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■「GALVA INVASION」第3ターン 全体イベントシナリオ 後半パート リプレイ

●WWCの野望

 ja1439 マッドスクウェア/J・J(悪・♂・56・エキスパート)  ある1人の男が立ち上がった。
 ある者はその威厳にひれ伏し、ある者は出し抜こうと画策し、良くも悪くも独立独歩であったJoker達の精神的な支柱として道を示していたジャッカル。それを失ったJoker達を導く素振りも見せず、独自の目的で大きな騒ぎを起こすガルバと摩訶混沌界の動きに翻弄されたJokerに自ら導(しるべ)を立てる為に。
 男の名は、J・Jことジャン・ジャックロード、またの名をマッドスクエア(ja1439)といった。

「後の世に必要ならば、
 たとえ世界に傷跡が残ろうとも、
 たとえ私の存在が消えようとも、
 たとえ全ての世界に対する悪となろうとも、
 私は、常々この願いが果たされるべきであると確信している。」
 J・Jは、マッドスクエアは、自らの思想に賛同し集まった同志達に、その意志を熱く語る。それは、彼の組織WWC(ワイルドワイドクライシス)の同志に向けた言葉であると同時に、ジャッカルの手下として働かされる事に慣れ、他人の正義の尻馬に乗って戦い自己正当化に突き進み真に進むべき道を見失ったJoker達への警鐘でもあった。
「我々は悪なのだ。それ故のWWCである。
 多大なる犠牲があろうとも、後の世は我々の行動こそ正しいと証明するだろう。
 絶やしてはならんのだ、光を」
 Jokerとは、Justiceによって貼られたレッテル等ではない、正義の名のもとにJokerを討つJustice等が無くとも、ジャッカルの様な巨大な悪のカリスマが無くとも、各々がJokerと呼ばれる道を、世間から悪とされる己の我を貫く道を選んだ時から、比較する者等必要とせず、既にJokerである。
 Jokerとは何か、それは、自らの選んだ道を、一般の倫理観や法、当たり前の情愛等に縛られず、ひたすらに貫く者であると語っていた。
 その為にWWCが掲げた目的は、奇祭を利用して、エジプトのアーマーシップを復活させる事に他ならない。太古の文明が生み出した超テクノロジーの塊にして、現在の銀河最高水準の技術力の上をいくジャッカルウォーの争点となった超兵器。
 小手・銃・剣・兜・盾・褌・鎧・戦車と8つあったレガシーシップ(遺跡船)も最強最大のレガシーシップであったセントラル本星の暴走を止める戦いで多くが失われ、残ったのは傷ついた盾と中枢を失った剣の一部パーツ、そして蔦によって封じられた鎧のみ。盾は、地球のセントラルの拠点として傷を癒す為に眠りについており、剣は生き残ったキマイランズの民を故郷に送る為、星の彼方へと消えた。
 この残された鎧船こそ、ガルバや摩訶混沌界というJoker独立勢力を抑え、いずれ回復するセントラルの戦力に対抗する切り札であると同時に、ジャッカルの死と共に供給が断たれた更なる超テクノロジーの鉱脈でもある。

 レガシーシップの力は大きい、それゆえにそれを復活させる願いは、儀式の反動も大きく大規模な災害が生じる事が予測される。その犠牲を乗り越えてなお独自の悪の御旗を掲げ続ける為、WWCはその道を目指す。

 その思想の元に、集う悪の戦士達。ゲパルトこと猫目斑尾(ja0397)、ごんぶとこと天風・ラウ・怒(ja0744)、ヘイゼル(ja1735)、エウメニデスことマリル・イェーガー(ja1724)といった強者達を始め、スティンガードラゴネスことプリンセス・G(ja1952)、霧生天/霧里まがや(ja1903)、show・youこと綿糸・翼人(ja2031)、ファントム・of・Gことギュンター・ニコラシカ2世(ja1810)といった新進気鋭の面々。
 更に、今回の作戦の為に、新たにフロッグマン(ja2088)、グレートライノス(ja2089)、ブラッドスワン(ja2105)、ウェイブマン(ja2108)といった新たに生み出された人造人間も投入し、Joker内の一大勢力として勇者の証、スターパールの争奪戦に参戦した。

●星真珠争奪戦1〜譲ってください

 儀式が本物であると知るワイルドカード達は、真剣に勇者の証集めに繰り出していた。
 WWCの面々は自らの野望を成し遂げる為に、それ以外のJokerにもWWCに美味しい思いをさせるものかと独自に動く者も居る。
 更に、大神官であるガルバの命を受け、摩訶混沌獣カマカマ率いる摩訶混沌獣軍団が、ワイルドカード狩りに繰り出している。
 そうなれば当然、Justiceも動かざるを得ない。危険な目的の為にタンガロアの奇跡を使う者を止める為、Jokerに襲われる一般人を守る為、摩訶混沌獣の被害から人々を救うため。
 Justice、WWC、非WWC系Joker、摩訶混沌獣、更にその背後で暗躍する謎の美女、三つ巴どころではない混戦模様の騒動が、儀式を目前にしたタヒチの島々で繰り広げられる。

 平和を祈る明るい歌声が空港近くの広場に響き渡る。
 声の主は、武曲罠兎(ja1374)現役のアイドルにして、Justiceのワイルドカード兎月真珠でもある。しっかりした歌唱技術に裏打ちされた罠兎が、祈りを込めて歌う歌は人々の心に響き、多くの人がその足を止め聴き入っている。昨年の儀式の際に起きた津波に直面した人の心を慰め、日々の暮らしの中の闘争に疲れた人を癒す優しい歌声にすっかり引きこまれる人々。
 足を止めた人に罠兎は語りかける。
「創造神タンガロアのお祭りで、勇者の証を集めると願いが叶うといわれているのはご存知ですか? 願いを叶えるとその反動が表れるととも言われています。たとえ、願いが叶うと言うのが御伽話だとしても、私利私欲の為に願いを掛け様としている人に渡したくありません。もし、勇者の証をお持ちの方が居たら、平和の願いを叶える為、譲って頂けませんか?」
 歌の合間に、自らの意図を伝えると再び平和の祈りを込めた歌を歌う。直接耳にした人が勇者の証を持つ祭の優勝者であるなんて都合のよい話はそうそう転がっていない。
 しかし、あきらめずに繰り返される罠兎のライブの噂が広まると共に、現地のマスコミの取材も訪れ、平和を願う歌姫の噂は全島に広がり、直接訪れた勇者から、ライブに感銘し勇者の知人を説得した者から1つまた1つと勇者の証が届き始めた。
 勇者の証を集める者がいるという噂は、一般人だけの間で広がる筈はない。当然それに目をつけ、狙ってくる者達も居る。

 一方、人造人間グラナート=ツヴァイこと、カタリーナ=クリューガー(ja2032)は地道に歩きまわり、勇者の証を持つ人を1人1人探して、お願いして譲ってもらおうと考えていた。
「奇祭で‥‥優勝した‥‥勇者の証‥‥お持ちの方‥‥ご存知ないです‥‥か?」
 必死に聞いて回って、何とか1人に遭遇する事ができたが、その男は目の前でゴージャスな美女に変装した黒井・華麗(ja1430)の元へ渡した所だった。
 CTこと松戸大雅(ja1828)は、勇者の証を持つ者を見つけると、勝負を挑んだ。
「うちと勝負や、うちが勝ったら勇者の証を渡して貰うで、その代わりうちが負けたら、あんたの言うことなんでも聞いたるわ」
 そうやって勝負を持ちかけてくるのが、髪をポニーテールに結ったグラマラスな美少女とあっては、勇敢さや腕っ節に自身のある若い男である勇者の証の持ち主が断れる筈がない。まだ、結婚相手が決まっていない男は、俺と結婚しろというつもりで勝負を受ける。
 だが、悲しいかな一般人と卓越した技量を発揮する閃きの技を持つエキスパート、普段の素人っぽい動きに乗せられて選んだ1on1のバスケ対決に大敗し、勇者の証と共に男としての矜持を失ったのだった。
 また、ドクトル・スマラクトことアンネ=ローレンシュタイン(ja1345)は、自身の発明した衣装を駆使して、パフォーマンスを披露するが、成果は思わしくない。閃きの力で一瞬目を引き付ける事はできても所詮は歌1曲分程の僅かな時間。終わると共に人は去り、閃きを使う瞬間まで人を留める事もできない。足を止めさせる程の芸が備わっていれば、閃きが功を奏したかもしれないが地力の伴わない閃きは使いどころ、使う状況作りが容易ではない。

「勇者の証買取ります」
 そう触れまわって、買取会を仕掛けた者が二組居た。一方はマザーアリサことアリサ・エスクード・須藤(ja0567)、もう一方は裏平家忍者平・金盛こと銭型・平十郎(ja2102)だ。
 メディアに金を払って大々的に募集をかけた平十郎と、戦闘員を駆使して祭の情報を可能な限り集め優勝者に対してピンポイントで誘いをかけたアリサ。
 平十郎の元には、金目当ての偽勇者が山ほど訪れこれが勇者の証だと次々に売りつけに来る。ほとんどは適当な真珠だったり明らかなペイントの星で直ぐに偽物と分かるが、中には勇者の証ではないが本当に星の入った土産物の真珠を持ってくるものも居て、神秘的な力の有無等、長老ならぬ平十郎や戦闘員には区別が付かない。何より次から次へとやってくる為にまったく手が回らない。
「一つだけでは宝石としての価値しかありません、記念品でもあるでしょう。とは言え、持っていると誰かに狙われる、それほどのリスクを背負う必要があるでしょうか?」
 集めた人に対してアリサは巧みな話術を用い、昨年の鳩魔人襲撃事件等の話をしながら、危険を冒してまで勇者の証を守るよりは、相応の金額で買い取ってもらった方が得じゃないかと信じ込ませる。巧みな話術で乗せた気持ちが鎮まる前に、スターパールの市価より少し安い価格で買い取りを済ませるが、欲の皮の突っ張った者が平十郎側に流れた事もあって予定した程の効果は得られなかった。

 また、アビスロータスこと深井・蓮華(ja1832)は、Justiceが証を集める行為を邪魔しようと情報工作を試みていたが、Justice側の動きが思惑と大きくずれていた事で、策略の効果は上がらず。若干、Jokerが行う買収工作の足を引っ張る結果となった。

●星真珠争奪戦2〜奪っちゃうぞ

 勇者の証を集めようとする者は何も平和裏に事を済ませようとする者ばかりではない。平和裏に譲渡を受ける為にはどうしても1つ1つに対して時間がかかりすぎる。
 最初の1つ、その1つに勝つ2つ目は絶対に集めなければならないが、既に一定の数を集めており、それを上回るライバルが出ないようにしたいと願う者が取る選択は異なる。
 すなわち、ライバルに回る勇者の証を減らすこと、自分が手に入れれば良し、たとえそれが叶わずとも他人が手に入れる前に強奪し失効させる事ができれば十分という考えだ。
 流石に、Justiceでその可能性を脳裏に浮かべる者はいても、実行しようという者はいない。だが、Jokerとなれば話は違う。事実ガルバもその為の指示を摩訶混沌獣に下している。

「貴様、勇者の証を売らなかったな。値を釣り上げようとしているんだろう」
 平十郎の買取広告に釣られてでてきたものの、行列の長さに辟易して立ち去ろうとした男に背後から声をかける畝傍の狐こと葛葉影清(ja1876)。
「振り向くな。声を上げれば命はないと思え。大人しく勇者の証を差し出せば、命だけは助けてやる」
 特徴を隠すように声を押し殺して耳元に囁きかける。その殺気に、気押された一般人は人気のない路地に進み、そこで懐から勇者の証を取り出し直後、畝傍の狐の当て身を受けて意識を失った。
 後日、強奪された証が、その男の事を怨んでいる知人の家で見つかった事から、怨恨と妬みから来る犯行として処理される事になった。
 平美童こと黒沢風牙(ja1980)も同様の手口で、平十郎が集めた勇者を狙っていた。

「勇者の名はお前には相応しく無い。証を渡せ」
 ジャーナリストの振りをして調べ上げた相手に対して、変身して脅しに来たのはその足の速さで知られるチーターの改造人間ゲパルトだ。
「お前にチャンスをやろう、俺から逃げ切ればお前は勇者に相応しいと認めてやる、逃げ切れなければ素直に勇者の証を渡して貰おう。ハンデに30秒やるやるさあ行け」
 そう言って、健脚自慢の勇者の背中を押して走らせると、準備運動のつもりか反復横とびしながら時間を数え始めた。男は兎に角逃げ切れれば、命の危険はないだろうと必死に走り200m程先まで逃げたが、追いかけるゲパルトの本物のチーターにも勝る猛スピードの前に20秒と持たずに追いつかれて背中にタッチされた。
「どっちが勇者に相応しいから分かっただろう、大人しく勇者の証を渡して貰おうか」

 霞沢絵梨(ja1309)は、Jokerや摩訶混沌獣による襲撃が起こらないかパトロールをしながら、ガルバがその吸血鬼という特性を使って人を眷属にし操るのではないかという危惧を抱いていた。そんな危惧を吹き飛ばす事件が起きる。
「一般人どもよ、その宝石は貴様等でもガルバでもなく、私にこそ相応しいものだ。大人しく手渡すが良い」
 黒い蓮の描かれた親衛隊服に身を包み、手にした傲慢の鞭を振るいヘイゼルが勇者の証を持つ一般人に対して脅しをかける。
 Joker暴れる所Justiceあり、騒ぎを聞きつけたクライズ・ルーレル(ja0954)が絵梨が駆け付ける。
「人さまに迷惑をかけるのはそこまでだ」
 ブラッディカードがヘイゼルの鼻さきをかすめて飛び、それを避けた隙に狙われていた勇者は難を逃れる。
 ヘイゼルとクライズが激しく戦っている隙に、勇者に忍び寄るのは紅の亡霊ことエミネ・プルーフ(ja1573)だ。一般人の振りをしながら近付いて、囁きかける。
「その勇者の証が狙われてるわ、危ないから手放した方がいいわよ」
 窮地と思わぬ美女の誘いに乗せられ、勇者はあっけなく証を手放し、それによってこの場の戦いは痛み分けで収束を迎える。

 一方、別の場所では、フロッグマンやグレートライノスが暴れまわり、勇者の証を持つ者を追い詰めていた。
 襲撃者が摩訶混沌獣ではないかと目星をつけて捜索をしていた涼村レイ(ja1668)と草加ムサシ(ja1906)が騒ぎを知って駆け付ける。
「摩訶混沌獣じゃなくてジョーカーの様ね」
「そ、そうだね。じゃ、手はず通りにやるよ」
 示し合わせるとレイは酒を一口あおりながら身を隠し、ムサシは逃げ出した勇者に話しかける。
「それを貸して。僕を追いかけている間に逃げて下さい」
 狙われてる原因がスターパールにある事は一目瞭然の状況、勇者はムサシに押し付けるようにスターパールを渡して宣言した。
「勇者の証なんてあんたにやる、俺はもう持ってないから襲わないでくれ!!」
 それを聞いて、追いかけていたフロッグマンとグレートライノスも標的をムサシに定める。追い掛けてくる二体の人造人間の攻撃を転げてかわし、勇者が逃げたのを確認すると。「超閃光!」の掛け声と共に黒地に白と黄色をあしらったカイゼリオンのコンバットスーツに身を包む。
 起き上がりざまに人造人間達をなめつけるように観ると。
「さーて、それじゃあ‥‥逃げる!!」
 サイドワインドに跨り走りだした。後を追う二人の人造人間に、撃ち込まれたのはレイが変身したテスターゼロのウトゥクブラスターによる攻撃だった。
 劣勢を感じ取った二体はテスターゼロとカイゼリオンの追撃を振り払い何とか逃げ出したが、その騒動でJusticeに目をつけてそこから奪おうと機会をうかがっていたクロームカウントこと黒田嶺司(ja0698)に目をつけられた。
「ご苦労。そいつは私が頂こう」
 二人の人造人間と同時に仕掛けるのをよしとしなかった嶺司は、二人が敗走したのを見届けてから仕掛けたのだ。
 新手の登場に虚をつかれたテスターゼロは、クロームカウントのブレイブカイザーで深手を負う。
「よくもレイさんを」
 サイドワインドとクロームレイダーそれぞれの愛車に乗った二人の戦士が激しくブレイブカイザーを打ち合わせる。剣の腕では勝るクロームカウントを、バイクの操縦技術で勝るカイゼリオンが巧みにコントロールして互角に渡り合っていた。
 頭に付いた獣の耳の様な怪電波発生装置を作動させ、カイゼリオンの集中力を削ぐ。操縦が乱れた隙を突き、CSの隙間を狙ったブレードラッシュを仕掛ける。そのままカイゼリオンの命まで削りきるかに見えた斬撃は、テスターゼロの決死のコード・エビスによって阻止された。
「命は預ける、だがこれは頂いていくぞ。また会おうJusticeの戦士よ!」
 クロームカウントは手榴弾の生み出した閃光と言葉を残しその場を去った。

●星真珠争奪戦3〜大激戦、襲来摩訶混沌獣

 最大の激戦区になったのは、罠兎が証集めのコンサートを行っていた場所。最後の日には、噂を聞きつけた勇者の証を叶える願いも無く持っていた者が集まっており、それを狙う者も集結していた。
「ここで暴れればさぞや多くの証を無にできるでしょう」
 WWCが襲撃をかけようと狙っている。同じ標的に目を付けた戸隠・須弥彦(ja1823)やどさくさにまぎれて漁夫の利をえようとしたヴァリアブル・ディザスターこと南大社・ハミュン(ja1907)もその場にやってきた。
 ピリピリと緊張した空気に、罠兎の護衛として付いていた野々宮彩輝(ja1511)も緊張の色が隠せない。
「なんだか嫌な空気が漂ってますね」
 彩輝の釣れているシフールも嫌な気配を感じてるのか不安げな表情を見せている。

 最初に火蓋を切ったのは、WWC所属のJoker達だ。
 人が集まって来たのを見計らい、ステージに罠兎が上がる前に恐ろしい怪人の姿を見せる。
「さあ、勇者の証を渡して貰おうか」
「証を渡さないと死あるのみ」
 鬼のごとき姿の霧生天と、恐ろしきドラゴン姿のスティンガードラゴネスが威嚇する。更に、ヘイゼルが呼び出した水の龍も加わり、会場は一転パニックに陥る。
「みんな、落ち着いて」
 慌ててステージに上ってパニックを収集する為に大きな声で呼びかける罠兎。彩輝はルミナスウィンディに変身して飛び出して行くが多勢に無勢だ。水の龍に上を抑えられ、霧生天、スティンガードラゴネスが激しく責め立てる。射撃戦を得意とするルミナスウィンディにとって、前衛で戦う仲間抜きの1対多は荷が勝つ所だ。
 騒ぎが大きくなった所で、須弥彦はゆっくりと長い変身ポーズを決めるとG=ヒドラへと変身し、WWCのJokerへと攻撃を仕掛けた。
「競合他社は潰さないとな。Justiceの姉ちゃんもしっかりやりな」
 ルミナスに協力している訳ではない、戦力の大きいWWCを出し抜く為に、Justiceが健在なうちに倒そうという狙いでしかない。
 その騒動のさなか、ハミュンはちょこちょこと走りまわりながら、持っていそうだと目星を付けた相手に声をかけていた。
「勇者の証を持つ人を狙ってくるのですよ〜。持っていると命に関わるので誰かに渡すなり捨てるなりしたほうがいいのです〜。我輩は命を懸けて叶えたい願いがあるのです。良かったら、我輩に頂けませんでしょうか〜?」
 警戒心を抱かせない少女の願いと、ワイルドカードがぶつかり合う混乱のさなか、命の惜しい男はあっさりと自分の持っていた証をハミュンに渡した。しかし、上手く行ったのはその1つ限り、数百人が集まった中に数名混ざっている勇者の証を持つ者から都合よく受け渡されるとは中々行かないものだ。
「面白そうな事をしてるじゃないか、ちょっと俺も混ぜてくれや」
 そう言って入って来たのは、波佐見稔雅(ja0174)だった。ヴァルテ・シザーへと変身すると鉄鋼を打ち出し、霧生天を怯ませる。
 シザーに反撃する為にショルダーバズーガを放つ霧生天。射線上に逃げ遅れた一般人の姿があったが、ルミナスウィンディが必死に助けに行こうとするが間に合わない。
 噴き上がる爆煙が晴れた時、爆煙を退ける見えない壁の内側にお助けヒーロー・志雄座衛門(ja0411)が巻き込まれた女性を抱き上げちゃっかり胸とお尻の感触を楽しんでいる所だった。
「私が来たから大丈夫」
 そう嘯く志雄座衛門に目がけ、ヘイゼルは水の龍を放つ。超能力の通じない水の龍はバリアをものともせずに中の者を攻撃する事ができる。身をひるがえした志雄座衛門は背中で龍の攻撃を受けながら女性を下ろして微笑んで見せる。
「大丈夫だと言っただろう、私に任せて行きなさい」
 背中の分厚い脂肪層を切り裂かれて血を流しているが、女性の前ではつらそうな顔を見せない。
 クライズも駆けつけ、Justice・Joker共に戦力が集まってくる。

 そんな騒ぎに誘われ、摩訶混沌獣達が現れた。
「お前達の持っている勇者の証を全て寄こすのだよ〜」
 そう宣言したのは、摩訶混沌獣カマカマ、トーテムポールの様な細長い体から鎖鎌のようになった両手を下げ、内股で立ったその姿はどことなくオカマっぽい。
「お前達人間が願いをかなえるなんておこがましいのだよ、皆の衆やってしまえなのだよ〜」
 奇妙な姿の摩訶混沌獣達は、WCが勇者の証を手に入れて儀式の島に臨む事だけを警戒していた。並みの人間であればガルバの目を観ればどれほど強い意志を持っていても老若男女問わず魅了され、自らガルバの為に証を捧げようとするのは自明の理であったから。だが、強い理性や我を持つワイルドカードは例外で、ガルバの魅了に抵抗できる可能性が高い。
 それゆえに、一般人の手からワイルドカードの手に勇者の証がわたる事こそ最大の問題なのだ。
 カマカマ率いる6体の摩訶混沌獣はJusticeもJokerも区別なく襲ってくる、一般人の事は眼中にない。
「逃げて! あなたが預かっているのは、みんなの夢だから‥‥!」
 ルミナスウィンディは変身していないがゆえに目をつけられてない罠兎を逃がそうと身体を張って立ちふさがる。
「‥‥分かった、絶対誰にも渡さないから」
 一瞬迷った罠兎だが、罠兎が受け取った勇者の証を一度でも奪われれば奪還しても効果はなくなる。平和の為に使ってくれと託された証を、Jokerにも摩訶混沌獣にも渡すわけにはいかない。
 ゲッソリとやつれた姿の摩訶混沌獣の目から出た怪光線を、ルミナスはかわす、その背後で避け損ねたシザーは猛烈な空腹感にさいなまれ、目に付いた忘れ物の菓子に飛び付いた。
 カマカマの両手の鎌がヘイゼルを襲う、それを防いだのはエミネの呼びだした地の亀だ。摩訶混沌獣とワイルドカードの一進一退の攻防は続く。既に一般人から入手するどころではなく、今確保できた証と我が身を守る事で精いっぱいの状態だ。
 摩訶混沌獣の襲撃を受けたという知らせを受け、WWCの増援のブラッドスワンとウェイブマンが駆け付ける。更に、摩訶混沌獣を狙う為に捜索していたシュリ(ja1100)、D・ストーム(ja0442)、幻影戦忍・影法師(ja1023)、アクアッパー真沙瑚(ja1691)も駆けつける。
 摩訶混沌獣の変則的な攻撃には苦労させられたものの、歴戦のつわもの達の参戦により数の優位を得たワイルドカード達は、一時立場を超えて摩訶混沌獣撃破に集中し、これを退けた。
 配下を倒されたカマカマは傷ついた身体を引きづりながら逃げていく。十分止めをさせる状況でありながら、止めを刺さずに逃がすのは、ガルバの手掛かりを得ようとする狙いだ。現場に駆け付けた黒き雌鳥ことディアナ・ターリオン(ja1408)が血気にはやるものをテレパシーで説得し、追撃をさせないようにさせている。
 気配を消した影法師が後を追い、離れた所からシュリ、D・ストーム、黒き雌鳥が様子をうかがっている。
「何処へ行くつもりです?」
 彼らの見守る中、上空に浮かぶ美女からカマカマへと下された氷の様な言葉が振り下ろされた。
「大神官の所に戻って態勢を立て直すのだよ〜、部下が全部やられたのだよ」
 あっさりと答えるカマカマを蔑むように一瞥すると。
「ぞろぞろと尾行者を連れてガルバ様の元へ向かう等許されると思ってるのですか?」
 そう言って、振り下ろされた美女の手から放たれた光の槍がカマカマを貫き、カマカマは断末魔の叫びをあげて崖から落ちて行った。
「我が主に用がある様子ですね、ガルバ様に代わりご挨拶申し上げましょう。私はガルバ三鬼衆の1人アスール、ガルバ様がお招きになる時にはご案内いたしましょう。ですが、本日は主は多忙ですので失礼させていただきます」
 そう言って優雅に一礼するアスールと名乗った美女に対してブラスターライフルを放った。
「ガルバの配下ならばシュリの敵でございます」
 しかし、その熱線はアスールの身体の手前で見えない壁に遮られて散った。そして次弾を撃つよりも早くアスールはその姿を消した。
「アスールでござるか?」
 影法師が呟く。
「ガルバ三鬼衆?」
 D・ストームも初めて聞く名に怪訝な表情を浮かべる。
「ガルバと摩訶混沌獣は一枚岩ではないという事ですか‥‥」
 状況は混迷を極めていた。

●カニを追う者

 スターパールと摩訶混沌獣軍団を巡る騒動を繰り広げていたその頃。
 地球地区最強を称する黄金の銀河刑事ヴァンゼリオンこと涼村シンジ(ja0931)とその上司であるロゼリオンの黒岩薫(ja1019)と友人である炎術師見習い煉獄の嵐こと嵐・三十朗(ja1807)の三人は、奇祭の開催期間中タヒチで度々目撃された不審なカニ漁師を名乗る異形の者を探していた。

「お袋の話ではこれで大丈夫な筈だ」
 カニ漁師と名乗る怪しい男が落としていたポケベルは、涼村ユイ(ja1082)の手で発信機を仕掛けた上で当人に返却されていた。また当然、メッセージを送る為のシリアルも調べられておりそこへメッセージを発信する事も可能だ。
 加えてユイの発明による[タキジン粒子感知器]なる博士の発明らしい怪しい理論に基づきポケベルを持ったカニ男だけを検知するという怪しい探知機も持たされている。
「送ったメッセージは?」
 薫がシンジに尋ねる?
「これです」
《ブルーバーヘノフクシュウノチャンス、カイガンマデコイ》
 そう言って送信機のメッセージを見せる。余りに露骨な罠を匂わせる文章に頭を抱える薫だったが、嵐は絶賛する。
「流石やシンジはん、これやったらブルーバーを怨んどる奴は絶対やってくるわ」
 そう言ってシンジの手を取り称賛の気持ちを示そうとする嵐の手を振りほどいていると、探知機がアラーム音を鳴らす。
『タキジン粒子反応あり』
 妙に二枚目風の音声がこの世にたった一つしかない反応が接近してきている事を告げる。
「お袋の発明がちゃんと役に立ったな」

 そう言って三人が見据える先に、一応衣服こそ身につけている物の赤みがかった甲殻に全身を覆われて二足歩行するどう見てもまっとうな人類ではない男が姿を現す。
「この辺にブルーバーって人は居ないガニか?」
 誘い出す相手の思考レベル的に、シンジの策はぴったりだったようだ。
「ブルーバー司令は‥‥」
 そう言って薫は天を指す。
「俺達がその後継者だ、復讐したいなら相手をしてやろう」
 シンジの言葉に嵐も頷いている。
「だが、その前に聞く。一年前から行動を開始していたようだが、何故、今になって我々の前に姿を現す?」
 薫の問いかけに、隠すことなく答える。
「去年海から観たガニ、勇者の証を集めて願いを叶える所を。だからガニも願いを叶えて貰うガニ」
 全く事件の真相から程遠そうな、カニ男の言葉にスカを掴まされたかと頭に手を当てる薫。しかし、シンジはめげずに問う。
「ブルーバー司令についてと最近の情勢について教えてやる、その代わりお前も沢木司令に敗れてから今までの
事は泡と一緒に吐き出してしまえ」
 そういうと、シンジは一般に公開されているブルーバーと摩訶混沌界の戦いについて掻い摘んで説明し、その後ブルーバーが木星事変で戦死し、ブルーバーを死なせたジャッカルも倒された事を語った。
「そんな筈ないガニ、ブルーバーなんて青二才に大帝王さまが倒されるなんてありえないガニ。しかも、大帝王さまを倒したブルーバーが余所者にやられるなんてもっとあり得ないガニ。お前は嘘言ってガニを騙そうとしているガニ!」
 必死に否定するカニ男の悲痛な叫び。
「お前達が銀河刑事だと言うなら、その首を手土産にして仲間の元に帰るガニ。覚悟するガニ!」
 そういうとカニ男はいや摩訶混沌獣ガニガニは申し訳程度に着ていた服を脱ぎ捨てたくましい甲殻ボディを陽の光の元に晒した。
「戦うと言うなら、相手しよう」
 薫とシンジはそれぞれ赤と金のコンバットスーツい身を包みロゼリオン、ヴァンゼリオンに変身する。ガニガニは手の鋏を振るって攻撃する。ヴァンゼリオンは手にした秘宝の槍で受け止めるが、ガニガニの腕力は強い。
「天界人の遺産を使うとは生意気ガニ、ブルーバーの後釜の上に天界の使いとはますます許せんガニ」
 秘宝の槍を前にガニガニは怒りを募らせる。
 ロゼリオンは巨大なウトゥクブラスターを構えて、ガニガニの背後から狙撃する。しかし、強靭な甲羅に阻まれてほとんど効果が無い。
「受けてみい、わての火焔を」
 煉獄の嵐がサラマンダーのファイヤーブレスで攻撃するが、ウトゥクブラスターをも跳ね返す甲羅の前に効果は発揮されない。
「こうなったら奥の手ガニ、溜めこんでいたエネルギーを使うガニ」
 そう言ってガニガニは摩訶混沌の特殊空間を展開する。ガニガニと三人のJusticeは、地獄の様な光景が広がる摩訶混沌の特殊空間に飲み込まれた。
「なんや、身体がだるいな〜。それにわての火焔術が効かんし腹立つわ〜」
 嵐が妙に腹を立てている。
「ヴァンゼリオン邪魔だ、腹が狙えない」
 ロゼリオンも妙に苛立っている。
 憤怒の心に振り回された嵐とロゼリオンの連携が乱れ、摩訶混沌界でパワーアップしているガニガニにヴァンゼリオンも押され始める。
 懐に飛び込まれて、長い槍も十分に生かせず、左腕のレーザーアームで応戦するがそれもやがて限界を迎える。
「シンジはんなにやってるんや、しっかりしいや」
 嵐がいらだちをヴァンゼリオンにぶつける。
 このままでは、三人とも怒りに燃えるガニガニのパワーに押し切られる。そう感じたシンジは一計を講じる。何とかガニガニの攻撃を耐えながら、回り込み完全にロゼリオンとガニガニの間に立つ。
「何をしてる邪魔だと言っただろう」
 ロゼリオンが怒りをあらわにするが、それを受け流してヴァンゼリオンは嵐に叫ぶ。
「友よ、力を貸してくれお前の力が必要なんだ。一瞬で良いから奴の足を抑えてくれ!」
 慈悲の心を持って嵐に呼びかけるその言葉を聞いて、嵐は目を見開き、超反応を示す。
「任せとき、友の為なら命がけや」
 そう言って、重い体もなんのそのみそっかすと軽んじていたガニガニの隙をついて両足を抱きかかえるように掴んでのけた。
「何するガニ、ガニは銀河刑事と戦ってるガニ、雑魚は大人しく引っ込んでるガニ」
 ガニガニはそう言って振りほどこうとするが、友情に燃える嵐の力は執念は鋏で叩かれようと何しようと挫けなかった。
「シンジはんの頼みや、死んでも放さへんで〜」
 上手く嵐が抑えているのを確認したシンジは振り返って叫んだ。
「編集長の男女!」
 ただでさえ憤怒の激情に駆られてるロゼリオンの火に油を注いだ。
「死んでわびろヴァンゼリオン!」
 元々決壊しかけていた理性のダムが決壊し、ロゼリオンの激情が噴出する。ウトゥクブラスターから必殺のサーチ&デストロイが火を噴く。
 一瞬早く身を伏せたヴァンゼリオンの頭上を越えて5発の光線が仲間われに気を取られていたガニガニの腹の薄い装甲を撃ち抜いた。
「やられたガニ、こうなったら最後の手段ガニ」
「そうは行くか!」
 ヴァンゼリオンは半身を起こすと守護者の槍を鋭く回転させながらギガドリルブレイクを繰り出した。その一撃はガニガニの甲羅を粉々に打ち砕いた。
 摩訶混沌獣を倒した事で摩訶混沌の結界から解放された一同が元の海岸に戻ってきた。
 しかし、殻を脱ぎ捨て生っ白い貧弱なボディを晒したガニガニが生きていた。
「今、やられる訳にはいかないガニ。ガニの裏ワザ緊急脱皮ガニ」
 無理な態勢で必殺技を仕掛けたヴァンゼリオンの足に自分の腕を引きちぎって投げつけ、足を貫いて縫いとめた。
「シ、シンジは〜ん」
 嵐はシンジの元に駆け寄って来る。薫はサーチ&デストロイで全精力を使い立ちあがるのもやっとだ。
「俺は良いから、奴を追え」
「嫌やシンジはんが死んでまう〜」
 そう言ってるうちに、ガニガニは海に飛び込みあっという間に泳ぎ去っていく。かつてブルーバーにやられた時もこの技で一命を取り留めたのだろう。

《水中にて》
「大変な目にあったガニ。危うく死ぬ所だったガニ。摩訶混沌城に帰る願いを叶えるまで死ぬわけにはいかんガニ。お、あれは何ガニ?」
 独り言をつぶやきながら海を泳ぐガニガニは、海に沈んでいく影を見つけて近付いていく。ガニガニが見つけたのは、WCにやられアスールに止めを刺されて海に没したカマカマだった。
「お仲間ガニ、25年ぶりガニ。ガニより大怪我してるガニ」
 そう言いながら近付くと虫の息のカマカマを残った片腕で助け起こす。
「しっかりするガニ、傷は深いけど死んだら寂しいガニ。せっかく25年ぶりに会えたガニ」
 この数年に新たに誕生しガニガニを知らぬカマカマも相手が同類の摩訶混沌獣である事を悟ると遺言を語り始めた。
「大神官のガルバが裏切ったのだよ〜、大帝王ポーライ様をお呼びする事ができなくなって無念なのだよ‥‥」
 それだけ言うとカマカマは溶けるように消えて行った。
「せっかく会えたのに残念ガニ〜。ガルバを許さないガニ。ガニがきっと大帝王様をお呼びするガニ。そうすればガニの願いも叶うガニ、みんなと一緒に暮らせるガニ」
 ガニガニがカマカマの遺言を聞いた事を知る者は居なかった。あと数人の戦力があれば、ガニガニを取り逃す事はなかったかも知れない。

●砂漠に眠る鎧船

 エジプトのカイロ郊外にかつてJokerが制圧したアーマーシップがあった。WWCはこの復活を目的として掲げ、多くの賛同するJokerを得ると同時に、敵となるJokerも顕在化していた。
 これは裏切りでも何でもなく当然の成り行きに他ならない、Jokerという組織が何処かにある訳ではない、Jokerネットワークという情報網はあるが、それは大小さまざまなJoker組織間でお互いに都合のよい情報をやり取りする為に用意された通信網というだけで、牛耳る組織が居る訳でもない。
 かつては、宇宙の大犯罪者ジャッカルという重鎮が睨みを効かせていた為、目立った問題になる事はなかったが、その重しが解かれた反動もあるだろう。
 ある者はアーマーシップの戦力とそこに秘められた技術の恩恵にあずかる為にWWCに賛同を示し、ある者は賛同した振りをしながら出し抜くチャンスを狙い、またある者は巨大な力と卓越した技術を他人が手にするのを嫌い反対する。
 個々のJoker組織、Jokerの個人に取ってみれば当たり前の選択をしているだけで、誰かを裏切ってる訳でも、分裂した訳でもない。一般人から見て「迷惑な存在」という括りでしかない者達が、ある選択を迫られたので、それぞれに自分の答えを出したに過ぎない。
 Jokerを束ねる事ができるとすれば、それには2つのものが不可欠だろう。1つは従う事で得られる大いなる見返り、もう1つは逆らう事による決定的な損害だ。前者が無ければ誰も耳を貸さない、なぜならばJokerとは目に見えぬJokerという集合の為に尽くす者ではなく、己の欲求、己の感情を貪欲に満たす者達なのだから。そして、後者が無ければ、見返りを分けて貰う等という殊勝な考えは抱かず奪い取る方を選ぶだろう。

 かつてジャッカルが示し、今またWWCが掲げた見返りの象徴、それがカイロ郊外に眠る遺跡船「アーマーシップ」だ。
 このアーマーシップがもたらす恩恵を巡っては、既に様々な思いが動いている。戦力としてのアーマーシップを利用する為に、欠かせない存在である沢木陽蔓の身柄を確保しようとする、あるいは誰の手にも入らぬ所へ葬ろうとする者達の暗躍。
 そして、アーマーシップ自体の状態を確かめに来る、そしてあわよくば復活した時に手に入れようとする者達の姿もあった。
 摩訶混沌の蔦の影響を受けない人造人間イゼル・アインこと一条・聖(ja2027)とそのバックアップ役の松戸旦求(ja1103)だ。
「準備は万端、さあ変身だ聖君。そして探索するのだイゼル・アイン君」
 旦求の指示を受けた聖はイゼル・アインへと変身すると旦求の用意した補給用のエネルギー錠「万納らいふ」を手に蔦に覆われた遺跡の中へ入っていく。直ぐに、連れていた戦闘員や武士狼は不調を来たし、主であるイゼルへも攻撃を仕掛けて来たので、これを取り押さえ旦求の元に連れ帰ってあらためて出発する。
「余計な時間とエネルギーを浪費しました」

 一方、Jokerの調査チームが進むかつて「人の道」と呼ばれたJokerが確保し探索を行った勝手しったるルートとは別の、「修羅の道」と呼ばれたJustice側が探索を行っていたルートからは、別のチームが探索を開始していた。
 遺跡の前につける二台のセントラル製万能戦車、降り立ったのは霞沢賢一(ja1794)と人造人間オムレッツ(ja2035)。そして喜寿を超えた高齢WC紅蓮不死鳥零式こと鳳凰院無明(ja0770)だ。
「このアーマーシップを復活させようとしておるのか。陽蔓君の事を考えれば、復活なぞせん方が良いのじゃろうが。みすみすJokerの手に渡す訳にも行かぬからな」
 無明の言葉に、賢一が頷いて言う。
「そうですね。その為にも現在の状態を把握しなければなりません」
 二人の会話が難しくてついていけないのか、卵の様な姿のマスコットロボット風のオムレッツは真剣に話を聞きながらもきょとんとした目をしていた。
「ジョーカーどもの姿はないようじゃな」
「監視装置ぐらいは付けていそうですが、人を常駐させられない状態なのでしょうね」
 老いたりとはいえ鋭い眼光で敵に警戒する無明に、冷静な科学者としての返答をする賢一。
「となれば頼りは、この子か」
 そう言って無明はオムレッツに目を向ける。見つめられたオムレッツは目を輝かせて見つめ返してくる。
「ここの調査はお前が頼りだ。だが、お前はまだ目覚めて日が浅い、あまり無茶はしてくれるなよ‥‥」
 そう言って賢一はオムレッツを送り出す。
「じゃあボコ行ってくるレツ。ボイルドチェーンジ!」
 卵状の外層がはじけ飛ぶとすらりと頭身の高いロボの骨格が姿を現し、バラバラになった外層が身体の各部を覆うように再装着され戦闘用ロボオムライザーへと変身する。
 更に、バイク形態へと姿を変えるとオムライザーはアイライトを頼りに奥へと進んでいく。
「わしらもついて行ってやりたいが、これ以上進むと何があるか分からぬからの」
 そう言って、進んでいくオムライザーの送る映像に目を落とす。

 一方その頃、流星仮面プラズマンことニック・高瀬(ja1805)は大学に足を運び、ラムセス2世時代の歴史書を紐解いていた。かつてエジプトに置いて惨殺された研究者が最後に調べていた遺跡の古文書がその時代の記述だったらしいという話に基づいた調査だった。
「これも、違いますか。元より成果が無いのも覚悟の上、断片でも手掛かりを得られれば」
 調査隊が見つけたという「新発見」の内容が明らかならば、絞り込む事もできたであろうが。それらしい情報を掴む事はできず徒労に終わった。

 遺跡を抜け、最奥部にあるアーマーシップの船体にまでたどり着いたイゼルと同じくたどり着いたオムライザーはお互いを牽制しあいながら、絶望的な現実を目の当たりにする。
 すっかりと混沌の蔦に覆い尽くされた船体は、尋常な方法では取り除く事は叶わないだろう。これを取り除けるとすれば、蔦を操る力か、神の奇跡でもなければ無理ではないかと思われる。
「今は争うつもりはないわ。でも、決してジャスティスにアーマーシップは渡さない」
「ボコも、悪人には渡さないレツ」
 にらみ合う両者の前で、騒ぎが起きるのはまだ先であり、予知の出来ぬ身には知る由もなかった。

●様々な人の思惑

 小高い山の中腹に立てられた景色の良い療養施設に3人の女性が訪れていた。
 ララを警戒しながらも我が娘の如く可愛がっていた涼村ユイ(ja1082)とその娘である人造人間の涼村ミク(ja2101)、そして夜木菟葵(ja1494)だ。
「母子ともに健康状態は良好ね。これで、妊娠7カ月ね。お腹の子の男女も分かるけど知りたい?」
 ララのメディカルチェックをしたユイがララに尋ねるが、ララは言葉を返さず静かに首を振った。生きる意志は取り戻したようだが、まだショックは抜け切れていないようだ。
 次に語りかけたのは葵だ。
「4か月程前に、トント老師にお会いしたわ。その時、老師が言っていた言葉を伝えるわ。『ララの方は福音はすでにララの中にある、時が至れば自ずと目を覚まし、己の使命を見出すじゃろう』って。老師は知ってたみたいね貴女の子供が宿ってる事」
 老師の名を聞いてララが目を見開く。積極的な反応を示した事を脈ありとみて、葵は更に続ける。
「こうも言ってたわ『ララもJusticeとして生きてきた者だ、自ずと立ち上がるだろう』、わたくしも共に生きる者としてララさんが立ちあがる日を待ってるわ」
 それを言われたララは、微かに微笑んだ。見舞いの花を花瓶に生けて戻ってきたミクが穏やかで優しい歌を歌う。優しい調べに釣られて、ララの表情も和んでくる。
 その姿にユイは安心し、ミクにそっと耳打ちする「しっかりとララを守るのよ」と。それに頷きながらミクの歌は続く。
 病室を出たユイは通信機を手に連絡を入れる。
「ララの方は大分落ち着いてるわ、安心して。異常は何か見える?」
 上空で周囲を警戒しているマリアベル(ja0398)は、ララの様子を聞いて安心すると、冷静に返答をする。
「今の所異常はなし。ララを狙ってる兆候は見られないわね。もう一方を捜索に行くわ。何かあったら直ぐに呼ぶのよ」
 そう言って飛んでいくマリアベルにユイは答える。
「はいはい、分かりましたお姉さま」

「そう簡単には見つからんか」
 かつて陽蔓が心を許していた男、紫藤・焔(ja1313)は昨年陽蔓と言葉をかわした思い出の場所を回り、再びタヒチを訪れているという陽蔓の姿を探し求めていた。身柄を取り押さえよう等というつもりは全くなく、父親の用に敵対する者危害を加える者から陽蔓の身を守ろうという一心からの行動だった。
 陽蔓の姿を求めても不審がられないよう、望遠レンズ付きのデジタル一眼レフカメラを手に景色を写し取りながら各地を巡る。
 そんな焔が陽蔓と巡り合ったのは、何かの偶然かあるいは運命の悪戯だろう。
「こっちだよ〜」
 少女とも見まがうような愛らしい少年が手を振る。その視線の先には1人の少女の姿。
 少年の名は白面のオリヴィエこと織部・真白(ja0650)、少女の名は沢木陽蔓(jz0068)。追われる身となった陽蔓の事を思い、真白が決着をつけようと陽蔓を誘いだしたのだった。陽蔓は周囲を警戒しながら、真白の元へと走り寄る。
 焔のファインダーの中に映し出されたその光景を見つめる別の影があった。
 影の名はファントム・of・G、またの名をギュンター・ニコラシカ2世(ja1810)だ。オリヴィエが陽蔓と接触したらしいという情報を元に、オリヴィエの行動に網を張り、陽蔓の身柄を確保する為に待ち構えていたのだ。
 そのファントムの姿を背後から見つめる小さな影があった。サイレントシャドウのコードネームを持つ少女皇牙・マコト(ja0103)だ。ファントムがWWCへの背信行為をしたりしないか監視する役目を自任して様子を伺っていたのだが。陽蔓と接触しようとするオリヴィエを追うファントムの真意をつかみかねた。
 陽蔓の身柄に対する明確な方針は示されていないし、ファントムのこの後の行動も様々なパターンが考えられる。接触するだけであれば何の問題もないだろう、拉致する場合はレガシーシップに纏わる利権の強化に繋がるかもしれない、抹殺を狙うのであればWWCの他に対するアドバンテージを損ねるので止める必要があるか?
 マコトが迷っているうちにファントムは動いた。
 右手に仕込まれたサイドワインダーウィップを伸ばして陽蔓の身体を横から掻っ攫う。真白の目には陽蔓が突然横に飛んだように見えた。
「陽蔓ちゃん?!」
 瞬時にオリヴィエへと姿を変えSwordOfSwordShipを構える。しかし、陽蔓ののど元にナイフが付きつけられている為に手出しができない。
「手荒な真似をした事はご容赦願いたい。陽蔓嬢を我らの組織へとご招待したいと思いお迎えに上がった次第」
 ファントムが芝居がかった物言いで宣言する。
「手向かいはご遠慮願う。死なせるわけには行かないが、多少傷跡が残ったとて機能には支障はないので、レディには気の毒な事になるかもしれない。まして慌てれば、万が一の事故が起きないとも限らない」
 ファントムの言葉に、自分が陽蔓の危機を招いた事を悔やむオリヴィエだが逃がさないように牽制する以上の動きは取れない。
 ファントムの真意を探ろうと思考読破の為に触れようと手を伸ばしたマコトをファントムが牽制する。
「熱烈な追っかけはもう少し大人になってからに願いたい」
 マコトに気を取られた瞬間に僅かにナイフの刃が陽蔓から離れた。その瞬間をついて変身しフォームテクターの超感覚で機会を伺っていたヴォイスのGunOfLightningが火を噴き、ファントムの左手を焼いた。
 即座にオリヴィエが剣を振るいファントムのサイドワインダーウィップを斬り陽蔓を解放させる。迫るヘリの爆音を聞き、ファントムは接近するヴォイスとオリヴィエを相手にできぬと逃亡する。逃げるファントムの腕に触れたマコトの思考読破の結果、多少の芝居っけがあったがWWCの為に陽蔓の身柄を抑えようとした事に偽りはなかった。
 陽蔓は、ヴォイスとオリヴィエに守られる形で、儀式の島へ全てを見守る為に向かう事になった。
「陽蔓ちゃんの安全の為だから特別だよ」
「陽蔓の安全には変えられんからな」

 その頃、紫微たる紫水晶こと破軍魔夜(ja1332)は、ELOから残念な知らせを受け取っていた。
「やってみるしかないという訳ですか」
 ELOからWCNを通じてfirへの接触を図り、儀式に関わる情報の分析を依頼しようとしたのだったが、WCNは中立の組織であるがゆえに1Jokerの便宜を図って対立するJusticeへの橋渡しを行う事はない。その返事と共に、ELOでは儀式に関わる一切をガーロンが仕切っていた為、下部のメンバーの元に詳しい情報がないという事だった。

 Justiceの借りたホテルの一室にて、徹夜の疲れで眠りこける1人の男が居た、匙田竜介(ja0570)。激しい争奪戦が行われているスターパール争奪戦での被害を最小限に抑えた功労
者である。彼が作成して皆に持たせた偽物のスターパールを手放させる事で、巻き添えによる一般人の被害を激減させるとともに、敵の手に渡る勇者の証を減らすことにも多いに貢献した。その功は地味な上に、実際の影響が見て取れるのは儀式の場に出てからの事だが、彼の功績がJusticeとして大きかった事は間違いのない事実である。

 一方で、自分達のやった事が取り越し苦労で終わった事に安堵のため息を漏らした者達が居た。
 奇祭の優勝者で証を持ち帰った者が居ないか調査していたプロフェッサー・ノトスこと都府楼・南(ja1812)とそのデータを元に保護するように連絡を送った秋月・桔梗(ja2093)。日本へと飛んだアリンナ・ブラントン(ja1874)だ。

●ガルバの影を求め

「きっと、こっちだ。夢の記憶が導いている」
 そういって走るのは焔龍というコードネームよりも褌王子として知られる火群焔羅(ja0763)だ。
「それ何回目ですか」
 そうやって突っ込みを入れながらも甲斐甲斐しく付いてくるのはその妻である脱衣姫ことアイリス・フィオレもとい神楽坂あやめ(ja1080)だ。
 夢の中でガルバがタヒチの奇祭を狙っているという記憶の断片を頼りにあっちへこっちへと奔走している焔羅に、あやめが付いていくのだが、如何せん居場所を知ってる訳ではないので空振りの連発だった。
 普通なら10回も外せば他の方法を考えようとするだろう、20回も外せば自分のやり方に疑問を持つだろう、30回も外せば付いてくる者等居ないだろう。
 だが、この二人は違った、思い込みと勢いと諦めない根性だけで全てを乗り越えて来た褌王子とその男に惚れぬいた脱衣姫だ。
 二人の捜索はめげることなく続けられる。手掛かりらしい手掛かりはガルバが貴族趣味的な性格をしているからきっと良い所に住んでるに違いないというそれだけにも関わらず、褌王子の勘と足による捜索は続いた。

 ガルバを探しているのは何も二人だけではない。ガルバの方から接触してくるように画策する者が居た。
 ネクロエンペラーこと如月・達哉(ja1314)男の身ながら、妹の身体を元に設計された女性型の改造体に脳を移植した彼(彼女?)は、新聞等のメディアにガルバを誘う広告を出していた。
『女死神は伝説の島で吸血鬼との逢瀬を望む』
 その様子を伺うそっくりな顔立ちをした妹、如月・卯月(ja1611)が尋ねる。
「本当にこんなので釣れるの?」
 自信満々に達哉は答える。
「自信家の派手好きだし、きっと来るにきまってる」
 バーで男を色仕掛けでたぶらかしながら答える達哉を見て、流石に卯月も婚約者も居る筈の兄は「兄」として大丈夫なのかと思わなくもない。
 その達哉の元に、ガルバより先に訪れた者がいたWWCからの刺客エウメニデスだ。WWCと路線を異にする行動をとりあまつさえ害をなす達哉の真意を試しに、仲間の占いと達哉の流した情報を辿ってやって来たのだ。
 特殊空間を展開して、宝石獣に襲わせるエウニメデスだったが達哉の娘と称する人造人間ネクロエンプレス・ドリット(ja2042)のガードが堅く、攻めきれずに居た。そんな最中に、事件は起こった。

 そしてもう1人、創造神の貝殻を用意してガルバとの邂逅を望んだ者が居た。烏鳩、むしろダヴ(ja0226)と呼んだ方が通りは良いだろう。ダヴは創造神の貝殻に願う、ガルバと会って会話する事を、めぐり合う導きが訪れる事を。その時、創造神の貝殻は割れることなく、代償を失う事も無かった。願いが弱かったのかと疑問に感じたダヴだったが、その目の前には求めたガルバの姿と、達哉、そして焔羅とあやめの二人の姿もあった。
「これは一体?」
 予想外の事態に戸惑うダヴにガルバが答える。
「我が願いの成就の前に、妙な来客が入るとはな。美しいお嬢さん方、歓迎しよう」
 しかし、そこに無粋な声が割って入る。
「やいやい、てめえがガルバだな。夢で見たとおりの面をしてやがるぜ。お前が諸悪の根源だな、とっちめてやる」
 焔羅がそういうとLOソードと試作レーザーブレードを手にガルバへと切り掛かる。しかし、ソファに座ったままのガルバの身体が一瞬霞んだかと思うと実体剣も光線剣もすり抜け背後のソファの背もたれだけを切り倒していた。
「無粋な客人だ」
 そういうと切り倒されたソファからおもむろに立ちあがると軽く押すように焔羅に手を伸ばす。触れた瞬間超人力で常人の何倍もの体力を誇る焔羅がワイヤーアクションで引っ張られたように廊下へすっ飛んで行く。
「邪魔者は片付いた、お茶でもいかかがねお嬢さん達?」
 ガルバはダヴ、達哉、あやめに声をかける。
「‥‥人の嫁さんに手を出すんじゃねえ」
 廊下の向こうで立ちあがった焔羅が再び迫ってくる。
「冷てえ手をしてやがるな、触られた所が霜焼けだぜ」
 原因不明の脱力に膝が震えながらも啖呵を切る焔羅、威勢の良さだけならガルバに負けていない。
「焔羅さん!」
 あやめがアイリス・フィオレへと変身しながら焔羅の元に駆け付ける。
「夫を守るのは妻の役目です」
 そう言いながら万能ビームガンから破壊光線、パラライズ光線、冷凍光線と撃ち続けるが全てガルバを素通りしていく。
「こうなったら、俺の小夜啼鳥をくらいやがれ」
 そう言って褌のパーツを飛ばすと小型機が次々とガルバに攻撃を仕掛ける。全機飛ばした焔羅の股間はフルオープンだが、微妙に頬を染めながら焔羅の前に立つアイリスのおかげで、微妙に視線を泳がせる達哉や目を逸らすダヴの視界に晒される事は無い。
 小夜啼鳥が連射で牽制する間に、LOソードとVEブラスターを合体させた二人は声を揃えて行った。
「「食らえ、二人の愛の共同作業、ラブラブファイナルビーム!」」
 二人の構える砲から放たれた光線を構えた手で受け止めたガルバは、光線を投げ返して来た。ラブラブビームの威力をまともに受けそうになったアイリスを押し倒し代わりに直撃を受ける焔羅。焔羅の身体が盾になったがアイリスも無傷では済まない。
「随分散らかってしまったな、お嬢さん達の話は道中聞かせてもらおう島に向かう途中だったのでね」
 そう言って、倒れた焔羅とアイリスを背に達哉とダヴを連れて去ろうとするガルバの背に向かって、焔羅が吠える。
「‥‥人の嫁さんを傷つけた借りは必ず返してやる、覚悟しておけ」
 それだけ言うと意識を手放す、アイリスも焔羅の下でキルサインを出すと意識を失った。ジャッカル四天王に一矢報いて来た褌王子の完敗であった。

 ガルバの用意した骸骨馬の引く8頭立て馬車の中で、ここに至った経緯を聞いたガルバがダヴに答えた。
「創造神の貝殻を使ったのか、割れなかったのは今この地にタンガロアの気が満ちていた為起きた偶然だろう」
 ガルバの言葉が終わったのを待ち、達哉が尋ねる。
「貴方は死者の国でも作るつもり? 混沌に世界を支配させても貴方のメリットが見えないわ。行動から混沌とも一線を画しているみたいだし。これは女の勘ってところ」
 達哉の問いを聞いたガルバは微かに頬を釣り上げ笑みを作って答えた。
「女の皮を被った少年は面白い事を言う。死者の国か、作って欲しいのかね?」
 達哉に答えたガルバにダヴが尋ねる。
「ガルバ様。退屈しない世界を作るのであれば、手伝わせていただけません?」
 ガルバは手伝うという言葉に大した興味を示さず、静かに続きを促す。
「今を含め今後して欲しい事があればなんでもご連絡くださいな。私に退屈しない遊びを提供していただけるのであれば意味も理由も問わない、ブラフでも構いませんわ。捨て駒扱いでも結構。血の沸き立つ遊びをただただご提供いただきたいの」
 その言葉を聞いたガルバは、深い興味を覚えたのか、ゆっくり頷いて応じた。
「我が願いが叶った暁には、お前の願いも叶うやもしれぬな。我が望みとお前の願いは近い所にある」
 ガルバの言葉の真意は測りかねたが、ガルバの願いと自分の願いが同じ方向を向いてるらしいという手ごたえは感じられた。
 そうこうするうちに、馬車は島へと近付く。

●儀式の島

 儀式の当日、封鎖を解かれた儀式の島へと何隻もの船が進んでいた。
 そこに立ちふさがる影があった荒世(ja0626)が操るギガンテス闇王、海鮮(ja1650)の操るギガンテスNR1、更に水中にはGO−MENの乗る万能戦車[スカル]、豚(ja0105)運んだL星獣ギガースを従えたごんぶと(ja0744)、そして人造人間のshow・you(ja2031)が待ち構えていた。

 何の備えもない一般人の船は次々と沈められていく。
 救助活動にあたったのは、儀式の反動に備えて待機していた漆原静流(ja0368)と漆原祐(ja0289)の姉弟だった。涼村テス男ことテスゼリオン(ja2030)も現場に駆け付ける。葵が用意していた緊急受け入れ態勢も前倒しで稼働する事になった。
 この大騒動を止めたのは、ガルバだった。
「儀式の邪魔をするのはやめて貰おう」
 双眸から禍々しい赤い光が放たれたかと思うと、闇王もNR1も機能を停止する。GO−MENの操るスカルも機関が停止し動きを止める。

 WWCからはJ・Jと護衛のロシェ(ja0526)が代表として島に降り立つ。J・Jの手にはヘイゼル、エミネ、ゲパルトらが集めた証に加えアリサが買い取った証も加わっている。竜介の画策が無ければもっと集める事ができたであろう。
 入島に当たって揉めているのは、証を持つ寒来刃夜斗(ja1056)と月夜乃・美兎(ja1701)の付添という名目で集まった面々だ。刃夜斗の妹寒来・玲那(ja1555)は良いとして、黒薔薇霧華(ja1035)とそのひきつれている17人の戦闘員に、牛尾・力山(ja1697)とその配下戦闘員5名、刃夜斗自身も16人、玲那が戦闘員12人、美兎の戦闘員が5名と60人の団体でやって来た為に儀式の見張りに駆り出された現地人と揉めている。
 結局は、戦闘員達をここまで美兎を護衛していたギィ・ワンダー(ja1729)、星・綺光(ja1736)、竜神・薫(ja1748)、物部雫流(ja1942)が連れて島から離れると言う事で決着したが、大きくロスをすることになった。
 被害者の救助や周囲の警戒で遅れたが、胡蝶・亜都真(ja1679)とファナ・コウサカ(ja1764)、マーク・ネルソン(ja1600)と罠兎ら証を手に入れたJusticeと護衛役のユキノシタ・マサカズ(ja0136)が上陸した。最後の騒動が起きなければ、更に上乗せができたかもしれない。
 バスティラ(ja1544)、司葵(ja1529)も独自に上陸を果たす。司葵の傍らには永遠の愛を誓い合った男クライズの姿もある。
 更に島の周囲には、陽蔓を連れたオリヴィエとヴォイスを始め、証を手に入れられなかったが成り行きを見守ろうというワイルドカード達が集まっていた。

 戦闘員を送り返して上陸を果たした霧華は、儀式の準備に忙しい長老にガルバが邪悪な存在であるがゆえにアイトゥに相応しくないと訴えようとしているが、取り合って貰えないでいる。
「正当なる資格を持つ証を持つ者であればアイトゥになる事ができる。それにかの者から邪悪な意志は感じない」
 そんなやり取りをしている間に、バスティラがガルバの元に歩み寄る。殴りかかろうにも、儀式の島では証を持つ者は創造神の力に守られ手出しをすることはできない。しかし、バスティラのとった行動は予想外の者であった。自らの持つ勇者の証をガルバに差し出しながら言った。
「お前の存在はバスティラの目的の為にはありがたいんだ。大事になればなるほど、再戦したい相手が戻ってくる可能性が増える。バスティラはお前の存在を利用したい。だから、お前もバスティラを利用してくれ」
 バスティラのその行動は、ガルバを否定する事しか考えてなかった者達を驚かせる。
「城の門の前で暴れていた男か、面白い事を考えるものだ。好きにするが良い。我は我が使命を果たすのみ、そこに利を見るなら好きにするが良い」
 ガルバがそう答えると、バスティラはボディガードをするかのように、達哉、ダヴと並んでガルバの傍らに立つ。
「では、集まった勇者の証の数を確認する、今年のアイトゥになる者は何れか」
 各々の集めた勇者の証を示す、摩訶混沌獣による妨害工作や、多くの証が配られるマラエ
の祭が無い事で昨年の数に比べれば少ないが、罠兎の貢献も大きくJusticeは12の証を集める事ができた。副作用ができるだけ小さくて済む平穏な願いとは何かに頭を悩ませていた亜都真にその証を託す。
 WWCは15は集めた筈だったが、竜介の画策により11止まりだった、しかし霧華がJ・Jに囁く。
「あなた方の勝利の為に寒来さんと月夜乃さんの証を委ねましょう、その代わり1つ要求を入れて貰います。以後、陽蔓さんに危害が及ばぬようにする事を」
 J・Jは頷いて答える。
「良かろう、大事の前の小事。我々の求めるものは1人の少女の肩に乗るような小さなものではない」
 取引が成立したのを確認し、霧華は刃夜斗と美兎を促す。懐から、証を取り出そうとする刃夜斗のかわりに妹の玲那が巫女装束の袂から証を取り出して霧華に差し出す。
「ああ、せっかくの良い男と巡り合う願いが‥‥」
 美兎は名残惜しそうにしながらも、自分に証が集まる可能性はないと諦めて証を差し出す。そして、霧華は二つの証をJ・Jへと託す。
 悔しそうに13個になった証を見つめるマサカズだが、手出しはで
きない。ファナやマークの視線は、クライズと傍らの司葵にそそがれる。司葵の1つがJustice側に渡れば数は五分になる。Jokerサイドのメンバーも牽制するような視線で司葵を見つめる。
 注目を集めた司葵は困ったような表情をクライズに向けて尋ねる。
「どうしようっか?」
 重大な決断を振られてクライズも困った顔を見せる。WWCに渡せとは絶対に言えないが、Justiceに渡させれば司葵の身に危険が及ぶ可能性もある。

 そんな時にガルバが進み出て自らの手の中にある証2つを示した。1つはバスティラから託された物、もう1つはガルバの纏う魅了のオーラにより信奉者となった現地の女性から捧げられ持ちこんだ物だ。
「証は出そろった、では儀式を進めよう」
 そう言って、2つの証をぶつけ合わせるとキィーンと甲高い音が響き、バスティラが託した1つが砕ける。同時に空気では無い何かが振動する感覚をその場に居た者たちが五感ではなく魂で感じた。
 直後、J・Jの手の中で、亜都真の手の中で、司葵の指の間で、その他周囲の一般人の手の中で勇者の証が激しく震動し、激しい熱を発したと思うと破裂した。ガルバの持ち込んだ証には、事前に何らかの術が施されていたのだろう。
「この場に残された証は1つ、アイトゥの願いを届ける送信機はこれだけだ」
 しかし、証の数が十分ではなければ願いは叶わない筈。昨年の顛末を聞いていた者たちの脳裏に長老の言葉が蘇るが。長老は苦虫をかみつぶしたような顔をして呟いた。
「‥‥証に込められた創造神タンガロアの力は解放され島に満ちておる。儀式は有効じゃ」
 その言葉を聞いてワイルドカード達は愕然とする。単にここまでの努力が徒労に終わるのであれば、そんな経験はJusticeもJokerも何度もしてきた事だ。守ろうとして守れなかった命がある、手に入れようとして手に入れなかった物がある。
 しかし、ガルバが願いを叶えるという事はまた別の意味を持つ。きっとJusticeにとっては新たなる脅威であり、Jokerに取っても厄介な話になるに違いない。
 ガルバの願いに賛同するダヴとバスティラだけは期待の目で見守っている。
「なるほど、これがあったから悠然と構えていられたのか」
 達哉が感嘆の声を漏らす。
 ガルバにとって、自身が持つ勇者の証は1つでもあれば十分だったのだろう。他の証が全てエネルギーだけ還元して機能を失うのであれば、持ってくる者は誰でも良い。
「では、アーカーシャの鍵を示してもら‥‥」
 残されたたった1つの証を掲げガルバが願いを唱えようとした瞬間。
「ちょっと待つガニ! 勇者の証が2つあるガニ! 証を手に入れた子供に貰ったガニ。男の子に頭を下げてお願いしたガニ、故郷に帰りたいって頼んだガニ。もう一つは女の子に貰ったガニ、最初は怖がってたガニが、綺麗な貝殻を上げたらくれたガニ〜!」
 海岸から走り込んできた摩訶混沌獣ガニガニが柔らかく薄い白い殻だけを纏う隻腕のみすぼらしい姿で駆け込んでくる。そして、口から小さな丸い物を2つ吐き出した。間違いなく勇者の証のスターパールだ。
「ガニの願いをかなえるガニ! ガニの願いは、新しい大帝王ポーライ様の降臨ガニ〜!」
 儀式は最終段階に進んでおり、その願いは長老達が創造神タンガロアと崇める存在へと届いた。

●復活の大帝王

 天を裂くような強烈な雷光、それに続く轟音。
 俄かにわき上がった黒雲が空を覆い尽くし、激しい嵐が吹き荒れる。
 空を飛ぶ機体も海に浮かぶ船も等しく激しくゆすぶられて安定を保つので精いっぱいとなる。

「陽蔓ちゃん大丈夫?」
 オリヴィエが陽蔓を気遣うと、陽蔓は笑顔を見せて答える。操縦桿を握るヴォイスには2人の様子を伺う余裕すらない。
「重力場の乱れを検知、異空間から何か出るわ」
 静流が解析の結果をJusticeの面々に伝える。

 空間に黒い穴が生じると、そこから身体から不釣り合いな巨大な頭部を持ち、男とも女とも付かぬ異形の姿が、多数の伴を従えて穴から悠然と姿を現す。
「大帝王ポーライ」
 天空に浮かぶ異形に向かいガルバが言った。それに答えるかのように、異形は宣言する。
「我は大帝王ポーライ、摩訶混沌界の長にして、全世界の支配者の座を父より受け継ぐ者なり」
 そう宣言すると、ポーライは巨大な口から一抱えはある巨大な卵を次々と生み出した。
「もうここには、用はない今のうちに去るぞ」
 ガルバは同行していたダヴ、達哉、バスティラをそのマントに包むと共に島から姿を消した。
 それと入れ替わるように、ポーライの生み出した卵から30を優に超える摩訶混沌獣が次々と生まれてくる。生まれて来た摩訶混沌獣達は、地均しをするかのように手当たり次第に周囲の長老や証を持ってきた者を襲い始める。
 ことここに至っては精霊認定だなんだと言ってる暇はない、怒りに燃えたマサカズがデスペラードに変身し摩訶混沌獣を投げたのを皮切りに、ワイルドカード達は次々に変身して摩訶混沌獣に応戦を始める。

「これは僕の出番だね〜、行くよ『スーパー特殊空間安全くん』」
 島の外から様子を伺っていたメタルスーツ姿のプロフェッサーA2(ja1071)は海に隠してあったNR1を起動するとその動力に直結した発明品を作動させる。
 本人の弁によれば、タヒチ全域の生物からメカまで全てを隔離するという物だった筈だ。だが、そんな途方もないサイズの空間の穴を開けられるものでもないし、それ自体の持つエネルギー量に関わらず全ての物を送り込む等容易なことではない。
 仮に実現できたとして、反動の源となる物まで一緒に空間移動してしまう事になり、自然災害という形の反動以外には何の役にも立たないだろう。
 実際に生じた効果は、儀式の島と周辺海域数kmを丸ごと隔離するという結果だった。

 隔離された空間の中、ワイルドカード達と摩訶混沌獣の戦いは続く。
 摩訶混沌の特殊空間を展開していないおかげで、摩訶混沌獣はパワーアップしておらず、デスペラードやキルブレード、キング・バッファローら強者達に敵う程の力は無く、布都御魂剣巫女の召喚した精霊獣の集中攻撃でも退ける事はできる。
 1体1体は倒せない敵ではないが、数が多い。倒す端から新たな摩訶混沌獣が誕生する。島に駆け付けたK=9を始め、パラダリス、Mr.ビッグロックらJusticeの多くは一般人の避難作業に忙殺されている。

 戦闘の続く最中、更なる災害が訪れた。摩訶混沌界の大帝王降臨というガニガニの願いの代償。
 儀式の島の縦横にひび割れが走り、激しく鳴動を始める。割れた大地の下には、石とも金属とも付かぬ不思議な質感を持つ構造物が眠っており、その構造物の表面にはレガシーシップに見られた文字と似た紋様が刻まれている。しかし、強靭そうなその構造物も砕け、千切れ、崩壊していく。
「お、おお、創造神タンガロアの遺産が‥‥」
 長老の悲痛な叫びも砕け行く島の轟音に飲み込まれていく。

 大帝王ポーライは、魔力で砕けた島の上に残された摩訶混沌獣を回収すると、閉鎖された空間を破って空へ消えて行く。
 やがて閉鎖空間が解けた島の残骸で取り残された人々の救助と脱出が始まる。当然のように分け隔てなく一般の島民も長老も助けるJusticeに対し、一部のJokerは打算混じりに長老を中心に救助活動を行う。
 しかし、Jokerの期待したような答えは長老から得られる事は無かった。彼らは彼らが創造神タンガロアと崇める物を崇拝し、伝統に従って儀式を守ってきただけで、その実体を知る訳ではなかった。テレビを見ている者が、その内部構造や原理、更に放送の仕組み等全てを知っている訳ではないのと同じ事だ。彼らは、先祖伝来の教えに従い、決まった時間に決まったチャンネルを見るように、儀式を継承してきていたに過ぎない。
 破壊された島の断片は一部が後に、Justice、Jokerの手で回収され分析に回された。

 タヒチから遥かエーゲ海の小島にある別荘の一室。
「あの様な者に、永き使命の成就を妨げられるとはな」
 連れだした三人の身柄を合流したアスールに引き渡すとガルバは呟いた。
「使命というのは一体何だ? 何を願おうとしていたんだ?」
 達哉が問う。三人を値踏みするかのように見まわしてガルバは告げる。
「我が使命はヘレルが長子の討伐。願いはその所在を掴む鍵よ」
 ガルバの短い答えの中に、永い時の中熟成されて来た思いの重みが感じられた。
「ジャッカル様や摩訶混沌界と協力していたのは、その為と考えてよろしいのかしら?」
 ダヴが予測に基づいて尋ねるとゆっくりとガルバは頷く。
「何故、そのヘレルとか言うのを願わないんだ?」
 バスティラが尋ねる。
「タンガロアの力には限界がある。昨年の摩訶混沌界へのゲート、一昨年のセントラルへのゲートで限界は見えていた。我が宿業を叶えるには小さすぎる」
 セントラルへのゲートという話は、ダヴや達哉達には初耳だった。それに、摩訶混沌界の大帝王を召喚した力を小さすぎるとするガルバの望みとはどれほどの物なのか?
「バスティラと言ったか、お前の望みはポーライが叶えてくれるのではないかな? 摩訶混沌界とセントラルは宿敵同士。それ故、互いを屈服させる事を考えながらジャッカルと手を組んだのだからな。お前の望みもまずはポーライが叶えてくれよう」
 ガルバは初めはバスティラに、そしてダヴに語りかけた。
「我が使命を妨げた摩訶混沌界の者達には意趣返しをする必要があるな。お前達も宴に加わるが良い。壮大な宴が楽しめるであろう」
 ガルバはアスールに目配せ1つで合図を送り、アスールが三人の帰りの手配を済ませる。
「所で、あれの種はどうなってるんだ?」
 帰り支度をしながら達哉が尋ねる。あれとは当然儀式の島で勇者の証を一瞬で砕いた事を言っているのだろう。中には護身用のバリア等を装備していたWCも居るが、一律に破壊するとは何をしたのか。
「タンガロアの力を共振させた詰まらぬ術だ。混沌獣の体内には通じなかったがな」
 ガルバは取るに足らない手品の種明かしをするように簡単に語る。
「創造神の力にお詳しいんですね」
 ダヴが問い、それにもガルバは事もなげに語る。
「あの程度であれば、三度も目にすれば容易い事だ」
 ガルバの持つ力の奥の深さを感じさせた。そのままガルバは旅立つ3人の背中に向けて告げた。
「お前達には、この仮住まいに上る許可を与えよう。礼を失しない範囲なら供を連れてきても構わん。だが、招かれざる客は、アスールではなくアーゲントが出迎える事になるだろう。もしお前達が我に仇をなすと知れば、ロッソが黙っておらぬから気をつける事だ」

 一方、タヒチで事件が起こっていると知る由もなくエジプトで調査を行っていたイゼル達とオムライザー達は、タヒチからポーライが消えて僅か数分後に、とんでもない現象を目の当たりにしたのだ。
 アーマーシップを覆っていた蔦が、急激なスピードで増殖を繰り返し船体を覆う遺跡を突き破り地表に突き出し更に、天に向かって伸びて行くのを。
 地表近くに居た旦求、賢一、無明は直ぐに飛び出して空を見上げるが、そこにははるか上空、雲を突き抜け一本の糸のように伸びる蔦の姿があった。
「これは、まさか衛星軌道まで伸びているのか?!」
 半信半疑で呟いた賢一の言葉は、後に裏付けられる事になる。
 収穫は、アーマーシップは蘇る事は無く、収穫と言えるのはまさに伸びつつある生きた蔦のサンプルを確保できた事位であった。

 蔦の先端と結びついた遺跡衛星の玉座に、主として君臨するのは本来の所有者である摩訶混沌界の大帝王ポーライ。その傍らには、その功績を称えられた功労者の摩訶混沌獣ガニガニが大帝王の魔力で完全復活して侍っていた。
「我は、摩訶混沌界の長にして、この世の支配者、大帝王ポーライ。世を1万2千年前の先代が君臨した時代へとかえそう。力なき者よひれ伏せ、総ての悪意ある者は我に仕えよ、働きに応じ報いようぞ。そして、憎き父の仇ブルーバーの後継者どもよ、恐れ、慄き、無力さを噛みしめ散るが良い」
 遺跡衛星からの放送は全世界に送信されたが、パニックを恐れた各国政府は新作映画の宣伝であるとごまかし、実際に莫大な資金を投じて短期間で映画をでっち上げ火消しを行った。一般人の目は一時的にくらます事はできたが、Justice・Jokerのワイルドカード達はそれがフィクションでない事を知っていた。
「遺跡衛星のエネルギー量が増大しおるじゃと」
 firの技官が観測したデータを手に、有口は吠えた。
「しかも、遺跡衛星から観測される摩訶混沌のエネルギーがエジプトを中心に拡大中。パターンは摩訶混沌獣が巨大化した際に観測されたエネルギーに酷似。このままでは世界中で摩訶混沌獣の巨大化が起こる危険があります」
 技官の悲痛な叫びが観測室に響き渡る。

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■プレイング(MVP)

■ja0570 星屑仮面/匙田竜介
【標準】オ

勇者の証の奪い合いが今年も横行している様なので、ア-Cを選んで一般人を守りに行く仲間たちに持たせるため、スターパールの偽者を<発明>して大量生産。
貝殻で作った玉に人工真珠層の塗装を施す、いわゆる貝パールやマヨネーズ真珠。
星の紋様が難しいが、お土産(一般アイテム)のスターパールを<解析>できれば可能か?

長老やガルバは見れば分かるだろうが、ジョーカーや末端の混沌獣では多分区別がつかないだろうから、代わりに差し出すことで一時しのぎでも儀式までの時間稼ぎを狙う。

本当は島民や観光客が殆ど持っているくらい、大量に作れれば幻惑作戦としてベターなのだが。
徹夜作業も覚悟しておくか?
この程度大量に作る事が可能なら、それっぽければ質は問わない。混沌獣は本物を見たことがある者も少ないだろうし、勇者の名前も殆ど分かるまいから。ジョーカーが問題だが、仲間の活躍に期待。

■ja1019 ロゼリオン/黒岩薫
ウ:C ガニガニを倒す
【挑戦】

沢木司令に破れて以降、タヒチで大人しく過ごしていたのか?
一年前の写真には姿が写っていたようだが、倒す前に奴の行動の意味を問い質さねばなるまい。

行動
ヴァンゼリオンと共にカニを捜索。ユイ先輩の仕掛けた発信機と発明品が頼りだが、奴が出没していた海岸の周囲を探ってみるか。

ガニガニと遭遇出来たら、「一年前から行動を開始していたようだが、何故、今になって我々の前に姿を現す? 貴様の存在自体が、我々に対する囮だったとでも言うのか?」と聞いておこう。
我々がガルバの思惑通りに動いてしまった可能性は拭い切れないしね。
こちらもそれを承知で動いてみた訳だが。

ガニガニがあくまでも敵対すると言うのなら、こちらも銀河刑事として全力で相手をする。私は射撃でヴァンゼリオンを援護して戦う。
又、万が一にもガニガニが巨大化した場合は、ヴァンゼリオンとギャラクシオン(β型)に乗り込み戦おう。

■ja1082 コマンダー・ユイ/涼村ユイ
オ.その他/ララの介護

ララの迎え入れの為、ララが滞在する高級コテージ、ララの為の調理師の手配、お腹の子の診断などをお願いする専属医の用意に奔走しています。
タヒチに不穏な空気が立ち込め始めたけど、ララとお腹の子はしっかりと守らないとね。

ララが到着したら、タヒチで起きている事件の情報は入らないように手回ししつつ、今まで忙しくてララの傍に居続けられなかった分、出来る限りララの傍にいるようにして、母親の先輩として子育ての話とかをしています。

尚、万が一の緊急脱出用にS型円盤を用意しておきます。
又、カニを追うシンジらの為に、以下の発明品を用意します。

発明プレイング
[タキジン粒子感知器]
カニのポケベルに仕込んだ発信機ノビーコンと、カニが発すると思われるタキジン粒子を感知する探知機。
タキジン粒子を近くで感知した場合、『タキジン粒子反応あり! 破壊!!』と、ポケベルに仕込んだ自爆装置を勝手に作動させます。

■ja1374 兎月真珠/武曲罠兎
♪選択肢(優先度は上から順)
・ア:一般人の持つ勇者の証に関わる
 A平和裏に譲渡してもらえるようお願いして回る
・エ:勇者の証を持って儀式の島へ向かう
 A:自分の願いを叶える為に証を使う
 B:勇者の証を○○に託す

♪行動
・歌って収集作戦
私が出来る範囲で、一番実現度が高そうなのは、歌で人の心を掴む事かしら
だから、私は歌を創り、歌うことで証の譲渡をお願いするの
歌は津波のような災害の無い平和を願う歌で、歌う前の口上で、たとえ、願いが叶うと言うのが御伽話だとしても、私利私欲の為に願いを掛け様としている人に対抗するために、証の譲渡をお願いします。とするわ
そして、それを路上ライブ、お店の人に許可がもらえれば大きめな宿や食事所でも行うわ

♪私の願い
私が集めた分だけで、願いがかなうのなら、私の願いは「世界に平和の調べが流れますように」よ。期待してないけど
足りない場合は、陣営や個人の私利私欲に使わない人に譲渡するわ

■ja1679 幻光戦士・織夢/胡蝶・亜都真
[目的]
儀式の島に向かいJoker勢が願いを叶えるのを食い止める

[動機]
奴らの願いの反動で世界に人々に被害を与えるわけにいかない

[行動]
エA:
>儀式前にスターパールを協力してくれる他のJusticeから集める

>ささやかな願い
出来るだけ反動を抑える為。
「杯一杯の水を下さい」

エC:
>警戒
摩訶混沌獣やガルバ及びJokerの介入・妨害に島に向かう時から警戒、周囲に気を配る。
緊急事態が起こらない限り精霊認定される真似は控え起きたら笛を三回鳴らしテス男(ja2030)さんを呼ぶ。
島にいるJusticeと互いに協力し合う。

>避難誘導
騒ぎが起きたら一般人の避難誘導を行い状況により特殊通信機[亜空間]で儀式の島周辺高高度上空に待機させておいたS型円盤を呼び寄せ避難に使う

イB&C:
>儀式の島でガルバを発見出来た場合、機会を待ち(緊急事態時)真意を問い交戦。
傷は肉体再生で回復する。
またガルバの手下が一般人に混ざってないかという事にも注意する。

■ja2035 オムライザー/オムレッツ
【オ】
(変形前)
パパ博士(=霞沢賢一・ja1794)のお供をしてエジプトに行くレツ。
遺跡とアーマーシップの探検をするのレツ♪
それでは…ボイルドォ〜…(声変わり)チェーンジ!

(変形後:通常?の口調)
Jokerが確保しているということで、警備の者が常駐しているかも知れないのです。
見張りがいれば殴ってKO、手薄そうな入り口から侵入を…。
内部が暗ければアイライトで照らし、とりあえず中枢を目指して進むのです。
博士との通信はマメにやります。映像データもその場から送信できるようでしたら。
強敵がいればゴッデンパンチで怯ませ、その隙に逃げます。
今回はあくまで偵察目的…中枢まで行って手におえなければ(艦の確保が困難ならば)必要と思われるデータだけ
収集して引き返すのです。無茶とか深追いは禁物です。

緊急脱出はバイク変形かバランサーウイングで。適当なハッチから抜け出して拠点の戦車に急いで戻りますです。無論同行者も一緒に。

■ja0226 ダヴ/烏鳩
【挑戦】イA
儀式場付近へ移動するわね
あの目立つのが好きそうな方が、中心地にいないとも考え難いし
『秘宝[創造神の貝殻]』を使用し、死皇帝ガルバと奇祭の儀式執行直前にお話しする場を得られるよう願掛けを
邪魔する意思は無いし、同じ創造神が根源の願いとして儀式の島への進入を認めてもらえないかしら
仮にも創造神タンガロアの力を名乗るなら、ガルバ様が別の場所にいても導くぐらいおまけして欲しいわ

衣装は敢えて場にそぐわないドレス、浮いたとしても興味は引けるでしょう
ガルバ様と会えたなら
「ごきげんよう、ガルバ様。退屈しない世界を作るのであれば、手伝わせていただけません?」
「今を含め今後して欲しい事があればなんでもご連絡くださいな。私に退屈しない遊びを提供していただけるのであれば意味も理由も問わない、ブラフでも構いませんわ。捨て駒扱いでも結構。血の沸き立つ遊びをただただご提供いただきたいの」
と、協力の申し出をします

■ja1439 マッドスクウェア/J・J
>目的
エA
アーマーシップの復活と入手
死亡上等

>動機
後の世に必要ならば、
たとえ世界に傷跡が残ろうとも、
たとえ私の存在が消えようとも、
たとえ全ての世界に対する悪となろうとも、
私は、常々この願いが果たされるべきであると確信している。

我々は悪なのだ。それ故のWWCである。
多大なる犠牲があろうとも、後の世は我々の行動こそ正しいと証明するだろう。

絶やしてはならんのだ、光を

>手段
WWCメンバー・ヘイゼルより譲り受けたスターパールを手に奇跡の島へ。
そこで仲間たちが集めるスターパールを待つ。
ある程度集まったなら祭壇へ移動。
そこで願いを成就する。

「それが必要である限り、誰かがなさねばならんのだ。世界の憎悪を背負い、私は、狂人は狂人らしく退場するとしようか。最後の名残は、妻と娘だけだな。さあ、クローズプランの開始だ」

>発明
・シールド
 ただ純粋に自分の身を守るためだけの装置。
 魔力的・物理的を全てシャットする。

■ja1544 バスティラ/バスティラ
エ:B+イ:A
ガルバと接触する為に儀式の島へ向かい、ガルバに勇者の証を託して協力を申し出る。


死皇帝ガルバよ。お前の存在はバスティラの目的の為にはありがたいんだ。
お前が事件を起こして大事になればなるほど、本部の銀河刑事が出張ってくる可能性が増える。
そうすればバスティラも奴と再び戦えるかも知れない。

バスティラはお前の存在を利用したい。だから、お前もバスティラを利用してくれ。
得意なんだろう? 他人を使うのは。
お前の望みを叶える為に力を使おう。それがバスティラの為でも在る。

勇者の証はガルバに託す。話を聞いて貰う為の手土産のつもりだ。
今までのバスティラの行動に意味があれば、ガルバはバスティラを知ってるかも知れない。
今までの行動に意味が在った事を願おう。

勇者の証をガルバに託した後は、護衛として付き従う。
ガルバを狙う奴は多いだろうからな。身を盾にして守ろう。
タフさにも防御力にも回復力にも自信はあるんだ。

■ja2027 イゼル・アイン/一条・聖
オ エジプトのアーマーシップの状況の確認。

動機:ガルバからアーマーシップを奪還する準備。

目的:アーマーシップの調査。

思考:WWC次第だけど、アーマーシップのコントロールが一時的に戻る可能性もあり、そうでなくても、いつアーマーシップが暴走しそうか確認する必要もあるわ。一度、再調査をしないとね。

行動:松戸博士の指示も受けながら、使い捨て覚悟で小型ロボを映像機として使い、できるだけ中まで調査する。蔦が襲ってきた場合は、爆弾類で時間を稼ぎ、秘宝武器で切り抜けながら脱出。この時、使用できるなら、ダンシングホバーブレードで急速撤退。それでも危険そうなら、ダミー自爆装置を利用して、入口方向に移動する。

他のアーマーシップ内の調査のジョーカーの同行者がいる場合は助けあう方向で行く。

■次回予告



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