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ようこそ、大いなるルミナに導かれし英雄の卵たち
ローレック守護精霊学校(Loireag Rumina school)は、君達を心より歓迎する
初代校長 グラント・シュライカー


──待ち受けるは千年封ぜられし神秘の島
 君達がこれから4年の時を過ごすのは、開放されし聖域、オーディア島だ。我々の住まうコモンヘイム(人間界)の北西部に位置し、南北500kmにも及ぶ広大な土地の大半は、確かな記録の存在しない未知の領域である。
 島の南西部には、天の海を貫く霊峰「月のシーハリオンの丘」が聳え、北部にはデュルヘイム(魔界)に繋がるとされる「デュルガーの割れ目」が口を開ける。まさに人知を超えた世界の繋ぎ目とも言える場所であり、本来、我々コモン(人間)が気安く踏み入って良い場所ではない。
 紀元前、ここには賢人王オーディアが統治する豊かな王国が存在し、また神々の長き争いの時代「神代七代」においては、幾度となく熾烈な戦いの舞台となった災厄の地でもある。そして、この気が遠くなる程に長い争いの時代を終わらせたコモンの英雄ローレックが、大いなる記憶を残した地とされ、彼が没した後、その魂の安息を守るため、ノルン(女神)達はこの島を聖域と定め、人が踏み入ることを固く禁じていた。
 この禁が解かれたのは、精霊暦1000年のこと。僅か9年前である。
※Wikipediaへ本頁の序文およびクラスや種族の解説を投稿しました。

  ∇この世の成り立ち

  ∇流星雨

  ∇シフール・コーのおはなし

  ∇オーディア島へ


──君達に宿る力「ルミナ(Rumina)」
 校名にも冠されたルミナとは、守護精霊を指す言葉である。精霊はこの世界を見守り続ける偉大な存在だが、時に選ばれし者に、大きな力を託すことがある。幼い子が時に起こす摩訶不思議な奇跡は、大抵このルミナの力によるものだ。我々人にとってはデュルガーを駆逐する唯一の手段であり、ローレックには1000人にひとりと言われるルミナの持ち主が掻き集められることとなった。
 ルミナには、地、水、火、風、陽、月の6種類があり、それぞれに特性を持つ。精霊は、大地・水・火・風という恵みをもたらし、陽と月によって何時でも私達を見守っている‥‥と、これは子供を寝かしつける不思議なお話の常套句だが、そのあり方がそのまま反映されているのだ。特に、精霊と直接交信する術を持つ魔法使い達は、自在に精霊の力を代行し、大きな力を発揮する。
 ルミナの力を用いるには、媒体が必要となる。どの様に力を発揮するかで様々な媒体が存在するが、これには必ず聖なる印であるX型の意匠が施されている。ローレックの学生達も同様の物を全員が所持しており、その為、人々はローレック及びその学生を、学園X、Xの学生達、などと呼んでいる。
 普通は成長するにつれ失われて行くルミナだが、稀に成人しても僅かな力を残す者が存在し、これまでデュルガーの脅威に対抗して来たのは、これらの人々である。ローレックに席を置く者があくまで学生であるのに対して、彼らはダーナ(本職)と呼ばれる。また、精霊界から大いなる祝福を受け、偉大な力を発揮する者を、特にシーリーコートと呼ぶ。英雄ローレックは代表的なシーリーコートである。

  ∇ルミナの加護

  ∇シーリー(精霊)



──倒すべき敵「デュルガー」と、危険なモンスター達
 デュルガー(Duergar)とは、闇の世界に住まう存在を総称した呼び名である。人を襲い血肉を貪る恐ろしげな姿が語られがちなデュルガーだが、これは肉体を得たごく下級の個体が引き起こす事件だ。高度な知性と能力を備えた真に恐るべき個体は、人の精神、より高みにある魂を食らうことを至上の喜びとする。語り伝えられる詩歌の中にも、心を食われ破滅して行くシーリーコートの話がいくつも存在している。
 デュルガーは特殊な肉体を備え、魔法、魔法の武器でなければ傷つきさえしない。霧状に変じる能力を持つため追い詰めることが難しく、消滅させる為には封印、浄化という手段が必要になる。
 デュルガーは人にとり憑くと、誰にも気付かれぬまま精気を食らい続けることで、次第に力を蓄え、進化していく。デュルガーに憑かれた者は本来持つ善性を破壊され、示唆されるままに悪事に走る。凄惨な事件の裏には多くの場合デュルガーが潜んでおり、その駆逐は至上命題となっている。ルミナを持つ者はデュルガーに対抗し得る唯一の存在である一方で、その魂が秘める力から、特に狙われ易い傾向にあるので、注意が必要だ。
 島にはデュルガーの他にも、様々なモンスターが生息している。凶暴な鳥獣の類から奇怪な植物、昆虫、遺跡に眠る守り手、動く死体や死霊の類。エルフィン(妖精)の中にも人間に敵意を持つものは存在する。シーハリオンの丘の麓には巨大なドラゴンが棲むと言われているが、もっと下級の、トカゲに類する様なものならうっかり出会うこともあるだろう。これなども十分に危険な存在だ。
 モンスター達は自分の存在を忘れさせてしまう忘却オーラを持っており、その為、襲われて生還する者がいても記憶に残らず、被害が減らない大きな原因となっている。

  ∇デュルガー

  ∇忘却オーラ

  ∇ドラゴン



──未来の勇者候補、新規募集中!


学園紋章  平和だったコモンヘイム(人間界)に乱れが生じ始めたのは、10年ほど前からだ。精霊界の長ヘイルがもたらした啓示により、それが伝承に語られるデュルガーの仕業であると判明した時、諸侯は合議を重ね、闇の勢力に対抗し得る人材を一刻も早く育成しなければならないという結論に達した。これを受けて設立されたのが、ローレック・ルミナ・スクールである。
 当校の学生となるには、二つの条件を満たさねばならない。まず第一に、ルミナの力に恵まれていること。1000人に一人とも言われる希少な資質だが、邪悪な存在に対抗するには、何よりこの力無くしては始まらない。第二に、当年15歳〜16歳であること。知っての通り、我々の社会では15歳をもって成人とみなすのが一般的だ。一方で、ルミナの力は幼い頃に最も強く、成長と共に失われて行く。時に危険を伴う当校のカリキュラムを、子供に受けさせる訳には行かない。そして、今現在優れた資質を持っていても、修学期間中に致命的な衰えの時を迎えれば、それは命に関わる事態となりかねない。当校の入学資格を得たこと自体が、君達が幸運に愛された特別な存在である証と言える。
 ご理解頂けたかな? ルミナの力に優れた君達は、現代の勇者英雄たることを期待され、こうして集められた訳だ。由緒正しき貴族の子弟から果ては盗賊の類まで、その出自は様々な筈だが、ここではそんなことは関係無い。懐具合の芳しく無い者も心配無用だ。当校は有力諸侯の全面的な支援のもと運営されている。寮完備、授業料無料、おまけに生活費支給の大盤振る舞いと来ている。
 代わりに求められるのは、4年という時をローレックに捧げることだ。持って生まれた才能を最大限に伸ばして、その力を人々の為に役立てねばならない。持ち込まれる課題は実に多岐に渡る。村人のお悩み相談、凶暴なモンスター退治や、デュルガーとの対峙、あるいは、この島の未知に光をあてる、そんな難題を課されるかも知れない。何れにせよ、どんな些細な出来事にも油断は禁物だ。我々は、世界の繋ぎ目の島にいるのだから。
 辞退を申し出るなら今の内だが、大丈夫かな? では、君達を学園に案内しよう。

  ∇期待の新星

  ∇ローレック・ルミナ・スクール校歌






──学生数千人、関係者1万人の大規模学園都市!
 街に入って、その賑わいと、何より君達と同じローレック生の多さに驚いたことと思う。ついでに言えば、すれ違った人の大半は学校の関係者だ。何と言っても、学生は第一、第二期生だけで1万人超、関係者も1万人を超えるのだから、
 学校施設の整備は設立が決まった10年前から始められ、09年完了したばかりだ。港を整え、街道を整備し、旧ローレック城を中心にして君達が学ぶに不足無い準備を整えた。その大騒ぎぶりを見せられなかったのが残念だ。もっとも、次年度以降入学する学生の為に、暫くすればまた、何処かで騒がしく整備が始められるだろう。
 これだけ人が集まるとなれば当然、それを目当てに移り住んで来る人達もいる。この街は、そうして出来上がったものだ。彼らはごく普通のコモン(人間や妖精族)でありながら、この危険極まりない島に乗り込んで来た人達だ。街の活気を生み出しているのはまさに彼らで、感謝すべき存在なのだが、油断していると尻の毛まで抜かれる羽目に‥‥下品な表現を謝罪する。とにかく、十分に気をつけておくことだな。

  ∇街の賑わい






──校舎はお城!?
 君達が4年間を過ごす学び舎は、かつてのローレック城を改装したものだ。伝承にその美しさを讃えられるだけあって、なかなかに美しい城だろう? 実の所、学校施設の大半は簡単な修繕をし内装を整えただけで、新しく建築されたものはほとんど無い。これが有史前の遺跡とは俄かに信じ難いとは思うが、精霊から約束された守護の力というのはこうした物なのだという、これがまさに見本だな。
 ただ、元が城だけあって内部構造は複雑だ。うっかり迷って大切な授業をすっぽかすことなど無い様に願いたい。それから、これはとても大事なことなので、決して忘れないでもらいたいのだが、侵入禁止の立て札が立ててある場所には、絶対に入ってはならない。この城の中でさえ、まだ良く分かっていないことが余りにも多いのだ。うっかり扉を開けたが最後、二度と戻れない何処かに引き摺り込まれる‥‥と、そんな事が当たり前に起こり得るのだと、心得ておく様に。

  ∇立ち入り禁止の部屋



──知性溢れるエルフの校長以下、実力派揃いの教師陣
 当校の校長、グラント・シュライカーは、友好関係にあるエルフィン族(妖精族)諸氏族から推挙され、諸侯の承認のもと就任した、世界の未来を担う君達を導くに相応しい人物だ。その教育方針のもと、世界各地より多種多様の技能、知識を持つ第一級の教師達が集められている。‥‥まあ、若干風変わりというか、大変個性的な教師も大勢‥‥いや稀に見受けられるが、必ず何かしら、君達が学ぶに足る物を備え持っている。ぜひともそれを引き出し、己が物としてもらいたい。

  ∇学校長挨拶



 これより当校学生となる君達に、ローレック生たる者が守るべき規範について説明をしておこう。とは言っても、難しい事は何も無い。
第一則 紳士淑女たれ
第二則 勇気・誇り・友情・努力・情熱・希望・誠実を尊び、選ばれし者の務めを果たすべし
第三則 学生は制服を着用すべし
第四則 在学中の婚姻は、これを禁ず
 窮屈に思うかも知れないが、その認識は改めておいてもらいたい。これは、君達を守る為の物なのだ。例えば、己を律する事が出来ず欲望に従順な者は、早晩デュルガーの誘惑に負け、その走狗と成り果てるだろう。務めと仲間に対して不誠実な者は、この危険に満ち溢れた場所で命すら危うい。
 制服は、我が校学生である証。それ故に許され、配慮される事柄は多岐に渡る。君達が私服の時にその力を発揮しようとすれば、色々と面倒な事態に直面するだろう。
 婚姻は、女神の恵みを次代に受け継ぐ儀式。つまり、我が校的に言えば『あがり』だ。お子様の入学を心待ちにしております、という訳だな。もちろん、既婚者の入学も認められない。
 校則についてうるさく言う者は少ないだろうが、常に心の片隅に刻んでおいてもらいたい。ルールを守るのも、作るのも君たちの自主性に任せている。
 開校時のローレックにはこの4つの校則しかなかった。この後、学生会によって様々な規則が作られていくことをまだ誰も知る由もない‥‥

  ∇進級と退学



──学年と4つのクラス
 ローレック・ルミナ・スクールは4年制の学校である。現在第一期生を受け入れており、中途入学の者も、今年度中であれば一期生の扱いとなる。来年度以降も今年と同様の募集が行われる予定だ。
 学生はその資質により、4つのクラスの何れかに振り分けられる。それ以上の細かなクラス分けは無く、一学年の一クラスには1500人前後が在籍していることになる。日常的に受けるごく基礎的なカリキュラムの他、提示される様々な課題を各々が選択し経験を積むことで、自らの才能を伸ばしていく形を取っている。

ヴォルセルク Wolserkr(狼を纏う者)

 身体能力に優れた学生が、このクラスに振り分けられる。戦士としての才に恵まれた彼らは総じて筋骨たくましく、厳しい鍛練の結果、身体に傷を持つ者が多い。
 剣格闘の授業を選択することが多いため、シャツの上に軽戦士用のトレーニング用鎧を普段から身に付けており、これがトレードマークともなっている。

  ∇ヴォルセルクって?

  ∇Xの刺青


キュベレー Kybele(生死を司る者)

 知性と精神力に優れた学生が、このクラスに振り分けられる。これらは治癒系の魔法を用いるのに重要とされるが、それを証明するかの様に、穏やかかつ、神聖な雰囲気を醸し出す者が多い。
 礼儀作法を重視した授業を選択することが多く、精霊に祈りを捧げることもある。生死を司る魔法は礼儀正しくなければ発揮されないため、総じて身だしなみがしっかりしているのが特徴。学生服の正規の帽子を普段から律儀にかぶっているのは、キュベレークラスの学生達くらいである。

  ∇保健室の先生もキュベレー?

  ∇クロス(CROSS)


パドマ Padmas(四季を操る者)

 知性と知覚力に優れた学生が、このクラスに振り分けられる。精霊の力を直接的に扱う魔法使い系の才能を持った者達であり、興味が知的領域に偏る為か、多くがインテリ風で、色白細身である。
 様々な魔法の授業を選択することが多い為か、難解な議論を好む彼らは、腕力主義のヴォルセルク達とはまた違った意味で恐れられている。

  ∇パドマって?

  ∇魔法の杖


ホーキポーキ Hokeypokey(奇術を披露する者)

 器用かつ俊敏な学生が、このクラスに振り分けられる。奇術から錬金術に至るまで、有り得ない何かを生み出す才能に恵まれた者達であり、その風体はトリックスター的であったり、厚底眼鏡の学者風であったりと様々だが、総じて不思議で奇妙で怪しげな雰囲気を醸し出している。
 授業では、奇術、発明に必要な知識の他、シーフ技術も重視される。これは、希少な素材を確実に持ち帰ることが重要な意味を持つからだ。

  ∇ホーキポーキって?

  ∇全員メガネっ子って どういうこと!?



──精霊のもたらす奇跡の発現、魔法とは
 どのクラスに振り分けられた学生も、何らかの魔法を修得する可能性がある。
 魔法とは、体内に宿る守護精霊《ルミナ》と交信し、世界に満ちる精霊の力を、具体的な形として引き出す行為である。ルミナをコントロールする才能を持つ、ごく僅かな者達にしか行うことが出来ない奇跡の技であり、呪文の詠唱と、精霊とコンタクトを取るための媒体となるアイテムが必要だ。媒体となるアイテムは、引き出す魔法の種類によってその形状が異なるが、この世界の聖なる印であるX型の意匠が必ず施されている。
 どんな魔法を使えるかは、専攻と、供え持つ精霊力の種類(地水火風陽月)で決まる。どのくらい強力な魔法を、どの程度使えるかは、精霊力の強さと、予めの準備による。精霊力は、学習し経験を積むことによって、伸ばしていくことが可能だ。
 ただ、魔法も無条件に望む効果を発揮する訳ではない。人、モンスターを問わずおよそこの世の生き物は、生来魔法に対する抵抗力を備え持っている。詠唱者の才より目標の抵抗力の方が強ければ、その効果は大きく減じてしまう。また、魔法の詠唱中はたいへん無防備な状態となるので、身辺の危険には敏感であるべきだろう。
 簡単にではあるが、ルミナの属性とクラスによって生じる傾向を記しておく。

地(earth)大地、植物の力に根ざす魔法を行使でき、バランスが良く防衛力に長けている
水(water)水、冷気の力に根ざす魔法を行使でき、状況をクールにまとめることに長けている
火(fire)炎、膨張の力に根ざす魔法を行使でき、攻撃力に長けている
風(wind)風、雷の力に根ざす魔法を行使でき、スピードに長けている
陽(sun)日光、生の力に根ざす魔法を行使でき、闇の防御に長けている
月(moon)月光、死の力に根ざす魔法を行使でき、精神の制御に長けている
ヴォルセルク戦技系(格闘戦を補助する)魔法や、自分自身を強化する魔法に優れている
キュベレー生死を司る魔法に優れている
パドマ自然現象を操る魔法に優れている
ホーキポーキ何の役に立つのか分からない風変わりな魔法(奇術)が特徴である
また、錬金術によって摩訶不思議な現象を引き起こす


── 一から作り上げる部活
 学生諸君の学園生活を豊かなものにする為に、先生方の協力の下、幾つかの部活が用意されている。しかし新設校で歴史の無い当校にはまだまだ部が少なく、君達がこれと思うものが存在しないかも知れない。
 そんな時は遠慮せず、仲間を募って活動を始めよう。最初は非公認のサークル活動という形になるが、君達が集う為の個室が用意される。定められた条件を満たすことで同好会に格上げされ、顧問が付き、学校の公認が得られる。更に条件を満たせば部となり、予算も付く。
 部活動は、授業とはまた異なる貴重な経験を君達に与えるだろう。君達の自主的かつ活発な活動を、当校は大いに奨励するものである。

  ∇部活しようぜ






──安心の全寮制、大勢の仲間と共に充実の生活を!
 故郷を遠く離れて暮らすことになる君達には、生活と交流の場として学生寮が提供される。この宿舎群は学生諸君に委ねられたスペースだ。授業や部活外で友人達と顔を合わせる場として、自由に活用してもらって構わない。
 なお、この寮は学校とは目と鼻の先だ。うっかり話し込んで遅刻しても、言い訳は立たないから、そのつもりで。

・寮街

 ローレックの街の北西にある、ローレックルミナスクール直轄の寮。
 入学した学生たちが寝泊まりする住居であり、塀や門で仕切られているため関係者以外は立ち寄ることができない。中央には、生徒たちの交流を目的とした談話棟があり、夕方から消灯時間までは連日にぎわっている。
[アルテイラグラス]
 第一期生のために開校初年度に建てられた寮。中央の建物のホールには、寮名の元となった、月の女神「アルテイラ」が水瓶を掲げている2m程のクリスタルの像があり、不思議な力が宿っていると噂されている。
[ユニコーンホーン]
 第二期生のために建てられた寮。異種族に配慮した作りになっている。中央の建物のホールには、寮名の元となった、地の精霊「ユニコーン」の角の銅製オブジェがあり、不思議な力が宿っていると噂されている。

  ∇寮の生活



──学園生活の必需品
学生証  学生諸君が絶対に無くしてはいけない物として、学生証が挙げられる。この金属で出来た小さなカードは、君達の身分を正しく証明するものだ。魔法により記録された学生の顔が映し出される仕組みで、悪用も偽造も不可能になっている。
 何より重要なのは、この学生証が、君達の財布代わりになっているということだ。当校学生に関しては、その所持金を学校が一括管理しており、魔法的な仕組みで出金入金が、CPという形で記録される様になっている。買い物をする時は学生証を出すだけで清算されるし、残高は実習の成績によって支給される返済不要の奨学金や、親元や郷土からの仕送りによって補充される。なお、この学生証に記されているエンブレム(紋章)は、学生からデザインを公募して決められたものだ。
 また、生活に欠かせない便利な乗り物として、箒がある。初年度の基本科目ともなっている箒による飛行は、乗りこなすのに修練が必要だが、一端身につければ自分の足で空を歩くが如くに扱え、君達の活動範囲を大幅に広げることになるだろう。

  ∇魔法の箒

  ∇ローレックの学生証






・年中行事

1月 新年祭。1日〜7日まで。この間に聖所などで一年の無事を祈ったり厄払いをする。
2月 愛の日。一年で一番男女が結ばれやすい日。未婚者は告白のチャンスであり、若い既婚者は子作りに良いと言われている。長年の夫婦は愛を確かめ合う。
 雪祭り。雪像を作って競い合ったり、みんなで温かいものを食べたりして楽しむ。
3月 断食。3月の最後の3日間に行われる。もともとは食べ物の少ない冬を乗り切るための手段だった。今はその心配はないため、3日間が名残としてある。断食は日の出から日没まで。日没を過ぎれば水とパンは食べてもよい。また、7歳未満の子供、病人、旅人、戦いに赴く者は含まれない。
 春分は21日。この日より種まきを開始し、豊かな収穫を願い、歌や踊りを女神に捧げる。この日、暦の調整がなされる。
4月 開放日。断食明けの1日。みんなで料理を出し合い、秋の豊かな実りを願ってパーティが開かれる。また3日間の断食に耐えた褒美として、ちょっとした嘘も許される。
5月 花祭り。第二週。土曜日にはペイント玉を投げ合ってみんなでカラフルになって遊ぶ。
6月 夏至。太陽が死ぬ日。精霊の守護が弱くなっていく日。神代七代終戦日。
7月 海開き。元は水の精霊を祭る行事だったが、いつの間にか海で大騒ぎする祭りになった。
8月 夏祭り。
9月 収穫祭。最後の一週間はローレック誕生祭である。
秋分。
10月 鎮魂祭。最後の日は死者の魂が帰ってくる日であり先祖を供養する。邪な霊も出てくるので、特に彼らの好物である子供は魂を抜かれないよう、魔物に変装をしたりする。
11月 火炎祭。厳しくなっていく冬に対し、火の加護をなくさないようにと火を燃やし祈る祭り。
12月 ノルン降臨日。ノルンが地上に降りてオーディアに恵みを与える一年で最初の日。
 大晦日。

・成人と公職年齢

 15歳で成人とみなされ、婚姻や飲酒などの制限がなくなる。
 しかし、公職に就ける年齢は社会経験を積んだ25歳からであり、職人が親方になれるのも、公式に領主や王として自分で政治を行えるのも25歳からである。

・言語

 この世界には、神代七代の大戦の後に体系付けられたコモン語という言語があり、世界的な共通言語となっている。そのため、コモン語さえ修得していれば、会話に不自由することはない。A〜Zまでの26種類のアルファベットの組み合わせによる文字文化もある。
 それ以外には古の文字であるルーンや、未だその解析が終わっていないいくつもの古代語が存在する。

・エルフィン(妖精)族

 この世界(コモンヘイム)は、ノルン(女神)達が、人間と妖精に与えたものとされている。
 妖精族とは、体の大きさに違いはあれど、おおむね人間と同じような姿かたち、メンタリティや知性をもった異種族のことである。しかし、多くの妖精族は、人間のように自然を排した人工的な都市を作ることを好まず、また、大規模な争いごとを避け、山奥でひっそりと暮らしているのが普通である。
 たいていの場合はコモン語を解することができ、一部の知性の低い妖精族を除き交流は可能である。

  ∇様々な妖精族




・身分

 王・諸侯・官吏・庶民・賎民と言う、生まれながらにはっきりとした身分の差が存在する格差社会。
 一般に、親の仕事と身分を受け継ぎ、農民の子は農民、職人の子は職人となるのが当たり前である。但し、能力の有る者が官吏に採用されたり、諸侯の養子に迎えられたり。武勲を認められた戦士や荒野や森林を開墾して広大な耕地を創り上げた豪農や豪商が諸侯の列に加えられたりと、かなり流動的な社会構造を持っている。
 エルフィン(妖精)族にも同様の身分制度が適応されるが、実態は平等とはいえず、ライトエルフ等の知性が高く外交能力もある一部の妖精族以外は、庶民以下の扱いをされることもしばしである。

  ∇身分あれこれ


・名付け親

 子供の生まれた家では、それぞれの家の仕来りに従って名付け親を頼む。
 名付け親は生涯にわたってその子の後見人となり、生みの親と法律上同等の義務と権利を持つ。

・語り部

 伝承は語り部と呼ばれる人々によって正確に語り継がれてきた。学生達が図書館で読む書物の多くは、語り部達の話を書き写したものである。

  ∇愚かなる賢者


・農作物

 [麦]主食は小麦であり、領主達によって価格統制されている。その他ビールを造るためと馬の飼料に大麦。飢饉に備えた食料としてオーツ麦とエンマ麦が栽培される。
 [ジャガイモ]痩せた土地ではジャガイモが栽培されている。
 [豆]保存が利く重要な食物。水を張った皿の上で発芽させたスプラウト(新芽)は、安価で一年中手に入る生鮮野菜であり、広く食されている。
 [すいか]種を食用とするため栽培させる。果実は水分を多く含む果肉を腐りにくい水として、長期旅行の水筒の代わりに利用。
 [リンゴ]単にフルーツと言えばこれを指すほどポピュラーである。生食のほか、スライスしてチップスにしたり、果汁を煮詰めてジャムにする。
 [ベリー類]ベリー類は主にジャムにして使用する。
 [ブドウ]主にワインを造るために栽培。乾しブドウは貴重な携行保存食。
 [イチジク]生食の他、乾し固めてブロックにして保存食として使用する。
 [トマト]生食よりも濃縮してケチャップとして使用される。
 [ナシ]主に生食用。

  ∇料理


・牧畜酪農

 [牛]労働力と乳の為に。自作農は最低牝牛1匹を所有している。
 [豚]肉を得るために。森や休耕地に放たれ飼育されている。
 [鶏]肉と卵を採る為に。雄鶏のときは、デュルガーを退けるものであると信じられている。
 [兎]肉と毛皮を取る為に飼う。餌代が殆ど掛からないのが特徴。
 [羊]主に毛を採る為に。羊肉食は歳を取った羊か祝い事に使われる当歳の物に限られる。

・狩猟

 鹿を狩る事は諸侯の特権。庶民の狩りは、免許を与えられた狩人か非常時のみ許される。
 鳥を狩ったり魚を採る事は庶民にも解放されている。

・貨幣

 金貨1枚は100枚の銀貨、銀貨1枚は100枚の銅貨。
 熟練職人の1日の賃金が銀貨10枚であるため、金貨は日常的には使われない。

・郵便制度

 エルフィン(妖精)族の種であるシフールが、その身体的特徴を生かして「シフール便」という郵便制度を行っている。
 あまり大きなものは任せられず、羊皮紙の書簡ていどである。
 国内はもちろんのこと、国交のある隣国にまでも網羅している。

・遊び

 カードゲーム(トランプ)やスゴロクの類が遊ばれている。
 チェスと詩作は知識階級で有ることを示す教養の遊びである。

・スポーツ

 競馬、ゴルフ、フットボール、ラグビーがもっともポピュラーなスポーツである。
 近年、箒によるレース競技が試されているが、まだはっきりとしたレギュレーションは確立していない。

・標の星

 海の守護神たる女神様は船乗りを護るために天空に二つの星を置いた。以後、船乗り達はその星を目印に航海を行っている。この星は陸においても故郷を離れて旅する全ての旅人の道標となっている。

  ∇航海日誌


・ゴーレムシップ

 風と人の力。それらが無くても動く船。それがゴーレムシップである。
 問われるのは運転手の精霊力。学園長グラント・シュライカーと、彼の従える錬金術師チームが研究・開発を行ったもので、通常の船の何倍もの速度が出るという。
 精霊暦1010年夏に、ウラート〜海沿いのキャンプ城〜海の古城〜ローレック間でテスト運行され、そして、先日の2号船の竣工を機に、同年12月からローレック〜ウラート間の1日2往復の定期便が就航した。両都市間を片道2時間弱で結ぶその驚異的な速度によって、従来の平均所要時間を1/10に縮める。
 また、授業や実習などにあわせた臨時便も随時出され、ウラート近隣や妖精の里周辺も身近なものとなっていくであろう。
[ゴーレムシップ「エインセル(Ainsel)」]
全長:51m
全幅:15m
喫水:6m(満載時(グレーの部分が喫水線))
乗員:40名
定員:250名
速度:50km/h(満載巡航時)
 精霊暦1010年7月竣工。造船工(船大工・鍛冶師)800名が、90日間を掛けて作り出した新型船。その船としての技術は、主にミストラルシーで使われているコグ船からきている。そのため、マストこそないものの殆どの材料はオーク材である。
 水中にある水流翼(カイトシールドのような板)に取り付けられた、水流を制御するマジックアイテムにより、水を高速で後方に押し出し推進する。
 後部甲板に設置された舵輪と、水流翼を制御するための水晶球によって制御される。乗員の精霊力を少しずつ集め増幅しているため、必要乗員が少ないとパワーが出ない。バリスタの様な固定武装や、バウスラスターの装備はまだない。