードが取り憑いていたララが何か重要な鍵を握っているに違いないという勘に従っての行動だ。
「ララさん、お体はどうかしら?」
 ララの病室に入った葵は尋ねる。部屋の脇にはサングラスをした屈強なボディガードという風情のマーク・ネルソン(ja1600)が静かに見守っている。
「はい、落ち付いてます。この子の為にもしっかりしないと」
 臨月の近いララは大きくなったお腹を愛おしそうに撫でながらはっきりと受け答えする。葵はカルテを見てララとお腹の子が健康である事を確認する。
「無理は禁物だけど、少し運動した方が良いかしら? 天気の良い日には中庭を散歩すると良いわね。頼りになるボディガードも付いてるし」
 そう言ってマークに微笑むと、マークもうむと頷く。
 3人が話している所に、涼村ユイ(ja1082)が自らの娘とする人造人間の涼村ミク(ja2101)を伴い病室を訪れる。
「そうですね、大きな変化が訪れ、私も起たなければならない時が迫ってるようです」
 4人を前にララが予知したビジョンを語る、過酷な運命の到来を感じ取っているのであろう。
「あなたも貴女の子も必ず守るわ」
 ユイがララに優しくそして力強く答えると他の3人も頷く。マークは力強く、葵は優しく、ミクは明るく。4人の姿に、ララも頷き返して言う。
「よろしくお願いします」
 ララの答えに母としての強さを身に付け立ち直った事を確認し、ユイと葵は安心した笑顔を向けると、同時に切り出した。
「それじゃ、行くわよミク」
「じゃあ、私は行くわね。後はよろしく」
 ユイはミクを連れ決戦に向けた作戦の準備をする為に、葵はララのガードをマークに託しタヒチに来たもう一つの目的を果たす為に、3人はララの病室を後にする。その様子を透視で確認していたマリアベルも元気を取り戻したララの様子に頷き、あらためて周囲に注意を巡らす。

 その頃、織部・真白(ja0650)はELOの仲介を受けある人物と接触を図っていた。世界の注目がエジプト方面に向けられ、儀式の島が失われた事で利用価値の殆ど無くなったタヒチを接触の場としていた。相手は小さな真白よりはやや大きいという程度のワンピースに帽子をかぶった少女の姿。
「陽蔓ちゃんはどうするの?」
 少女の名は沢木陽蔓、かつて摩訶混沌界と戦い先代の大帝王を倒し異次元へと追いやったセントラルの英雄ブルーバーこと沢木太とアイの残した双子の姉妹の姉だ。真白は陽蔓に問う。
「‥‥多分この戦いには陽月ちゃんも参加してる。力になりに、行く? それとも、見守る?」
 その言葉を受け止め、噛みしめるように思案を巡らす陽蔓。やがて、意を決して真白に答える。
「行くわ。私に何ができるか分からないけど、陽月だけに重荷を背負わせたくない」
 その答えを期待していたのか、陽蔓の手をとり真白は大きく頷いた。
「そう言うと思ってたよ。だから、ポッポさんに陽蔓ちゃん用のコスチュームも用意してもらったんだ。陽蔓ちゃんの事は私がきっと守るからね」
 そういって黒いワンピース型ニューロドレスをセットした電送ペンダントを陽蔓に手渡し、その手を引いて駆けだした。ガルバに誘われた《舞踏会》に間に合わせる為に。

 葵は、S型円盤に搭載してタヒチに持ち込んだレンジャーキキューンで移動する。昨年起こった《火山の噴火》で無人となった島へと。
 そこで先に現地入りしていた仲間と合流する。
「葵博士の到着です」
 のっぺりとしたぬいぐるみを思わせるような外見を持つ涼村父(ja2130)が指差す。
「お待ちしてました、夜木菟博士」
 そう言って霞沢賢一(ja1794)が手を差し出す。彼らはセントラル太陽系方面派遣隊に、対摩訶混沌界作戦の指揮官として赴任してきた甲賀雷が使用したというゲートの調査に来ていた。それは、セントラル本部のあるオルニス星の衛星軌道とソシエテ諸島のこの島を結んだ時空の歪み。常設タイプのゲートと呼ばれる物が、嘗てジャッカル基地があった一角に残されていたのだ。
 ジャッカルの基地の動力炉が爆発し、基地区画が全て破壊され島が形を変えた今でも、空間の歪みであるゲートはその姿をとどめていた。
「何者だ!?」
 瓦礫の隙間をぬって地下に降り立った一行を誰何する声が響く。
「怪しい者じゃないよ。あたし達はJusticeの調査隊だよ」
 調査チームの護衛役を買って出ていたアクアッパー真沙瑚(ja1691)が慌てて両手を振りながら答える。誰何の声を掛けて来たのは、セントラルから派遣されきたコンバットスーツ姿の若手銀河刑事だった。賢一が事情を説明し、身元の確認を受けて調査を開始する。
「どういう仕組みで歪みが出来てるのかしら? 特殊空間発生装置の類は見当たらないようだけど」
 調査を開始した葵が呟く。検査機器のお陰で、そこに空間の歪みがある事は間違いないが、原因となる物は見当たらない。
「どうも膨大な力で空間の歪を固定化してあるようですね」
 賢一も見解を述べるが決定的な結果は得られない。
「どうやってできたかより、この接続先はがセントラル本星のあった場所である意味、何の為に使われたかが大事ではないですか?」
 涼村父が自身の息子や娘を生み出した母ではあるが妻ではないユイからの伝言を伝える。
「そうね、これがジャッカル基地の中にあった事、セントラル本星に繋がっている事を考えると、昨年セントラル本星にガルバが現れたのは、このゲートを使ったんでしょうね」
「ユイ博士は、ガルバはセントラルのデータベースを探りに来たのではないかとおっしゃっていました」
 涼村父が託された推論を述べるが、当のセントラル本星が宇宙のデプリへと姿を変えた今、真相究明の可能性は限りなく少ない。
「検証はできないですが、確かにありそうな話ですね」
 賢一もその考察に頷くが、実際にセントラル本星のデータベースを調査する事もできず、仮に卓越した過去見の使い手を連れて現地に赴いたとしても確認できる時は過ぎている。
「ガルバのみぞ知るってことね」
 葵が悔しそうに呟く。その時、一行を激しい揺れが襲った。基地の爆発で構造が脆くなっていた地下空洞に落盤が生じる。目の前で窮地に陥る賢一や葵の姿を前に、自らの不甲斐なさに怒りが頂点に達した涼村父はマッシブなフォルムを持つ鉄のボディを持つ鉄人0103号へと変身し、銀河刑事と共に身体を張って生身の2人を庇う。
「始まったみたいだね」
 真沙瑚が呟いたとおり、摩訶混沌界による致命的な精神汚染を阻止できる限界点に達し、Justiceと反摩訶混沌界を標榜するJokerによる摩訶混沌界への攻撃が開始されていた。

●蔦攻防戦

 最初に攻撃が開始されたのは、カイロ郊外の遺跡に眠るアーマーシップと地上3万6000kmの静止衛星軌道にある遺跡衛星を結ぶ長大な摩訶混沌界の蔦だ。
 真っ先に攻撃を仕掛けたのは、S型円盤で接近したダヴ(ja0226)。卓越した操縦技術で、最小の機動で回避し最短の軌道を辿り成層圏の特に摩訶混沌獣の警戒が厚いゾーンに攻撃をかける。
「ガルバ様のお誘いを袖にするのは失礼ですが、摩訶混沌界の方のおもてなしも堪能したいですわ」
 距離を詰めた所でS型円盤から秘宝[DiskOfChariot]で飛び出していく。その身には秘宝[風神の弓]に加え護りの護符、ウサウサのぬいぐるみを抱え、秘宝を嫌う摩訶混沌獣を挑発しつつ飛び込んでいく。
「さぁ、狂喜乱舞なさい。わざわざあなた方の大好きな秘宝を用意して差し上げたのよ?」
 ダヴのDiskOfChariotは軽快に摩訶混沌獣をかわし、すれ違いざまに風神の弓を放ち、両胸からブレストレーザーを放つ。その一撃一撃が的確に摩訶混沌獣の急所を捉え、致命傷を与えて行く。

 更に、岸田・博士(ja1504)が用意し改造した機動鎧[胡蝶蘭(多弾)]を駆る房陰嘉和(ja2139)が、大型の多弾頭ミサイルで摩訶混沌獣を蹴散らして行く。
 仲間の影に入りミサイルをやり過ごした摩訶混沌獣の目から、破壊光線が放たれ懸命に回避する胡蝶蘭の左側面の装甲を焼く。本来の胡蝶蘭であれば搭載されたNフィールドによってその程度の光線など寄せ付けないのだが、大気圏内飛行機能搭載の為にNフィールドを排除した胡蝶蘭改め飛翔蘭にとっては、手痛い一撃となった。
 被弾の影響でバランスを崩した飛翔蘭に、別の摩訶混沌獣から追い打ちの光線が放たれようとした時、飛翔蘭に集中していた摩訶混沌獣の頭が爆散した。
「あら? どちらさまか存じませんが、人の獲物に手を出すなんて躾がなっていませんわね。直ぐに立ち去らなければ、貴方も獲物になって頂きますわ」
 摩訶混沌獣を撃ち抜いたダヴからの通信が届く、嘉和を助ける為の射撃だったのか、倒した摩訶混沌獣が偶々嘉和を狙う者だったのかは定かではない。だがダヴの言葉は本気を感じさせ、視線には殺気も籠っている。
「女の狙ってる獲物を横取りするつもりはない、ここは尻尾を巻かせて貰うぜ」
 自身の目的にとりダヴとの対立することの無益さと我を通して争っても勝算がない事を悟った嘉和は飛翔蘭をダヴの戦うエリアから下層へと移動させる。
 蔦の中間層では、クロームカウント(ja0698)がハーケン機構のついた専用バイク・クロームランサーを駆りブレイブカイザーを振るって立ちふさがる摩訶混沌獣を討ち倒しながら蔦を登っていた。
「身勝手なガルバも気に入らんが、摩訶混沌はもっと気に食わん」
 摩訶混沌獣の放つ怪光線をメデューサミラーシールドで跳ね返し、ブレードラッシュの斬撃を摩訶混沌獣の関節部に叩きこみ斬り伏せる。

 斬り込んだのはもちろんJokerばかりではない、紅赤コンバットスーツを纏うルーシェントルビー(ja0521)と漆黒のコンバットスーツを纏うブラックメール(ja1502)の女銀河刑事コンビがレーザーブレードと腕内蔵レーザーショットで進路を阻む摩訶混沌獣を撃ち倒して行く。2人は背中に邪魔にならないギリギリサイズの水タンクを背負ってる。
「これ本当に役に立つのかな?」
 ルーシェントルビーが年長のブラックメールに背中の水タンクを指差して尋ねる。
「私にも分かりません、専門家が考えた事ですから末端の人間はそれを実行するだけです」
 2人を始めJusticeの蔦攻略チームが背負っている水タンクは匙田竜介(ja0570)が発案した建築物の免震装置を応用した案である。精神攻撃を引き起こす物理を超えた震動にどの程度の効果があるかは不明だが、やらないよりはやってみた方が良いだろう。2人は、背負っていた水タンクを蔦の隙間に固定する。
 2人の後を軽快に駆けあがってくるのは、ユキヒョウをモチーフにした登坂力に絶大な自信を持つ改造人間ルシフェラーゼ(ja0126)だ。背中には2人より大きなタンクを背負っている。
「やっぱり堅いね」
 静物破壊に優れた効果を持つ万能バールを蔦に食いこませ切断を試みるルシフェラーゼだが、摩訶混沌界の異物である蔦は通常の道具で容易く破壊されてはくれない。〈転脳壊斬裂〉の必殺攻撃を加えればさしもの異物の蔦もダメージを受けるが、見る見るうちに傷口を修復していく。
「ならこいつでどう?」
 背負っていた水タンクの水を蔦にぶちまけるとそこへ万能ビームガンの冷凍光線を乱射していく。氷点下数10度まで冷却され蔦は凍結する。凍結した所に必殺の一撃を入れると、再生が起こらず破壊の傷跡が残された。
「これなら行けるかな?」
 まず凍結させ、凍結させた所を必殺技の破壊力で破壊して行く。その作業はかなりの集中力と体力を要する行為だった。そして、その邪魔をするのが蔦周辺の摩訶混沌獣の役目だ。ルシフェラーゼに襲いかかる摩訶混沌獣に割って入って食い止めるルーシェントルビーとブラックメール。しかし、もう一体の摩訶混沌獣が高速でルシフェラーゼに迫る。
 それを背後から切り裂く銀の甲冑のクロームカウント。
「今日の俺の敵は摩訶混沌獣だ。破壊するならとっとやれ」
 クロームランサーから射出したワイヤーで三体の摩訶混沌獣を絡め取る。その状況をみたブラックメールが、ルシフェラーゼ、ルーシェントルビーに声をかけ、小型ロボ[K9]にGボーンを咥えさせた。Gメンマグナムの一撃が摩訶混沌獣を纏めて吹き飛ばし蔦本体にも少なからずダメージを与える。

 成層圏から衛星軌道上で激しく戦ってる一方。地上部付近の低高度には、蔦を己の科学技術を持って攻略せんとする者達が、蔦のデータ収集と対抗手段の最終調整に精を出していた。
 戦闘黒衣に身を包んだプロフェッサー・ノトス(ja1812)は、愛車グランドセイバーを走らせ、落ちてくる蔦を採集し自らの手で分析を加える。植物似た性質を持つ金属生命体の様な物であると言う話はfirとセントラルの技官による調査で聞いていた。しかし、様々な可能性に対して実証実験を行って初めて分かる事も多い。
 除草剤、塩水、炎、植物に対する対処方法を次々と確かめその反応を調べるが、その反応は芳しい物ではない。
「これも駄目ね」
 刺激に対して植物と同じ様な反応を示すものという訳ではないようだ。直接的な打開策は見つかっていないが、逐一集めた解析結果は他の科学者の元へと送られている。そのデータから仲間が打開策を見つければ、ノトスの活動は無駄にはならない。
 一方、ドクトルスマラクト(ja1345)は、蔦の破片を埋め込んだ蔦チェーンソーを振り回し。蔦の強度で蔦を切断しようと奮戦する。破片となった蔦の欠片と生きた蔦、その物理的強度はほぼ互角で、高速回転する蔦の欠片が摩耗するより早く蔦に食いこんでいくが、その作戦には大きな誤算があった。生きた蔦の軌道エレベーターは生きてるが故に再生する事ができる。蔦の排除を困難にする最大の原因だ。再生する蔦の前に死んだ蔦チェーンソーの耐久力限界が来た、チェーンがはじけ飛び、スマラクトの身体を破片が傷つける。致命傷は回避できたものの、大きな誤算だった。しかしこの蔦チェーンソーでの裁断は大量の破片を生み出し、ノトスの解析に貢献して居た事は、本人達も知る由が無かった。
「あーら。ずいぶんぶっとい蔓ですね。こう言うの見ると、切りたくなっちゃうのって人情ですよね」
 そう呟きながらアビスロータス(ja1832)も独自に蔦の絡まり具合に注目して解析する。その焦点は、蔦がひと繋がりの株となってるのか否か。一体であるならば、決定的な一手を打つ事で全体を枯死させる事ができる筈との目論見だ。
「通常の植物の株とはまた違う構造ですが、一続きの塊として存在してエネルギーが流れているようですわね。ならば、このような手でどうでしょう?」
 そう言って彼女が用意したのは周囲の傲慢・強欲の精神のみを受信し、偏った精神波を増幅する装置だった。Justiceはともかく集まっているJokerの面々には傲慢さや強欲さを持つ者は多い。その傲慢・強欲と言った感情だけを増幅する事でエネルギーバランスを、通常の生物で言う所の栄養バランスを崩して、それによって枯死又は暴走させ、摩訶混沌界の精神波攻撃を止めようと目論んでいた。
 アビスロータスの目論見は決して悪い物ではなかったが、混沌を旨とする摩訶混沌界の輩は彼女の想像以上に曲者で、バランスが崩れてもバランスが崩れたなりに歪んだ成長を遂げる性質を持っていた。
 ソージュ(ja1277)は、遥か彼方の基地の中で情報を整理し、対抗策の開発を要請していた。プロフェッサーノトスから送られてくる最新データとfir・セントラル共同研究の成果、それに先の試験洗脳念波の記録を集めた。有口優也を通じて、各所のスタッフを動かし、洗脳念波を抑え込む逆回転念波を発信する手配を行っていた。本人はマシンテレパスで端末をコントロールし情報のやり取りを進めているだけだが、着眼点は的を射たものだと判断され、有口を中心としたプロジェクトチームが対策に奔走していた。

 上層で戦うダヴの頭上をセントラル製のS型円盤が駆けあがっていく。胡蝶・亜都真(ja1679)の乗る胡蝶蘭を搭載した天弓の巫女・華澄(ja1309)のS型円盤だ。華澄の操縦技術で飛行摩訶混沌獣の群れを突っ切ったS型円盤は、上層で亜都真の胡蝶蘭(雄蕊)を射出する。
 胡蝶蘭は装備したビーム砲とビームサーベルで蔦に攻撃を仕掛けるが、高硬度と再生機能を併せ持つ蔦に決定打を与える事ができないまま、摩訶混沌獣の白兵戦にも晒される。援護するS型円盤のレーザー砲も胡蝶蘭のNフィールドの内側に入った摩訶混沌獣には逆に効果を発揮できずに苦戦を強いられて居た。
「随分、騒々しくなってきましたわね」
 混戦の度合いが強まってきた所で、ダヴはウサウサのぬいぐるみをその中央に放り投げVSサンダーの電撃で起爆する。黒こげになりダメージを負った摩訶混沌獣を風神の弓で止めを刺す。

「ははははは、落ちちゃえ」
 赤いドレスを着たビスクドールの如き吸血鬼ロッソが、小柄な体に不釣り合いな巨大ボウガンから放つ矢で、摩訶混沌獣を貫く。火の鳥の背に乗ったロッソはブリザードハンドの猛烈な吹雪で摩訶混沌獣に纏めて痛打を与えると表面の凍った身体を砕くようにボウガンの太い矢を撃ち込んでいく。
 背後に回り込んで攻撃をかわした摩訶混沌獣がロッソの小さな身体に巨大な爪を持つ腕を振り下ろす、避けがたい致命的な間合いの攻撃だが、ロッソは身体を霧状にしてすり抜ける。
「後ろから襲うなんて悪い子にはお仕置きしなくちゃね」
 すり抜けてやり過ごした摩訶混沌獣に細い指先からサンダ―フィンガーの雷撃が降り注ぎ、グラビティキャノンの黒い重力弾が叩きこまれる。まるでゲームを楽しむように立ち塞がる摩訶混沌獣をただ落とし続けるロッソの姿には無邪気さゆえの恐ろしさがあった。
 蔦を巡る攻防はいつ果てるともなく続いていた。

●死皇帝の舞踏会

 摩訶混沌界との敵対を表明していたガルバは、側近のアーゲントを従えハロウィンパーティの会場に顔を出し、その場に居合わせた幾人かのJustice・Jokerの有志を《舞踏会》へと招待していた。
「パーティの開幕を知らせる花火も上がった事だ、そろそろ舞踏会の会場に向かおう」
 ガルバがマントを翻して宣言する。その隣には黒いスーツに身を包み銀色のロッドを構えたアーゲントが従う。それを追ってネクロエンペラー(ja1314)ら招待客が足を踏み出した時、慌てた声が飛び込んできた。
「待って待って、私達も舞踏会に連れて行って」
 そう言って飛び込んで来たのは、白い狐の尾をはやした白面のオリヴィエと黒いニューロドレスに身を包む沢木陽蔓だった。急に飛び込んできた来訪者に対し身がまえるアーゲントをガルバが手で制した。
「良いどちらも面識のある者だ」
 ガルバを先頭にそれに従うアーゲント。招待されたJokerの客人が8人と陽蔓、そして唯一のJusticeからの招待客である幻影戦忍・影法師(ja1023)、影法師の傍らには人造人間のグラナート=ツヴァイ(ja2032)が恋人の様に寄り添っている。
 12人はガルバの魔力によって生み出された8頭の骨馬が引く古風な馬車に乗りこんだ。その御者台にアーゲントが座し手綱を振ると、馬車は信じがたい速度で天空をかけて行く。またたく間に蔦の攻防戦を飛び越えると、戦闘の火花が歓迎の花火のように瞬いている。ガルバのサイン色紙を受け取って喜ぶヴァルテ・スモーク(ja0247)の隣で、戦いの光景を窓に顔を付けて覗いていたヴァリアブル・ディザスターこと南大社・ハミュン(ja1907)が好奇心一杯の瞳で見つめている。
「はややや、凄い速さですよ〜」
 音速を遥かに超えた馬車はまたたく間に3万6000kmの距離をかけぬけ、遺跡衛星の表面に辿りつく。そこは何時間か前にアリサとセイバーブルーが招かれるまで立ち往生していた結界のある場所だ。
「紐の反対側に回れ」
 ガルバが客に聞かせるよう、あえて声に出してアーゲントに指示を出す。吸血鬼の主と眷属の関係にある者は言葉を介さずとも思念によって通じる事もできる。だが、客に対するもてなしとしてあえて趣向を伝えているのだろう。
 アーゲントの手綱さばきで正確に地表とをつなぐ蔦の正反対の位置に着ける。そこから遺跡衛星に向け手を翳したガルバの双眸が輝き、目に見えぬ摩訶混沌の結界が開いていくのを客たちは直感的に感じ取る事ができた。
「なるほど、球体表面を巨大な渦が覆っているので、その軸の反対側にも渦の中心ができるか」
 ファントム・of・G(ja1810)が感心した声を上げる。
「見た所、力の入れどころは見極められても、相当強大な力を持たねば開けそうにない裏口だな」
 ファントムの評を聞いたガルバは、大したことはないという風に答える。
「なに、種が分かっていればさほど難しい術ではない。現代の魔術師とでも言うべき科学者なら技量次第で門をこじ開ける位の事はできよう」
 この時点でガルバは敵が察知してるとは考えて居なかった。摩訶混沌界の連中は妙な力を持ち戦闘力は高いが総じて機転が効かぬ者が多く警戒心にも乏しい。正門とも言うべき蔦側と、結界を力づくで破る事には注意していても、このように裏口からこっそり入ってくる事は全く想定していない‥‥筈であった。
 だが、摩訶混沌界の者とは一線を画す者が、遺跡衛星のコントロールルームに付き、確実にやってくるJustice・Jokerのワイルドカードの侵入を警戒していたのだ。その名をマザーアリサ、ポーライと面会し売り込みに成功したネオジャスティス首領だった。
「蔦の反対側に僅かな歪が生じました。侵入者、それもこの衛星に詳しい者の様ですね」
 アリサは侵入者の情報をコントロールルームから衛星内の摩訶混沌獣やショワショワに伝える。ポーライから別途指示がない限りはアリサの指揮に従うよう指示が出ている配下はその指揮通り侵入抗に待機し待ち構える。
 巨大摩訶混沌獣の目を掻い潜り衛星の内部についた馬車から一行が降りた時、アリサの指揮を受けた5体の摩訶混沌獣と無数のショワショワが立ち塞がっていた。
「ポーライに入れ知恵した者がいるようだな」
 ガルバが状況を見極めて呟く。
「招待した客人には悪いが予定外のもてなしの用意がしてあったようだ」
 ガルバの前にアーゲントが進み出、オリヴィエは背後に陽蔓を庇い、影法師はグラナート=ツヴァイの前に立ち秘宝の剣と盾を構える。ファントムはさりげなくガルバの後ろに回る。ネクロエンペラーは特に動く素振りを見せない。オリヴィエと変らぬ程小柄な黒揚羽の改造人間B・B(ja2138)はアーゲントの左後ろに寄り添うと得物のZ剣を構えた。
「少し‥‥早いけど‥‥ダンスの始まり‥‥ですね」
 グラナート=ツヴァイが呟くと同時に、戦いは始まった。アーゲントの振るった棍から放たれた衝撃波がショワショワ達の中心で炸裂し、爆風がショワショワを吹き飛ばす。それを追って間合いに踏み込んだアーゲントは、無駄のない動きで右、左、正面と爆風に巻き込まれたショワショワに止めを刺す。
 食虫植物のような摩訶混沌獣が繰り出す蔦の鞭をアーゲントがロッドで払いのけ、返しの一撃を入れると、高速で摩訶混沌獣の背後に回りこんでいたB・Bが右手に仕込まれたランスシューターで摩訶混沌獣に止めを差す。
 影法師が謙譲の盾で摩訶混沌獣の攻撃を引き受けている間にグラナート=ツヴァイが破壊の鉄槌を投げて攻めたてる。対立するJusticeとJokerの即席コンビとは思えない息の合った連携で摩訶混沌獣を追い詰めて行く。
 オリヴィエはクロウシールドの魔力で機先を制し、SwordOfSwordShipの鞭で摩訶混沌獣を切り裂く。
 ヴァリアブル・ディザスターのブリザードハンドが弱ったショワショワを全て凍りつかせて行く。
 ガルバが一睨みすると二体の摩訶混沌獣がお互いを攻撃し始めた。その一方を銀髪の巨漢の持つ剣が斬り伏せ。もう一方を黒いスーツに赤いプロテクターを纏ったD・ストーム(ja0442)が次元刀で真っ二つにする。
 2分と持たずに全滅した摩訶混沌獣とショワショワだったが、その役目は十分に果たしていた。その間を使ってアリサは通路の隔壁を操作し、一行の進路を大きく阻む事に成功した。
「こちらですガルバ様」
 微かな空気の流れとそこに含まれる匂いをかぎ分けたアーゲントが玉座の間に案内する。アリサがコントロールルームから通路を操作して妨害しても時間稼ぎにしかならないだろう。しかし、その時間を稼ぐ事に意味があった。

●アーマーシップ争奪戦

「上が騒がしくなりましたね。こちらも急ぎましょう」
 Dヴァルキリー(ja1035)が共にアーマーシップ確保を目指す仲間達に呼び掛ける。
「警備状況の情報は確かなようです。セントラルやガルバの思うままにさせないためにも、アーマーシップを確保しましょう」
 Dヴァルキリーの言葉に無表情に頷き肯定する一条・聖(ja2027)はエネルギー源のおにぎりを電送ボックスから補給するとイゼル・アインへと変身する。
「前に来た時より蔦の浸食が進んでるわね」
 先導するイゼルが変化の感想をもらす。

 Dヴァルキリーを中心としたJokerのアーマーシップ確保チームが遺跡に侵入した頃、Justice側のチームも別のルートからアーマーシップを目指して居た。
「こっちレツ」
 先導するのはこちらも異変が起こった当日調査に訪れていた人造人間のオムレッツ(ja2035)だ。情報提供者のお陰で摩訶混沌獣の警戒網を潜り抜けて遺跡部分まで辿りつく事ができた。

 JokerとJusticeのチームが摩訶混沌獣の目を掻い潜って侵入できたのは、情報提供者のお陰だけではなかった。
「ガルバ様が《舞踏会》に出かけられている内にお掃除を済ませませんと」
 青いドレスを纏ったアスールが手にした鞭を振るうとエジプトの風土に良く似合うマミーの群れが一斉に目の前の摩訶混沌界の手先ショワショワに襲いかかる。
 マミーとショワショワの一体ずつの戦闘力は、パワーと耐久力では互角だが動きが素早い分ショワショワに軍配が上がる。だが、まがりなりにも生物であり命を惜しむ習性を持つショワショワと違い、マミーは死を恐れる事も無ければ痛みに動じることもない。完全に破壊されない限り動きを止めることもない事が、決定的な差となって物量のぶつかり合いでマミーを優勢にしていた。
 ショワショワがマミーを斧で攻撃すると避けきれずマミーはダメージを被るが、その一撃でマミーが倒される訳ではない。身体に風穴を開け手足が千切れながらも迫るマミーがショワショワにしがみ付く。必死に振りほどこうと暴れるショワショワだが力は五分なので簡単には振りほどけない。そうするうちに二体目三体目のマミーに襲われてショワショワが倒される。仲間が倒されていく様にショワショワの腰は引けるので逃げ遅れた者から犠牲になっていく。
 摩訶混沌獣がやってきて容易くマミーを蹴散らし始めるが、摩訶混沌獣にはアスールの鞭が振るわれ、その鞭を通した電撃で黒焦げになり、PKフォースの剣で引き裂かれる。散発的に表れる摩訶混沌獣等ガルバ三鬼衆のアスールの前には赤子の手をひねるように容易かった。
「一方的に暴れるのはそこまでにして貰おうか」
 そう言って姿を現した寒来刃夜斗(ja1056)は小銭を入れてキルブレードへと変身、鬼の牙から繰り出す剣神の進軍でマミーを蹴散らす。しかし爆煙が晴れた中には不可視のPKバリアに守られたアスールの姿があった。
「そのようなもの、我が式神の敵ではない」
 そう言って布都御魂剣巫女(ja1555)がウンディーネの水の龍を放つ。PKバリアを素通りした水の龍だったがアスールの鞭に払いのけられる。
「このような子供だましが通じると思われては迷惑です」
 空を飛びバリアに守られたアスールに布都御魂剣巫女の呼び出す精霊獣は軽くあしらわれ、キルブレードの斬撃は届かない。
「うちも手伝うたるで」
 そういって加勢してきたのはCT(ja1828)だ。だが三人は、致命的な失敗をしていた。摩訶混沌界の者たちは、宿敵である天上界の遺産である秘宝を持つ者を敵視する事を忘れていたのだ。
 多数の秘宝を身に付けたキルブレードや布都御魂剣巫女は、ショワショワと摩訶混沌獣の攻撃を優先的に引き付ける的だった。CTも二人程ではないがしっかりと秘宝[闘神の力帯]を締めて挑んでる。
 CTが忍びの掟で卓越した指揮能力を発揮ししのごうとするが、指揮の効果は扱える味方の手駒に左右される。限られた戦闘員を駆使して我が身を守るものの、それが続くのは6分間の事でしかない。
 効果が切れた後は、怒りを向けて襲いかかる摩訶混沌獣やショワショワから チャクラ強化を駆使して逃げるしかない。そんな一時的な閃きの効果に頼りきって地力がない欠点が露呈する。
 何とか効果が切れる前にプロフェッサーA2の用意した巨大兵器収納壺から出した万能戦車に逃げ込む事に成功したが、摩訶混沌勢から目の敵にされている事には変りない。
 しかも、プロフェッサーA2は何度でも出し入れできるように作った筈だったが、一斉に中に収納していた巨大兵器を吐き出してしまった。人間が携帯できるサイズの中に複数の巨大兵器を収納できる程の圧縮空間を扱うのには無理があったようだ。
 幻想力による攻めが得意な布都御魂剣巫女も身を守る能力は乏しい、ショワショワの攻撃を避けきれず、精霊獣を防御に回し、キルブレードの援護を受けてかろうじて身を守っている。
 格闘の腕だけなら、超一流のキルブレードも射撃に弱い欠点が露呈し、デビテクターの効果が切れた後は、細かいダメージを蓄積していく。押されている3人を助ける為に、万能戦車で地下から接近していたシュリ(ja1100)も地上に出て応戦する。
 しかし身を守るためには襲ってくる摩訶混沌勢を倒すしかない彼らは、当初の思惑と異なり、結果的に摩訶混沌勢を掃除しに来たアスールに手を貸す結果になっている。むしろ背後から摩訶混沌勢を掃討するアスールとマミー軍団のお陰で彼ら自身が持っていると言っても過言ではない状態だ。

 その頃、オムレッツの先導を受けたチーム[戦乙女]のJustice達は、アステリオン(ja1270)のロータスの盾でショワショワをかき分けながら遺跡の中を突き進んでいた。
 蔦は全世界への洗脳攻撃を送る為にエネルギーを蓄えた状態なのか、嫌な空気を醸し出しはするが、直接的な精神攻撃は行ってこない。気持ちを静める為にシストリアン(ja1045)が奏でるアナインシーリュートの音色もメンバーの気持ちを落ち着かせてくれている。
 しかし、中枢部に近付くと情報があっても摩訶混沌獣の目を避けきる事はできない。目の前に現れた摩訶混沌獣に対し、青と白のコンバットスーツを纏うシヴァルリー(ja1874)がブラスターライフルを連射しながら、仲間に先行するように促す。
「皆は先に行って」
 1人で残す事を躊躇うアステリオン達だったが、拾陸式白兵戦機イザヨイ(ja2093)がビーストファンと高周波ソードで摩訶混沌獣に斬りかかりその侵攻を止めた。
「私たちで何とかします。今は先へ」
 イザヨイの前衛での格闘攻撃とシヴァルリーの援護射撃が着実に摩訶混沌獣にダメージを与えて行く。その様子を見て、仲間の無事を祈りながら先を急ぐ。

 アーマーシップに辿りつく直前、Joker側のルートとJustice側のルートが合流し、Dヴァルキリーらとチーム[戦乙女]の一行は鉢合わせした。Justiceにアーマーシップを渡す位なら、摩訶混沌獣の手にある方がましと考えるDヴァルキリーの敵意がJusticeに向けられる。
「ちょい待ちぃ、うちらはガニガニを倒しに来ただけや。正当な勝負で決まった結果を、どさくさにひっくり返すことなんて考えてへん」
 何度も面識のある戦乙女ワルキューレ(ja0917)が、アーマーシップの争奪を仕掛けるつもりがない事を伝え争いを避けようと説得を試みる。ガニガニを確実に倒す為には無用な消耗をするわけにはいかない。裏を持てる程複雑な性格をしてない程度にはワルキューレを知るDヴァルキリーだったが。
 同行者の1人黒き雌鳥がワルキューレの後ろにいる人造人間悪滅大聖エビルベイン(ja2151)を指差して言った。
「この人造人間、出し抜こうとしている」
 マシンテレパスで人造人間のAIの思考を読み取ったのだ。図星をつかれエビルベインは奥へと走り出した。
「行かせないよ」
 ネクロエンプレス・ドリット(ja2042)がエビルベインの進路に立ちふさがり、両者は激しく金属のボディを打ち合わせはじめる。
「やはり信用できませんね」
 DヴァルキリーがPKバリアを張り立ち塞がり、その間に他のJokerが奥へと急ぐ。

●プライウェン突入! 激闘遺跡衛星

「作戦次第は以上の通り。プライウェンが戦闘出力を保てるのは30分が限界だ。その間に巨大摩訶混沌獣を突破し、ポーライの元へ戦力を送り込む」
 甲賀司令が作戦概要を伝え、確認を行う。
「プライウェンの操艦は、君たちに任せる」
 そう言って甲賀は、武曲罠兎(ja1374)と宇佐美・観月(ja1720)の肩を叩いた。
「頑張ってね」
 沢木陽月も2人に声をかける。観月は任せてサムズアップのハンドサインで答える。
「俺は、突入部隊の指揮をとる。突入部隊は準備を怠らないように頼む」
 そのメッセージを受けて、罠兎は兎月真珠に、観月はバスターバニーへ変身しバトルフォーメーションの操縦コンソールに付く。
「プライウェン、機関臨界」
 技術部門のトップスピア警部が告げると、プライウェンはμ空間を脱して通常空間にその巨体を現し、最大戦足で遺跡衛星を目指す。兎月真珠の操艦は巧みで作戦で提示された最速ルートを的確に進んでいく。
「プライウェン、バトルフォーメーション!」
 遺跡衛星を前に、盾形のプライウェンの船体の両サイドが折りたたまれて腕が突き出し、下端が折れ曲がると足が突き出してややずんぐりしているが、重装甲と大出力を感じさせる全高1,500m級の超大型ギガンテスが姿を現す。第二次木星戦役で姿を見せたセントラル本星のバトルフォーメーションとは比較にならないが、通常のギガンテスの30倍程のサイズがある。
「「せぇ〜の!」」
 プライウェンBFの巨体が遺跡衛星を取り囲む結界に力任せのパンチを撃ち込む。格闘が苦手な2人の操作なので殴り方は力任せだが、機体は安定している。
 もちろん、ただ力任せに殴っている訳ではない。μ空間を生み出す空間湾曲のエネルギーを叩きつける為の鉄拳攻撃だ。μ結界と摩訶混沌結界がぶつかり激しい空間震動を起こして拳が摩訶混沌の結界の内側に突き抜けた。
「いまだ、こじ開けろ!」
 甲賀の指示で2人は、機体を操作し両手でこじ開けるようにして結界の隙間に機体を押しこんでいく。激しく閃光を上げながらプライウェンの機体が結界に挟まるように押しこまれる。
「良し、格納庫ハッチが結界の内側に入った。ギガンテス全機出撃! 続いて突入部隊でるぞ!」
 甲賀はそう宣言すると、電送コードを叫びレッドメタルのコンバットスーツを纏ったエリュトロンの姿を見せる。

「α各機出撃!」
 ヴァンゼリオン(ja0931)の操縦するαファイター、テスターゼロ(ja1668)のαスペース、カイゼリオン(ja1906)のαタンク、デスペラード(ja0136)のαマリン、テスゼリオン(ja2030)のαドリルが飛び出し、α型ギガンテスに合体した。
「行くぞ、ダイゼリオン!」
 5体合体のα型ギガンテスが、迎撃に向かってきた巨大摩訶混沌獣の一体を抱えて遺跡衛星の地表に叩きつける。
「超D合体!」
 EXブレイカー(ja1018)とロゼリオン(ja1019)の乗るβシャトルとマジンソード(ja2092)のβシップが合体して、β型ギガンテスとなる。
「ギャラクシオン行くぞ!」
 射撃の得意なロゼリオンとEXブレイカーが駆るβ型ギガンテスは軽快なフットワークを見せ、巨大摩訶混沌獣を翻弄する。
「大帝王ポーライ、地球の衛星軌道上への無許可の滞在は禁じられています。直ちに退去しなさい!!」
 シグナルバン(ja1804)が万能戦車[セントラル]で砲撃を加える、更にボンダーくんRX(ja1152)も続く。
 波佐見稔雅(ja0174)の駆る胡蝶蘭も摩訶混沌獣を多弾ミサイルで迎撃しながら遺跡衛星へと向かう。

「こっちも援護攻撃するよ」
 結界に挟まれたプライウェンの指先から放つ大口径のビーム砲でバスターバニーは遺跡衛星上の摩訶混沌獣を的確に撃ち抜いた。
 その援護を受けながらアイリス・フィオレ(ja1080)が操縦桿を握るSS型円盤でエリュトロンと火群焔羅(ja0763)が遺跡衛星突入を目指す。胡蝶蘭で飛び込んだ稔雅も武装ユニットを切り離すとヴァルテ・シザーに変身し先を急ぐ。
 小型機の利を最大限に生かし、アイリスが巨大摩訶混沌獣の攻撃をかわし衛星地表を目指す。
「こっちがお留守だぜ!」
 EXブレイカーの放つβブースターキャノンが巨大摩訶混沌獣を的確に撃ち抜く。
「今だ!」
 ヴァンゼリオンのαソードで止めを刺す。
 βサーベルが外殻に穴を開け、その中にエリュトロン、焔羅、アイリスが飛び込んでいく。β型ギガンテスが剣を抜く隙をついて迫る巨大摩訶混沌獣をαキャノンが捉え、抜きざまのファイナルβギャラクシーで止めを刺した。

 隔壁を破って侵入した三人は、運命のいたずらかガルバ一行と鉢合わせする。素早くガルバの前に出て棍を構えるアーゲント。そして、一行の中に居た銀髪の男バスティラ(ja1544)が、エリュトロンを指差す。
「木星での借りを返させてもらう、完全決着を付けるぞ。勝負しろ!」
 バスティラは、エリュトロンに強烈なタックルをかける。背後のアイリスを庇ったエリュトロンはかわすことができず脇の通路に押し込まれる。しかし、一方的にやられるエリュトロンではない。カウンター気味に強烈な膝蹴りをバスティラの肩に食い込ませている。
「やい、ガルバ! この前の借りを返してやる勝負だ!」
 焔羅は、アンデッドにとって天敵ともいえる秘宝[アンデッドスレイヤー]を構えて宣言する。
「そうです、夫婦の愛の前にひれ伏しなさい!」
 アイリスもガルバに挑戦状をたたきつける。それに対し、ガルバが答えを返すより早く、アーゲントが進み出る。
「ガルバ様が出るまでも有りません。ここは私に任せて先をお急ぎください」
 銀の棍を構えて焔羅とアイリスを威嚇するアーゲント、その力量がただ者ではない事をひしひしと感じさせる。アーゲントに後を任せて先に進もうとするガルバへ、アイリスはVEブラスターの狙いを付けるが、引き金を引くよりも早くアーゲントの棍が電光の早さでアイリスの胸に突き入れられる。
「危ない、あやめちゃん」
 とっさに焔羅が棍の前に身体を投げ出してアイリスの代わりにその一撃を受ける。強烈な一撃を脇腹に受け血を吐く焔羅。アイリスが倒れた焔羅を助け起こした時にはガルバ達は既に通路の向こうに姿を消していた。ただ1人B・Bだけがそこに残っていた。
「私はガルバ様の身辺を護る者、君と遊んでるほど暇ではない」
 アーゲントが背を向け離れようとした所で、肉体変化で腕を伸ばした焔羅の剣がその背を掠め、後ろ手に構えた棍に受け止められる。
「唯で逃がすかよ。この褌王子と呼ばれた火群焔羅とあやめちゃんの夫婦の力なめるな」
 呆れたような顔をしてアーゲントは答える。
「邪魔をするのであれば倒すまで、祈りを済ませなさい」
 鋭い棍の一撃をかろうじて剣で受け止める焔羅。アイリスの放った冷凍光線がアーゲントの足を床に縫いつけたお陰で踏みこみが浅かったのだろう。

●激震のアーマーシップ! 崩れ落ちる蔦

「ここから先は通さないガニ」
 すっかり蔦に覆われたアーマーシップの通路に立ちふさがるガニガニと部下として付けられた軟体型摩訶混沌獣ダコダコと堅い殻を持つ摩訶混沌獣ガイガイ、そして一真が待ち構えていた。
 黒き雌鳥(ja1408)と松戸旦求(ja1103)が摩訶混沌獣を前に進みあぐねていると、Dヴァルキリーがテレポートで追いついてきた。
「ジャスティスとガルバの手先が迫っています。私達が争っても漁夫の利を与えるだけ、ここは一先ず手を結んでジャスティスやガルバの手先を倒しましょう」
 そうガニガニに呼び掛けるDヴァルキリーだったが、相手に話を聞かせる準備が不足していた。
「ガニを騙そうとしているガニ! お前は天上界の使いガニな。ガニたちを騙して罠に掛けるつもりガニ!」
 そう言ってガニガニが指差したのはDヴァルキリーの額の宝冠だ。更に足元には翼のサンダル、懐にも秘宝を忍ばせている。
 ダコダコが墨を吹き出したが、DヴァルキリーのPKバリアがこれを食い止める。くっきりとバリアの輪郭に沿って黒い墨の影ができる。
 話の通じないガニガニ達とDヴァルキリーらが争う内に、Justiceの面々も追いついてきた。
「信じる信じんは勝手やけど、うちらの用があるんはその摩訶混沌獣らだけや。ここは手を汲んだ方がええんちゃう?」
 再び呼び掛ける戦乙女ワルキューレの言葉に、渋々共闘を飲むしかないDヴァルキリー達だった。もちろん、隙さえあれば摩訶混沌獣をJusticeに押し付け、アーマーシップを抑えに行こうと考えていた。
 その時、すっかり蔦に覆われ根を張られて無残な姿を晒すアーマーシップを直に見てゲパルト(ja0397)の胸の奥に1つの思いが湧きあがってきた。それは、炬燵でぬくぬくしてたかった筈なのに、こんなところまで来てしまっていた理由だった。年の離れた兄貴の様な、あるいは親父の様な親しみを感じていたジャッカル。そのジャッカルから託されたアーマーシップが第三者の手で無残な姿にされた事にやりきれない思いを感じていたのだ。親しい者から託された物、その去就はどんな結果になるにせよ自分の手で決めたいという、理屈や損得じゃ測れない思いがゲパルトの足を炬燵ではなくエジプトに運ばせていたのだった。
「ここは任せたぜ」
 ゲパルトは、弐の爪 【迅雷】の爆発を利用して一気に加速すると、壁をけり、摩訶混沌獣らを飛び越えて奥に駆け込んで行く。とっさの事に誰も追う事もできなかった。

「ここで決着付けさせてもらいます」
 シストリアンがガニガニに宣言する。
「ファナ、摩訶混沌、倒す」
 パラダリス(ja1764)は爪でダコダコに飛びかかる。ダコダコの反撃の墨攻撃を百鬼(ja1703)のPKバリアが退ける。
 アステリオンとシストリアンがガイガイの外殻を叩き割ろうと攻撃をする。
「新入りも手伝うガニ」
 ガニガニが一真に参戦を促す。
「そうだな、俺も手伝ってさっさと片付けるか‥‥」
 そう答えながらダークゼリオンへと変身してガニガニを背後からダークフォースブレードで切りつけた。
「な、何をしてるガニ。斬る相手を間違えてるガニ、あいつらをやっつけるガニ」
 そう言ってガニガニはワルキューレ達を指さす。
「間違えちゃいない、最初から予定通りだ。あいつらに情報を教えてここに案内したのも、今この場で裏切るのもな」
 ダークゼリオン・片羽一真は、最初から情報をリークする為にガニガニに接触を図っていたのだ。摩訶混沌界の連中が信じ易いよう一切の秘宝を装備せず、あえて異物を装備してきたのもそのためだ。

「蝿どもがうるさいようじゃな。少し早いが作戦を実行するとしよう」
 ポーライが宣言する。ここで作戦を前倒しにしてくるとは、誰も予測していなかった。
 怪しく鳴動を始める蔦、亜都真の胡蝶蘭やルシフェラーゼらによって損傷を受けていた蔦だが、完全に切断するには至っていない。それでも、破壊活動はエネルギーの伝達を遅らせる効果はあったようだ。
 数十秒のタイムラグをもって全体が揺れ始める蔦、今まさに洗脳波が広がろうとしていたその時。
「行け! 逆回転念波、送信!」
 ソージュが強引にハッキングした放送衛星から、突貫作業で開発された逆回転の念波が放出され蔦からの念波を抑え込む。
「衛星が過負荷を起こしてます後、30秒で機能停止します」
 firのスタッフの悲鳴が木霊する。衛星が機能停止すれば、念波の中和ができなくなり人類総洗脳が待っている。

「動け、アーマーシップ。敵に利用されっぱなしで良いのか!」
 一気にアーマーシップ中枢に掛け込んだゲパルトがコンソールに手を叩きつけて叫ぶ。黒き雌鳥は、マシンテレパスでの接触を試みていたが何の反応もなく、中枢機構が死んだと諦めていた。だが、ゲパルトの叫びに答えたかのようにアーマーシップが一時目を覚まし、その船体を揺らす。
 それは、さながら取り憑いた蔦の根を引きちぎるかのような動きだ。蔦の全域に損傷が走る。しかし、蔦に侵されていたアーマーシップは力尽き、船体を崩壊させ始める。
「ふふふ、真打は最後に現れるのだよ」
 今まで準備に追われいていたマッドスクウェア(ja1439)は、勇者の証を使い、再生しようとする蔦に通信機を取り込ませた。その通信機を通し、対蔦用ウイルスを送り込む。ELOの基地にこもり蔦の情報伝達を電気信号と絞り、ウィルスプログラムを送り込む事を考えて生み出した発明だ。そこに込められたのは、大罪を抑え込むために人々が永い時の中で生み出してきた徳の観念を、様々な経典から分析しプログラム上に再現した物だ。
 そのマッドスクウェアの生み出したアンチ大罪ウィルスが、蔦全体に広がりエネルギーを中和し機能を破壊して行く。
「アーマーシップのデータ取れる限り取って見せる」
 旦求は、崩壊しつつあるアーマーシップの中で回収できる限りの情報を回収し、持ち帰れる限りのパーツを回収にかかる。
 細かく崩れながらも落ちて行く蔦の下。摩訶混沌獣に襲われた者を敵味方一般人ワイルドカード区別なく救助活動をするお助けヒーロー・志雄座衛門(ja0411)とドクトル・ゼピュロス(ja2127)の姿があった。

●決戦! 大帝王

「最後の一体だ!」
 ヴァンゼリオンのファイナルαクラッシュが巨大摩訶混沌獣の最後の一体を倒すと同時に、外殻に突き刺さる。
「後は頼む」
 β型ギガンテスをマジンソードに任せて、ロゼリオン、EXブレイカー。そして機動馬ガレオンに乗ったK=9(ja0289)が亀裂から遺跡衛星に乗りこむ。
 α型のヴァンゼリオン、デスペラード、テスターゼロ、カイゼリオン、テスゼリオンも機体を飛び出し後を小型ロボとボンダーくんRX、シグナルバンの万能戦車に任せて突入する。どの機体もダメージは大きい。

 先行していたガルバ一行と少し遅れてヴァルテ・シザーは一足先に大帝王ポーライの居る玉座の間に辿りついた。
 大帝王の身体からは、気を抜けば憤怒や嫉妬と言った大罪に駆り立てる精神汚染の念波が湧きあがっている。
「よくも、我が策を邪魔した揚句、玉座まで土足で上がってきましたね。ガルバに至っては、大神官にまで取り立てたのに裏切るとは許しませんよ」
 ポーライの左腕の奇妙な口から強酸の塊が打ち出された。ガルバは傍らに居たヴァリアブル・ディザスターとヴァルテ・スモークを左右に押しやり、強酸から退避させる。そのまま強酸の塊を受けたがガルバは、身体どころか着衣にも乱れすらない。
 ポーライの節足動物の脚のような右腕の爪が振るわれる。鋭い斬撃がネクロエンペラーの身体を斬り裂こうとするが妹ラビットムーン(ja1611)の作った発明品のマント[0Coat]が直撃を逸らし身体を守ってくれた。ポーライの爪にはダークフォースブレードと同様の黒き光の刃が生じていた。
 大物の首を狙うためガルバの招きに応じていたD・ストームがフォームテクターの特性を活かした拳を繰り出し攻撃する。しかし、ポーライの巨大な頭部の両眼が怪しく光るとDストームの身体が弾き飛ばされた。
「流石は摩訶混沌界の首魁か」
 ヴァリアブル・ディザスターがウンディーネチャリスを掲げ、増幅したブリザードハンドを放つ。吹雪は間違いなくポーライを捉えているが一向に応えた様子はない。
「こちらに下がられよ」
 影法師が謙譲の盾を構えヴァリアブル・ディザスターに呼び掛けるとヴァリアブル・ディザスターは慌てて影法師の背後に身を隠す。
 ポーライの分厚い唇から、超音波が発せられ影法師の構えた謙譲の盾を激しく震動させる。このままでは、盾が砕ける。そう判断し、攻撃に転じようとした時。
 玉座の間に黒い影が飛び込んできて、三角飛びの要領でポーライの背後から襲いかかった。
「喰らいな!」
 両手に持った湾曲した刃を組合せカリバーシザースでポーライの首を狙ったのはヴァルテ・シザーだった。ガッチリとポーライの首を挟んだカリバーシザースは、ポーライの首と胴を二つに分断した。どす黒い液体を噴水のように噴出させ首が飛ぶ。
「ホホホホホ、楽しませてくれる御仁よの。人の部屋に入ってきて早々に首を跳ねるとは大胆な」
 首だけとなったポーライが楽しそうな笑い声を上げる。そして首なしとなったポーライの左手がヴァルテ・シザーの胴体に張り付き強烈な消化液を吐きかける。手にしたツインカリバーで振り払おうとするが、ポーライの首を刎ねた時、どす黒い液体を浴びた左右のツインカリバーは腐食して機能しなくなっていた。このままでは危険だと判断したヴァルテ・シザーはブリットラキエータを使い、壁にぶつかりながらもポーライの腕を逃れる。その身体には酸による凄惨な傷跡が残されていた。
 身体から離れた首は目から怪光線を発し、口から破壊音波攻撃を降り注がせる。怪光線をマントで受け止めながら反撃しようとしたネクロエンペラーに、ポーライの胴体が溶解液を吐き出す左の触腕を伸ばしてくる。Dストームの次元刀が触腕を途中で斬り落とすが、触腕は何事も無かったかのように再生し、斬ったD・ストームに右手の光の爪が襲ってくる。
「これは命がいくつあっても足りないよ、逃げようアイちゃん」
 星白熊のアイちゃんに飛び乗ったヴァルテ・スモークは逃げ出した。

 逃げ出したヴァルテ・スモークと入れ違いにJusticeの後発チームが乗り込んできた。
「しっかりしな」
 EXブレイカーとロゼリオンが銃撃で弾幕をはり、ポーライの頭と胴を抑え込む。
「てめぇがポーライか、この意味不明のゲテモノめ! 俺様が相手だ!!」
 コンバットスーツを思わせる戦闘形体に変形したテスゼリオンがGソード片手に飛び込んでくる。
「てめぇがポーライか!? この世界に馬鹿混沌界の入り込む余地なんざ、隙間もねぇんだよ!!」
 カイゼリオンがテスターゼロの援護射撃を受けながらブレイブカイザーで斬りかかる。更に、デスペラード、K=9、ヴァンゼリオンも加わる。
「これだけの強者とガルバ、一度に相手にしては流石に、骨が折れる。ガルバには遠慮してもらうぞ」
 ポーライがそう言って巨大な目を見開き、額の目の様な宝石が光るとポーライ自身とJustice、Jokerの戦士達だけを結界の中に取り込んだ。そしてガルバだけが玉座の間に残された。
「流石は、摩訶混沌界の大帝王。天上界を震撼させる力を持つ者だけはある」
 ガルバは、そう言いつつもポーライの生み出した結界を破る為に空間を探り始めた。

 一方、ポーライの結界に取り込まれたJustice・Jokerのワイルドカード達は、パワーアップしたポーライの力と空間内に満ちた傲慢・嫉妬・憤怒・怠惰・強欲・暴食・色欲の激情に駆りたてる衝動に苦戦を強いられていた。
「皆、感情に流されるな。しっかりと気持ちを強く持つんだ」
 守護者の槍を振りかざし、K=9が檄を飛ばす。その胸中には恋人との清らかな愛の思い出がしっかりと支えとなっていた。その檄を受け、皆は心を奮い立たせる。
 気を取り直し戦う一同だったが、水を得た魚の如く力を増したポーライの攻撃は苛烈だった。目からは怪光線、口からは破壊音波を繰り出し、射撃の苦手な物を攻め立てる。同時に首なし胴体は、闇の爪と強酸の触腕を伸ばして激しく格闘戦で攻めてくる。
 必死で攻撃を受け止める影法師とカイゼリオンの謙譲の盾が破壊音波と消化液の相乗攻撃で破壊される。

 B・Bが見つめる前で、アーゲントは圧倒的な技量で焔羅とアイリスを追い詰めていた。既に焔羅の身体には棍に打たれていない場所等無く、立っているのが不思議な程だ。
「急ぐ用ができた、悪いがこれで終わりにさせてもらう」
 ガルバの異変を感じたアーゲントの棍が鋭く突きだされ、焔羅のズボンの左大腿部を貫いた。しかし、一滴の血も貫かれた部分から噴き出して来ない。テレパシーではない夫婦の以心伝心によって、焔羅の狙いを感じ取ったアイリスが万能ビームガンとVEブラスターで正確に焔羅のズボンの腰を撃ち抜いていたのだ。同時に焔羅が飛び上がった際、革ズボンだけが取り残され、アーゲントの棍はそれを貫いたのだ。
 焔羅は頭上高く飛び上がり伸ばした腕でアンデッドスレイヤーを振りかぶっていた。しかし、アーゲントは棍を引き抜き、一早く防御と反撃の体制を整えようとしていた。
「甘いぜ! この輝きを恐れんのならかかって来い!」
 革ズボンを脱ぎ捨てた焔羅の下半身には、黄金の秘宝褌[百式]が隠されていたのだ。そして、遮るものが無くなった秘宝褌は激しい閃光を引き起こした。秘宝のもたらす魔力を帯びた閃光は、三鬼衆アーゲントの目をも眩ませた。その一瞬の隙をついて振り下ろされた焔羅のアンデッドスレイヤーは、アーゲントの左腕に深手を追わせいた。だが、アーゲントもただでやられてはいない。片手で振り上げた棍が焔羅の胸を強打し肋骨を纏めて十数本叩き折り、その一部が肺を突き刺していた。
「大丈夫ですか、アーゲント様」
 B・Bがアーゲントに寄り添い、庇うようにして立つ。対アンデッド用の魔剣で受けた傷は、アーゲントと言えど一瞬で癒す事はできず傷跡が残っている。アイリスは呼吸もままならない焔羅を抱えて距離をとる。

 他方、バスティラに勝負を挑まれたエリュトロンは、未だ決着を付けられずに居た。歴戦のエリュトロンの戦闘技術はバスティラの粗削りな技量を凌駕し、度々、体皮硬化の及ばぬ急所に攻撃が決まっていた。だが、驚くほどにタフなバスティラは、並の怪人なら2,3回は倒される程のダメージを受けてもものともせず、グレイトアックスを振り回して来る。直撃を受けていないエリュトロンだったが、長引く戦いにエリュトロンの体力が続かなくなってきていた。日々の鍛錬を怠っていないとはいえ、50に達する年齢に体力の衰えは隠しきれない。
「こうなったら体力の温存等と言ってられんな。最大の奥義で応えよう」
 レーザーブレードを起動したエリュトロンが、燃え盛る太陽を背負い袈裟がけに斬りつける。
「エリュトロンクラッシュ!」
 ドーマの繰り出す怪人や幹部を打ち破ってきたエリュトロン最大の必殺技がバスティラを捉える。正確に肩から心臓に達した斬撃だった。
「まだだ、バスティラの情念はこの程度で終わらん!」
 鮮血を吹き上げながら吠えるバスティラは、最後の肉体再生を駆使して破壊された心臓と肺を再生し、一撃を繰り出す体力を回復させる。
「魔神爪!」
 グレイトアックスの重量を続けざまに叩きつける5条の波動は、まさに巨大な魔神の爪が獲物を抉るようだった。絶対的必殺技を放ち、力を振り絞った直後。そして、確かに仕留めたという手ごたえを感じた瞬間だっただけに、さしものエリュトロンも回避する事ができなかった。エリュトロンはバスティラの〈魔神の爪〉を正面から受ける。
 衝撃に激しく吹き飛ばされるエリュトロン。CSがしっかりと急所をカバーしているので即死こそ免れているが立ちあがる力は残されていない。一方で、本来なら死ぬほどのダメージの所を無理やり身体を動かし、必殺技を繰り出したバスティラも大量出血で意識が途絶えかけていた。
 その2人の前に姿を見せたのは片腕を負傷したアーゲントとB・Bだった。
「この銀髪の男は手当てをすれば助かるだろう。だが、こちらの銀河刑事は‥‥」
 そう言ってアーゲントはバスティラの身柄をB・Bに預ける。
「赤いコンバットスーツの銀河刑事。無念を残しているな。問おう、再び立ちあがり無念を晴らす為に呪いを受け入れるか? それとも無念を抱えたまま旅立つか? 強制はしない。選ぶが良い」
 アーゲントが虫の息のエリュトロンに問う。エリュトロンの脳裏に先輩であるスィリブローの姿、前総監ゴルランと後輩ブルーバーの在りし日の姿を思い浮かび、摩訶混沌界討伐の任を鑑み応えた。
「‥‥一時の時間が欲しい‥‥、仲間の無念を‥‥晴らす為に‥‥」
 その言葉を聞き、アーゲントはエリュトロンの首筋に牙を立てた。

 アーゲントから受けた力で身体的な損傷を回復させたエリュトロンとアーゲント、バスティラを抱えたB・Bがガルバの元に辿りつく。そのアーゲントの姿を見てガルバが感嘆の声を上げる。
「アーゲントが刀傷を追うとは珍しいな」
「油断しました、面目ありません。だが、この男は我が片腕以上の力になるでしょう」
 アーゲントはエリュトロンを指して言う。
「ほう、そこまでの男か。ならば丁度良いだろう。流石に、準備なしでポーライの結界を破るのには、力を使うからな」
 そう言ってガルバの右人差指の爪が左腕に一本の線を引くと、そこから死皇帝の特別な力を秘めた血が噴き上がり、空中に立体的で複雑な魔法陣を描いた。ガルバの血で描かれた魔法陣が金色の光を放ちガルバの詠唱に力を与える。詠唱が極まった所で一点をガルバの指が指すとそこから空間が割れて行く。

 割れた中からポーライとそのポーライの攻撃に傷つき倒れたJustice、Jokerの面々が姿を現す。
「流石は我が大神官に指名したガルバ、我が結界を外から破るとは見事。じゃが、遅かったようじゃな」
 ポーライが異形の腕で膝を屈し、倒れ伏し、傷を抑えてかろうじて立つワイルドカード達を指し示す。
「そうでもないようだ」
 ガルバがそう言うと、赤いコンバットスーツを纏ったエリュトロンがクリスタルの剣とレーザーブレードの二刀を持ってポーライの胴体に斬りかかる。その動きはバスティラと戦っていた時よりもスピードがあり力強かった。
「そなたの新しい手駒か。やるではないか」
 首だけのポーライがそう言うと、目からの怪光線でエリュトロンとガルバを攻める。エリュトロンは素早く身をかわし、気だるそうに立つガルバの前に掛け込んだアーゲントが棍で光線を払いのける。

 その時、地球全土に1つの放送が流された。
『皆さん。地球は今、最大の侵略を受けています。
 25年前、銀河刑事ブルーバーが退けた摩訶混沌界が、再びその魔の手を伸ばしてきたのです』
 涼村ミクの声が、放送を通じて世界中に響く。ユイの手配によって、世界中の人間を戦いに巻き込む計画だ。
『これを阻止する為に世界中から正義のヒーローが集結し、勇敢に戦っています』
 様々な記録映像が断片的に放送され、人々の心に訴えかける。
『ヒーローは皆さんの生命を、皆さんの未来を守る為に、その命を賭けて戦っています。
 彼らはもしかしたら、あなたの知っている人かもしれません。
 どうか私と一緒に彼らの勝利を願い、声援を送ってください。
 人々の声援があれば、正義のヒーローは絶対に悪に負けたりはしません!!』
 映像が、プライウェン艦内とオーバーラップする。
 兎月真珠が、ルミナスウィンディ(ja1511)のハープボウを伴奏にジャスティスの応援歌『銀河に響け正義の賛歌』を歌う。
 ボーカリオンと兎月真珠の歌声に導かれるように放送を見た人々が祈りを込め歌を歌いその思いが地球を包む。
 その思いと歌声がJusticeを力づけた。

「みんな立て、結界は消えたし、エリュトロンが来てくれた」
 立ちあがったK=9が声をかける。
「何時の間にか言うようになったな子狼が。まだ若輩に負ける程俺は落ちぶれてはいないぞ」
 K=9の言葉に最初に立ちあがったのはD・ストームだ。
「まだまだ、俺達はやられる訳には行かないんだ」
 デスペラードが立ちあがり吠える。
 次々と立ち上がるJustice、Jokerの戦士達。その姿に、ポーライは額の目から光を放ち、分かれていた頭部と首なしボディを合体させると、怪光線でK=9へと攻撃する。
「K=9殿!」
 割り込んだ影法師が大地の剣で受け止めるが、受け止めきれずに刀身にひびが入り、影法師の身体を光線が焼く。その影法師を飛びついて来たグラナート=ツヴァイが押し倒して光線から逸らす。
「私たちが牽制する今のうちに、体制を立て直せ」
 ロゼリオンがGunOfLightningの新必殺技〈ライトニングブラスター〉を放つ。合わせてEXブレイカ―の〈空牙(エアリアルバイト)〉がポーライを捉える。
「そうか、分かったぞ。額の目がお前の弱点だな!」
 ブルーバーの戦闘記録に当たっていたヴァンゼリオンが叫び。スクィッドリルで必殺の〈ギガドリルブレイク〉を額の目を狙って打ち込む。
「うぉおおおぉぉおっ!」
 ポーライが激しい苦痛の呻き声をあげると共に、全身を覆っていた不可視のバリアの様なものが消滅する。
「今だ!」
 K=9が飛び上がり守護者の槍で、首と胴が離れられないように繋ぎとめる。動きの止まったポーライに。D・ストームの〈ストームインパクト〉、デスペラードの〈ブレイクアウト〉、テスターゼロの〈コード・エビス〉、ネクロエンペラーの〈アクセルスラッシュ〉、カイゼリオンの〈カイザーダイナミック〉、各々の必殺技が炸裂し、ポーライの頭と身体が崩壊を始める。
 最後にエリュトロンの二刀斬りからの〈エリュトロンクラッシュ〉が止めを刺す。
 ポーライの断末魔に呼応するかのように、鳴動を始める遺跡衛星。その様子にガルバが呟く。
「遺跡衛星とポーライは魔力で繋がっていたようだな。崩壊する前に君たちも逃げたまえ」
 そういうとマントを翻し悠然と去る。その後につき従うアーゲント。そして、エリュトロンが脚を止めセントラル式の敬礼をするとJusticeの面々に向かって言った。
「本日を持って、銀河刑事エリュトロンは死んだ。太陽系方面隊の指揮権はスピア・ウィンド警部に移譲される。銀河刑事各位はスピア警部の元に復命せよ。協力者には感謝する」
 それだけ告げるとエリュトロンは背を向けアーゲントの後を追う。その一瞬に、コンバットスーツを纏ったエリュトロンの首筋に二つの牙の跡が残されているのが見えた。
「悩んでいる暇はない、脱出するぞ」
 ロゼリオンが指示を出し、Justiceの面々は戸惑いながらも脱出を開始する。
「陽蔓ちゃん行こう」
 オリヴィエが陽蔓を促し、Jokerも脱出を図る。

「とことん振り回してくれますね」
 アリサがそうつぶやくとセイバーブルーの先導を受け、全自動電動車椅子を走らせてSS円盤へと向かう。
「皆さん、帰りの脚が必要かしら? お安くしておくわ」
 ダヴが衛星の傍に付けたS型円盤で、Jokerの面々を回収する。
 脱出したJusticeの面々はプライウェンで戦場を離脱した。

●その後

 最終的に、ユイの行った放送も先のポーライ宣言同様大作映画の派手で、少々性質の悪い宣伝という事で落ち付いた。
 正義と悪との戦いと言う者は一般の人々にとっては、都市伝説であり絵空事である事こそ望ましい姿なのだ。 だが、その報道を利用して紫微たる紫水晶(ja1332)こと破軍魔夜は大規模な動きに関与できなかった中小のJoker組織に地球規模の災厄が生じた時にELOの旗の元に力を結集するよう呼び掛けを行っていた。
 一般人にとっては絵空事であって欲しいと願う事実だった為、多くの人はそう思い込む事でうやむやにして事実を受け流した。
 しかし、事情を知るJokerの一員にとっては、映像は間違いなく現実であり、大々的な報道とその後の情報管制が敷かれる事自体が、フィクションでなく現実であると確信させる材料となっていた。

 1つの戦いに決着がついた。ブルーバーの戦いから25年、戦士ブルーバーが摩訶混沌界と戦った時からは1万2000年を経た摩訶混沌界との戦いの決着だ。
 2代目大帝王ポーライが倒れ、摩訶混沌界の城遺跡衛星は宇宙のデプリと化した。その際に発生したエネルギーに、摩訶混沌界に繋がった常設ゲートも歪の中に飲み込まれ消失した。。
 アーマーシップ倒壊のどさくさに紛れ、ガニガニと何体かの摩訶混沌獣の死亡は確認されていないが、その数は片手に収まる数だ。勢力としての摩訶混沌界は潰えた。摩訶混沌獣を生み出す大帝王の血脈が消え、新たな摩訶混沌獣の誕生はないだろう。
 その激しい戦いの中、セントラルの英雄エリュトロンが姿を消していた。
 1つの戦いが終わっても、戦いは新たな局面へと展開していく。その鍵はガルバが握る事になるだろう。
 物語は、さらに新たな局面を迎える。

 つづく。

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■プレイング(MVP)

■K=9/漆原祐
ア・A【挑戦】:
薫さんのβシップに便乗して遺跡衛星に向かい、ガレオンで城に突入する。

たとえ何人集まっても、手柄争いをしていたのでは勝ち目はない。
でも、立場や目的は違っても、ポーライを倒そうとする思いは同じ筈だ。
だから、みんなの力と思いを合わせてポーライに挑む。
俺の役目は、あくまでその橋渡しだ。
「馴れ合いを押しつけるつもりはない。これは奴を倒すためのベストの選択だよ」
みんなの強さは知っている。だから、決して出しゃばらずに、譲るべきところは譲り、足りないところを補う形で、みんなの力に自分の力を重ねてポーライにぶつける。
心を強く持ち、己に克ち、そしてポーライに勝つ。

ポーライにはまだ何か特殊能力があるかも知れない。
奴がおかしな動きを見せたら、みんなに警戒して素早い対応が取れるようにする。

奴が逃げようとしたら、守護者の槍を突き立てて逃げられないようにし、みんなの必殺技を叩き込んで確実に倒す。


■ヴァンゼリオン/涼村シンジ
ア・A【挑戦】:
薫さんのβシップに便乗して遺跡衛星に向かい、ガレオンで城に突入する。

たとえ何人集まっても、手柄争いをしていたのでは勝ち目はない。
でも、立場や目的は違っても、ポーライを倒そうとする思いは同じ筈だ。
だから、みんなの力と思いを合わせてポーライに挑む。
俺の役目は、あくまでその橋渡しだ。
「馴れ合いを押しつけるつもりはない。これは奴を倒すためのベストの選択だよ」
みんなの強さは知っている。だから、決して出しゃばらずに、譲るべきところは譲り、足りないところを補う形で、みんなの力に自分の力を重ねてポーライにぶつける。
心を強く持ち、己に克ち、そしてポーライに勝つ。

ポーライにはまだ何か特殊能力があるかも知れない。
奴がおかしな動きを見せたら、みんなに警戒して素早い対応が取れるようにする。

奴が逃げようとしたら、守護者の槍を突き立てて逃げられないようにし、みんなの必殺技を叩き込んで確実に倒す。


■幻影戦忍・影法師/房陰・嘉和
●行動:ア・A・ガルバの誘いを受ける

●対ポーライ
まず己を律せよ。
何に置いても己を見失わず、ただ己を律せよ。
相手は混沌の帝王。天上界の贈り物たる思い出に頼りては、精神トラップに飲み込まれるであろう。
なればこそ己を律し、己に打ち克つたん。

誰かが飲み込まれれば、無駄を承知で声上げよ。
己を思い出せと、己を失うなと声を上げ続けよ。
諦めず声を上げよ。

ポーライに打ち掛かる者のみでは、我らの陣形崩されるは必至。
故にポーライを阻む壁となる者が必要。拙者は限らた変身時間の全てで、方々の壁となると致そう。

ヒロ殿より賜りし「大地の剣」よ。
朽ちた遺跡で出会いし、「謙譲の盾」よ。
数奇な縁で出会いし我ら、その力の全てで持って方々の防壁とならん。
捨て身でもって、我らが背の方々を守らん。
死に急ぐ捨て身にあらず。
己を含め、全ての者が生還致すための捨て身にあらば。

リナと交わした約定、果たす為にも生還致す。
その為の捨て身なれば。


■兎月真珠/武曲罠兎
♪行動
イA:バスターバニ−さんとプライウェンを操縦し、遺跡衛星のバリアをブレイクするわ。

今回の作戦は私とバスターバニーさんでプライウェンを操縦、遺跡衛星のバリアをバトルフォーメーションで破壊すると言う任務ね。
バスターバニーさんの手が足りないところには私が手を貸し、逆に私の手が回らないところにはバスターバニーさんに協力してもらって、相互作用でプライウェンを動かしていくわ。最優先はバリアの破壊、混沌獣は二の次にさせてもらうわよ。

カ:士気向上の歌を皆に

バリア破壊後は、プライウェンの通信施設を借りて、遺跡衛星や地上のWCの皆に歌で励ますわ。
ハープボウの伴奏と共に歌うのは『銀河に響け正義の賛歌』よ。ハープボウのアイテム効果で混沌の歌の中和もやってみるけど、それは大して期待してはいないわ。
本命は、私の歌で皆を励まし、勇気付けて混沌界の衝動に負けない様にしてあげるんだから。


■ゲパルト/猫目斑尾
【エA】
【挑戦】
んー 正直あんまりやる気出なかったし
炬燵でぬくぬくとしたいとこだったんだが…

よーく考えたら、このアーマーシップは俺達がジャッカルさんから貰ったもんなんだよな
それに勝手に根を生やしてなんだか騒々しいことやってるなんて
放っておくわけにもいかないか
別にジャッカルさんとの思い出とかそんな乙女みたいなこと言うわけじゃないけどな
うぅ慣れないことしたらチーター肌が

人造人間じゃないと危ないらしいがまーなんとか騙し騙しやるしかないだろ
抗理力ジュエルに戦闘褌[侍]…と、気休め程度だけどな

中枢に行ってどうなるかもよくわからんが
行ってみりゃわかるだろ
さーてひとっ走りすっか
武器も必殺技も出し惜しみは無しだ
変身はキングチーターで加速して行う

加速できるような場所があれば、音速まで加速してからの必殺の蹴り
伍の爪 【颶風】が使えるかもな

これから先どうなるかなんてわかんねー
なるようになるだろ 多分


■白面のオリヴィエ/織部・真白
【オB:挑戦】
陽蔓ちゃんを護る。それと、陽蔓ちゃんに戦う覚悟を。
矛盾するかもしれない、でも動く時、だよ

ポッポさんに陽蔓ちゃん用の装備一式を整えて貰うね

…多分この戦いには陽月ちゃんも参加してる
力になりに、行く? それとも、見守る?

あと、ジャッカルさんも混沌界も、力を貸して利用してたのはガルバだったって事も伝えるよ
まだどう戦えばいいか判らないけど、今はガルバを逆に利用しようと思う
知らなかった事も多いし、ね

【アA:安全】
セントラルの陽月ちゃんとは違う形だけど、戦いの場へ

ガルバの招待を受けて遺跡衛星へ
同行するジャスティスとガルバ一味は最大限に利用
ちゃんとエスコートして貰わないとね?
陽蔓ちゃんが一緒なら彼女の護衛を優先
ガルバ達の戦う様子を見ながら、向かってくる敵を迎撃
星獣は突破用に放ち、鞭剣で敵を薙ぐ

ガルバの言動やポーライとのやり取りは確りこの目と耳で記憶
恐ろしいものを見るかもしれない。それでも。


■ダークゼリオン/片羽一真
【オB:挑戦】
陽蔓ちゃんを護る。それと、陽蔓ちゃんに戦う覚悟を。
矛盾するかもしれない、でも動く時、だよ

ポッポさんに陽蔓ちゃん用の装備一式を整えて貰うね

…多分この戦いには陽月ちゃんも参加してる
力になりに、行く? それとも、見守る?

あと、ジャッカルさんも混沌界も、力を貸して利用してたのはガルバだったって事も伝えるよ
まだどう戦えばいいか判らないけど、今はガルバを逆に利用しようと思う
知らなかった事も多いし、ね

【アA:安全】
セントラルの陽月ちゃんとは違う形だけど、戦いの場へ

ガルバの招待を受けて遺跡衛星へ
同行するジャスティスとガルバ一味は最大限に利用
ちゃんとエスコートして貰わないとね?
陽蔓ちゃんが一緒なら彼女の護衛を優先
ガルバ達の戦う様子を見ながら、向かってくる敵を迎撃
星獣は突破用に放ち、鞭剣で敵を薙ぐ

ガルバの言動やポーライとのやり取りは確りこの目と耳で記憶
恐ろしいものを見るかもしれない。それでも。


■紫微たる紫水晶/破軍魔夜
☆行動
【カ、その他】ELOの勢力拡大

☆目的
正直、前回のセントラル、今回の摩訶混沌獣と外敵との戦いが続いてます。普段なら、地球Joker同士内部争いでも構わないのですが、外敵に対してだけでもある程度は一枚岩にしたい。
今後、ELOにその核(主導組織)となって貰う為に勢力拡大してもらおうと言うのが今回の腹積もりなのです。

☆行動
基本的にはポーライ撃破後の遺跡衛星の所有権をELOの物とする為の根回し、後は、ELOを各Joker組織への支援組織としての拡充です。余裕があるなら、アーマーシップの残骸の確保の根回し(こちらは地元Joker組織に技術情報を餌にしてアーマーシップを確保を手伝わせる等)も行いたいです。
私の考える「悪の秩序の樹立」はこの様な(普段は個々で動き弱き組織はつぶれ、強き組織が残る形だが巨敵には形なりとも一枚岩となり戦う)形でしか思いつきませんでしたので、その手法で行こうと思っています。


■マッドスクウェア/J・J
☆行動
【カ、その他】ELOの勢力拡大

☆目的
正直、前回のセントラル、今回の摩訶混沌獣と外敵との戦いが続いてます。普段なら、地球Joker同士内部争いでも構わないのですが、外敵に対してだけでもある程度は一枚岩にしたい。
今後、ELOにその核(主導組織)となって貰う為に勢力拡大してもらおうと言うのが今回の腹積もりなのです。

☆行動
基本的にはポーライ撃破後の遺跡衛星の所有権をELOの物とする為の根回し、後は、ELOを各Joker組織への支援組織としての拡充です。余裕があるなら、アーマーシップの残骸の確保の根回し(こちらは地元Joker組織に技術情報を餌にしてアーマーシップを確保を手伝わせる等)も行いたいです。
私の考える「悪の秩序の樹立」はこの様な(普段は個々で動き弱き組織はつぶれ、強き組織が残る形だが巨敵には形なりとも一枚岩となり戦う)形でしか思いつきませんでしたので、その手法で行こうと思っています。



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